煩悩が消えていく
「アウディA7スポーツバック」に新たなエントリーグレード「40 TDIクワトロ」が追加された。豊かなトルクを供出する2リッターディーゼルターボユニットとラグジュアリーな4ドアクーペの組み合わせは、ドライバーにどんな世界を見せてくれるのだろうか。
軽快でエレガント
しばらくアウディに試乗していなかったので、いろいろなことが変わっていることに戸惑った。まずは車名である。今回の試乗車はA7スポーツバック40 TDIクワトロ。この「40」という数字はパワーユニットの最高出力に由来しており、40の場合は125〜150kW(170〜204PS)のユニットを搭載していることを表す。2018年9月に2代目A7スポーツバックが国内で発売された際は最高出力340PSの3リッターV6エンジンを積んだ「55 TFSIクワトロ」のみの設定だったが、2020年1月に同245PSの2リッター直4ガソリンターボの「45 TFSIクワトロ」が加わった。「55」は245〜275kW(333〜374PS)、「45」は169〜185kW(230〜252PS)を示す。
4月になって追加されたのが、40 TDIクワトロだ。最高出力204PSの2リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載している。数字が一番小さいからエントリーグレードのように思えるが、車両本体価格は812万円で819万円の45 TFSIクワトロと7万円しか違わない。誤差のようなものだから、エンジンの好みで選べばいいわけだ。最高出力は数字の順番通りだが、最大トルクは40のほうが45よりも上。もちろん、WLTCモードの燃費値は40のほうがはるかに良好である。
スポーツバックと名付けられたモデルは「A3」が最初で、「A5」「A7」「A1」の順にラインナップを拡大してきた。ハッチゲートを持つ4ドアモデルで、クーペライクなスタイルを持つというところが共通の特徴である。A7のライバルとしてはメルセデス・ベンツの「CLS」が挙げられるが、独立したトランクルームを備えているから厳密には異なるジャンルだ。「プジョー508」はハッチゲートを持つ4ドアセダンだが、一回り小さいからセグメントが異なる。A7スポーツバックと真っ向から競合するクルマは見当たらないようだ。
後方に向けてルーフラインを下げていくのは、このタイプのモデルではよく見られる手法。セダンらしい重厚さから離れて、軽快さとエレガントな印象を漂わせる。長いホイールベースと低い構えが組み合わされたことで、スポーティーでありながらどこか優雅にも見えるのだ。...