追いついた先に戦略はあるか
三菱の新たな軽スーパーハイトワゴン「eKクロス スペース」に試乗。まずは迫力満点のフロントマスクに目が行ってしまうが、肝心の使い勝手はどうなのか。あれこれいじってみるとともに、ワインディングロードにも持ち込んでみた。
認知されたダイナミックシールド
「ダイナミックシールド」というデザインコンセプトは、三菱にとって貴重な武器となった。もとをたどれば2015年ジュネーブモーターショーの出品車「Concept XR-PHEV II」で提案されたのが最初である。「アウトランダー」や「エクリプス クロス」などにも採用されているが、広く知られるようになったのは「デリカD:5」のビッグマイナーチェンジからだろう。フロントマスクが一新され、従来の優しげなイメージから一気にいかつい顔に変わったことが人々を戸惑わせた。当時三菱に寄せられたユーザーからの声は、9割が否定的なものだったという。
軽ハイトワゴンの「eKクロス」が登場すると、流れが変わった。カスタム顔に代わるSUV風のルックスが好感されたのだ。それに引きずられたのか、D:5への悪口も収まった。ダイナミックシールドへの違和感は消え、ひとつの個性として認知されたのだろう。軽スーパーハイトワゴンでも同じ手法を使うのは当然のことだ。「eKスペース」のフルモデルチェンジを機に、カスタムを廃してクロスオーバーSUVタイプのeKクロス スペースが新たに設定された。
eKスペース/eKクロス スペースは日産と三菱との合弁会社NMKVが開発したモデルで、日産からは「ルークス」が発売されている。性能はほぼ同等のはずなので、どれを選ぶかには内外装の好みが大きな判断要素となるだろう。良くも悪くもeKクロス スペースの見た目は際立っている。まったく受け付けない人と一目ぼれする人とに分かれそうだ。SUVライクな軽スーパーハイトワゴンということでは「スズキ・スペーシア ギア」が先行していて、同じジャンルで対抗することになる。どちらもルックスがSUV風なだけで、特に悪路走破性が強化されているわけではない。
eKクロスとは似たような意匠なのに、前から見た印象はかなり異なる。ヘッドライトの構成が変えられたことで、eKクロスで強調されていたXモチーフがはっきりと見えなくなった。グリルが上下に拡大したことで、ちょっと間延びしていると感じられるかもしれない。のんびり顔なので、いかつさは緩和されている。...