これならヤれる!
スーパーカー級のハイパワーを誇る、BMWのフラッグシップクーペに試乗。価格も同ブランドの中でトップクラスだが、ラグジュアリーとスポーツを高次元で両立させるその走りは、最強の一台と呼ぶにふさわしいものだった。
血統を感じるルックス
駐車場から「BMW M8クーペ コンペティション」を引き出して、狭い道が続く住宅街をノロノロと行く。低く構えたクーペボディーは、20インチに35偏平の薄いラバーを巻いたアグレッシブな足まわりを持つが、意外や乗り心地は悪くない。路面の凹凸を上手に吸収しながら、しかし2t近い1910kgの車重でゴリゴリとアスファルトを踏みしめながら進む。4.4リッターのV8ターボは静かに喉を鳴らしているだけ。スペシャルなM8は、あたかも野生の大型猫種が獲物ににじり寄っていくように……と、スイマセン、高級スポーツモデルに乗っている興奮からか、思わずカッコつけちゃいました。
M8クーペ コンペティションの運転席からの眺めは、強く寝かされたAピラーゆえ天地は狭いが左右は広くて、それなりに大きなクルマに乗っている感がある。ステアリングホイールを握って徐行しながら、「なるほど、これは『8シリーズ』だなァ」と、ふと懐かしく思い出した。「70スープラ」に似た、などと言うとビマー(BMWファン)の人に怒られそうだが、1990年代初頭に登場したかつての8シリーズは、大排気量・多気筒にしてビーエムの名に恥じない高性能車だったが、クルマ好きからの評価はいまひとつだった記憶がある。いかにも大柄で、見ても乗っても少々シャープさに欠けていた。
もちろん、21世紀の8シリーズとは何の関係もない。現行8シリーズは、モデルの系譜からいうと「6シリーズ」の後継にあたるが、これまでの「5シリーズ」のクーペという立ち位置を嫌ってか、新たに“8”の数字が与えられた。バイエルンとしては、ニューモデルをフラッグシップたる“7”のパーソナルバージョンに格上げしたいのだ。
8シリーズのボディーは3種類。「クーペ」「カブリオレ」、そしてホイールベースを延ばして4ドアとした「グランクーペ」である。それぞれに高性能版のM8があり、さらに高いチューンが施されたM8コンペティションが、やはり3種類のボディーで用意される。つまり試乗車のM8クーペ コンペティションは、最上級のラグジュアリークーペにして、最強のMモデルというわけである。ぜいたくですね。...