極限への最短ルート
0.91kg/PSというパワーウェイトレシオを誇る、ドゥカティのスーパースポーツ「パニガーレV4」。パフォーマンスを追求し、大幅改良が施された2020年モデルはどのようなマシンに仕上がっているのか? 上級仕様である「V4 S」の試乗を通し、その実力の一端に触れた。
空力パーツはこけおどしではない
2018年1月、スペインのバレンシアサーキットでドゥカティのブランニューモデル「パニガーレV4 S」に乗った(参照)。1103ccのV型4気筒エンジンを搭載したそれは、2速の段階で200km/hをオーバー。あきれるほどの力業で車速を押し上げ、パワーウェイトレシオ0.91kg/PS(最高出力214PS/車重195kg)という世界の一端を思い知った。
900m足らずのメインストレートですら290km/hに達し、その時点でトップギアの6速は使っていない。エンジンにまだ余力を残していることを意味するが、それより先に車体の限界が近づいてくる。というのも、270km/h付近からフロントタイヤの接地感が希薄になり、ゆっくりと横揺れが発生。第1コーナーが迫り、ブレーキングの態勢に入れるからホッとできるものの、あまり気持ちのいい挙動ではない。「MotoGPマシンのような羽根(ウイングレット)が付いていればなぁ」と思った一方、「とてつもなくヤバいモノに乗っている」という妙な高揚感もあった。
あれから2年。目の前にある2020年型パニガーレV4 Sのサイドカウルには、しっかり羽根が生えている。正常進化ではあるが、すでに2018・2019年型を手に入れているオーナーにしてみれば、機能的にもデザイン的にもかなりショッキングな出来事だろう。実際、このウイングレットは270km/hの時点で30kgのダウンフォースを発生。今回の試乗で効果を試す場面はなかったものの、明らかに効きそうである。
しかもそれだけではない。土台になっているカウル自体が従来型とは異なり、左右それぞれ38mmもワイド化。これに合わせてスクリーンもひと回り大きくなり、ウインドプロテクションはもちろんラジエーターの冷却効率も向上している。...