直球あっての変化球
BMWのラグジュアリークーペ「8シリーズ」に、4ドアバージョンの「グランクーペ」が登場。リアシートの使い勝手や2ドアモデルとの走りのちがい、さらにBMW自慢の「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援システム」の仕上がり具合などをリポートする。
見事なパッケージレイアウト
8シリーズの実質的な前身モデルといえる「6シリーズ グランクーペ」が「5シリーズ」では飽き足りない人向けだったとすれば、この8の4ドア版は「7シリーズ」にはちょっと違和感をおぼえる富裕層に向けた商品ということができる。かつての5と6とでは価格設定が明確に6のほうが上だったが、同じパワートレインを積む7と8を本体価格で比較すると、細かい装備差はあるにしても、その差はわずか。というより、モデルによっては7のほうが高価な場合と、逆に8の価格が上回るケースが混在する(くらいに両車は近い)。
8シリーズ グランクーペの全高は2ドアの「クーペ」に対して、フロントウィンドウ角度をわずかに立てることで60mm高くされている。合わせて長さ方向はホイールベースで205mm、車体全体で230mm長い。こうしたバランスのおかげで、8のグランクーペを単独で見るかぎりクーペや「カブリオレ」とのファミリー感もきちんとあり、とにかくベターッと低い。8シリーズ クーペでも特有の、まるでナイフで削り取ったかようなリアクオーターやルーフの造形も健在である。
8のグランクーペでのパッケージレイアウトの仕事は見事なものと思う。こんな見た目でありながら、後席は驚くほど広い。前後方向に十二分な余裕があるのは数値でも想像できる。身長178cmの私が前後に座っても後席で足が組めそうなレッグルームは、実寸でも7シリーズの標準サイズより広いくらいだ。しかし、本当に驚くのは上下方向。日本人としてはけっして小柄ではないのに、典型的な胴長体形の私がリアシートに深く腰かけても、ヘッドルームは必要十分である。まあ、広々としているわけではなくても、不足もないのだ。
あくまでドライバーズカーとしての用途で、自分より目上の人間を日常的に後席に座らせるのでなければ、この8グランクーペは7シリーズの代替に十二分になりえる。...