“一人勝ち”はさせない
業績好調が伝えられるシトロエンが2020年に日本へと送り込むのは、新型マルチパーパスビークル「ベルランゴ」だ。先行導入された特別仕様車「デビューエディション」に試乗してその仕上がりを確かめるとともに、誰もが思い浮かべる(?)競合車との比較にも思いをはせた。
元祖はカングーにあらず
欧州での小型商用車の主流が、今のようなスライドドア付きの“ボンネットバン”ともいうべき姿になったのは意外と最近のことだ。具体的には1996年の7月以降である。
それ以前はコンパクトカーに巨大なボックスを背負わせた箱型が主流だった。当時の箱型バンといえば、日本でも静かなブームとなった「ルノー・エクスプレス」が好例だが、あるいは1990年代初頭の「スズキ・アルトハッスル」「日産ADマックス」を引き合いに出したほうがピンとくる好事家もいるかもしれない。
いずれにしても、その種の欧州流ボンネットバンはそれ以前の箱型バンとは異なり、本来のビジネスユースだけでなく、個人向け乗用レジャービークルとしての用途を設計段階から想定しているのも大きな特徴だ。
たとえば「ルノー・カングー」も欧州での販売メインは商用版だが、それでも販売全体の3〜4割を乗用版が占めることもあるという。あくまで乗用車として売られる日本市場で、カングーがここまで受け入れられたのも、カングーの室内装備や走行性能が最初から乗用車として通用するようにつくられていたから……ともいえる。
カングーは欧州各国でも長らくセグメント販売トップに座っており、ご存じのように、日本では発売以来ずっと市場を寡占してきた。しかし、この種のクルマの元祖はじつはカングーではなく、シトロエン・ベルランゴ(と、そのプジョー版の「パルトネール」)である。
初代カングーの欧州発表が1997年9月なのに対して、ベルランゴ/パルトネールの欧州発売は冒頭にあるように、カングーより1年以上早い1996年7月のことだった。というわけで、このセグメント販売トップは欧州でもたしかにカングーなのだが、かといって欧州全土がカングー一辺倒というわけではなく、同クラスを“ベルランゴセグメント”と呼ぶ国もある……とシトロエンは主張する。...