フランス車の正道
欧州Dセグメントに属する、プジョーの最新ステーションワゴン「508SW」。グループPSAの新しいフラッグシップモデルは、快適な乗り心地と限界性能の高さを両立する、今日におけるフランス車の完成形ともいうべきクルマに仕上がっていた。
進むべき道を見つけたか
今から4年半ほど前、webCGの「シトロエンC4」の試乗記で、私は「PSA(プジョーシトロエン)にとって、両ブランドの差別化は永遠の課題」などと書かせていただいた。
プジョーがシトロエンを傘下におさめたのが1976年。以降、1990年代までは両ブランドで基本骨格をつくり分けたりもしていた。しかし、21世紀に入るとプラットフォームの共用化を避けられなくなり、デザインや乗り味における区別があいまいになってきたのは正直なところだった。ひとつのプラットフォームには本来スイートスポットはひとつしか存在しないはずで、意図的に差別化しようとするほど、どちらか(もしくは両方)の味つけに無理が生じるものだからだ。
それでも、PSAでは数年前から、よりよいブランド戦略に向けた胎動がはじまっていた。たとえば、2012年の「208」から、プジョーにのみ独特の超小径の異形ステアリングホイールが与えられるようになった。インターフェイスの要であるステアリングが変われば、シャシーやパワートレインはまったく同じでも、乗り手の印象は大きく変わる。良くも悪くも効果は絶大である。
対するシトロエンでは2014年に「C4カクタス」が発売された。知っている人も多いように、昨今のシトロエンはスニーカーなどのスポーツ用品を思わせる独自のデザインの構築に成功しているが、その元祖となったのがC4カクタスだ。そしてDSをプジョーやシトロエンの上をいく高級ブランドとしてスピンオフさせたのも、これと同時期である。
それにしても、今回508SWに乗って目からウロコが落ちた気持ちがした。webCGではつい最近もシトロエン最新の「C5エアクロスSUV」や新型DSである「DS 3クロスバック」に試乗しているが、この508SWでトドメを刺された思いである。シトロエンやDSと同じく、プジョーもまた、ゆく道を“見つけた感”がアリアリなのだ。...