やれることしかやらない
イタリアのブランド・ファンティックが提案する、スタイリッシュなバイク「キャバレロ スクランブラー500」。都会の道を走らせて思い浮かんだのは、いつでも心を満たしてくれる、おいしい家庭料理だった。
オフロード系で完全復活
試乗ノートを繰って出てきた断片的なメモは、「イタリアの家庭料理っぽい」。もとよりイタリア人ではないから、かの地のマンマがつくる料理の神髄など知るはずもないし、ましてやミラノを州都とするロンバルディア州レッコ県バルザーゴ生まれゆえ、これまたイタリアンブランドにふさわしい113万円という価格に庶民性があるかといえば疑問符が浮かぶが、でもやはり、毎日食べても(乗っても)飽きが来ない親しみやすさがこのオートバイの良いところ。そう思わせる大きな理由のひとつは、スクランブラーというスタイルにある。
ファンティック・キャバレロ スクランブラー500。「ファンティックって何それ?」から説明しないといけないですよね。確かに、それ相応に二輪ブランドを知っているつもりの自分でも、ファンティックとなると旧車新車入り交じりで何でも扱う小さなバイク屋の壁際の奥にしまわれたまま何年も動いていなさそうな小さなバイクというイメージしかない。
先に触れたロンバルディア州で1968年に誕生。オフロード系に特化し、1970年代半ばにワークスチームを結成してトライアルやエンデューロ等のレースで大活躍する。が、競技に肩入れし過ぎて倒産の憂き目に。それを見かねた投資家グループが近年になって救いの手を差し伸べ、2019年には日本でもニューモデルがリリースされる運びになった。
その中の一モデルが今回の試乗車。ちなみにキャバレロ名義ではスクランブラーのほかに「フラットトラック」という系統もあり、いずれも125、250、500の3種を用意している。という丁寧な品ぞろえによって完全復活を宣言したファンティックが賢かったのは、かつて名をはせたオフロード系のモデルで勝負したこと。つまり「やれることしかやらない」に徹したことだ。...