隠れた名車 ここにあり
「BMW 6シリーズ グランツーリスモ」に追加設定されたディーゼルモデル「623dグランツーリスモMスポーツ」に試乗。定番のセダンでも人気のステーションワゴンでもない独自路線を行くクロスオーバーというポジションには、いったいどんな魅力があるのか。
存在感は薄くても
BMWは「7シリーズ」「X7」「8シリーズ」といった7以上のラグジュアリーセグメントを、BMWのなかのハイブランドとして位置付け、ブランドコミュニケーションも差別化している。それほど目立った動きがあるわけではないが、カタログの表紙は写真を使わず車名とロゴマークだけのシックなものとし、使用に厳しい縛りがあるロゴマークもモノトーンとすることが許されるなどが一例だ(必ずしも統一されていないが)。
案外好評だった元「6シリーズ」の「クーペ」「カブリオレ」「グランクーペ」を、そのラグジュアリーセグメント強化のために8シリーズへと上級移行させ、その空いたところに先代「5シリーズ グランツーリスモ」の後継として座らせたのが6シリーズ グランツーリスモというわけだ。少々複雑に思えるが、奇数はオーソドックスなスタイルのハッチバックにセダン、ステーションワゴン、偶数はクーペ系や派生モデルとすみ分けて、急増した車種に対してポートフォリオを整理。ここにきてようやく落ち着いてきている。
2017年に日本導入となった当初は3リッター直6ガソリンターボの「640i xDriveグランツーリスモMスポーツ」のみから始まり、2018年には2リッター直4ガソリンターボの「630iグランツーリスモ ラグジュアリー」および「Mスポーツ」を追加、そして2019年になって2リッター直4ディーゼルターボの「623dグランツーリスモ ラグジュアリー」および「Mスポーツ」も登場することとなった。しかし、それと同時に640i xDriveグランツーリスモMスポーツはラインナップから外された。セダンにステーションワゴン、SUVやクーペなど多くのジャンルのいいとこ取りをしたクロスオーバーは多様性が求められる現代的なモデルではあるものの、残念ながら日本ではそれほど人気がないようだ。
正直に告白すれば、BMWにそれなりにシンパシーを感じている自分も、6シリーズ グランツーリスモをもちろん知ってはいるし過去に試乗もしているが、その存在が頭のなかで薄れかけていた。今回、623dグランツーリスモMスポーツの試乗を持ちかけられても、瞬間的には「ん? どんなクルマだっけ?」と“?マーク”がいくつかともった後に「あー、あのカテゴライズが難しい不思議なアイツに、2リッター直4ディーゼルターボが搭載されたのか」と思った次第。何はともあれ乗ってみるかと、都内から富士スピードウェイで行われるイベントに赴き、同サーキットや周辺で試乗して帰京というルートをたどったのだった。...