SUVの皮をかぶったM3
「BMW X3 Mコンペティション」に冠された「M」の文字はだてではない。2tを超えるSUVボディーを“俊敏”に走らせるのに十分なパワーと、時に過剰とも思えるほどに引き締められた足まわりを持つその中身は、まさにスポーツカーと表現したくなる出来栄えだった。
油断禁物
突然、ビクッと針路が乱れて驚いた。車線をはみ出しそうになってレーンキープアシストに引き戻されたのか(最近のBMWのアシストは強力だ)、と思ったがそうではない。のんびり流れる一般道を穏やかに走っていただけだ。そうだ、そうだった、これはそういうクルマだった。気を抜いていたわけではないが、周囲の環境に合わせて静かにスムーズに移動していただけなので、しかも視点の高いSUVだったために正直忘れていたかもしれない。これは本物の「M」であり、しかもハイパフォーマンス仕様の「コンペティション」なのだった。
それにしても、である。昔の車高の低いスポーツカーならいざ知らず、最近は高性能車であっても、路面の轍(わだち)やうねりに敏感に反応して、いわゆるハンドルを取られるという状態になるクルマはまずお目にかかれないのに、これは何というか、スパルタンなレーシングカーのようなむき出しの野性が時に垣間見えるようだ。常にナーバスでワンダリングに気を遣う必要があるほどではないが、注意を怠っていると、たまに「ボーッとしているんじゃねーよ!」と叱られてしまう。21インチタイヤとガッチリ引き締まったアダプティプMサスペンションを甘く見てはいけないということだ。
言うまでもなくX3は、今や「X1」から「X7」まで隙間なくそろうBMWのSUV(BMW流ではSAV)の中核車種。X3 MはそのX3の3代目にして初めての「M」バージョン、サーキット走行をも念頭に置いたという硬派な高性能モデルである。...