進化するベンチマーク
Cセグメントハッチバックの世界的ベンチマーク「フォルクスワーゲン・ゴルフ」がいよいよフルモデルチェンジ。劇的なまでのデジタル化に込められたフォルクスワーゲンの狙いとは? 8代目となる新型の出来栄えを、ポルトガルよりリポートする。
電動ラインナップの拡充を見据えて
1974年の初代登場以来、世界では累計3500万台以上、日本でも90万台以上を販売したVWゴルフ。その8代目となるモデルが、この12月より欧州を皮切りに世界で順次発売となる。
ゴルフ8の進化のベクトルをひと言で言い表すなら「デジタライズ」ということになるだろうか。標準化された10インチの液晶メーターパネル、インフォテインメントパネルに機能を集約した各種操作系やAIを使ったボイスコミュニケーション、e-SIMによる常時通信を用いたアップデート体制の構築や、スマートフォンとのコネクティビティーの強化、進化および充実した運転支援システム(ADAS)の標準化や車車間通信の採用など、すべてを取り上げればキリがないほどの内容だ。
ローカライズの関係で、これらのどこまでが日本仕様に反映されるかは現時点では未定だが、VWがこのゴルフ8を皮切りに他モデルでも順次、電子系アーキテクチャーを大幅に更新していくことは間違いない。そしてこの流れは当然EVのサブブランドであるID.の展開ともリンクしている。つまりVWは、電気も内燃機も関係なく、「CASE」(Connected、Autonomous、Shared&Services、Electric)の「C」と「A」の領域で大幅なモジュール化を図り、コスト圧縮と競争力向上を図ろうということだろう。中核たるゴルフ8の容赦ないデジタルっぷりからは、そんな思惑がうかがえる。
ゴルフ8のプラットフォームは、この電子モジュールも基礎に織り込んだ新世代の「MQB」となった。サブフレームレベルから見直されたことで軽量・高剛性化を果たしたサスペンションは、搭載されるパワートレインの出力に応じてリアにトーションビームとマルチリンクが使い分けられる。オプションで選択できる電子制御可変ダンパーはESP(横滑り防止装置)ユニットとひも付けられており、要求値に応じて各輪支持を独立してコントロール。その調整もきめ細かくなった。これによってブレーキを用いたLSD機能との連携による高い敏しょう性や姿勢の安定化が実現した一方で、減衰力を一段と下げて、より乗り心地の側に振ったモードも選択できることになる。...