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今夏再び復活、誕生から50年経ても『時かけ』が鮮度を保つ理由

  • 7月期のドラマ『時をかける少女』(日本テレビ系/土曜 後9時)に主演する黒島結菜 (写真:鈴木一なり)

    7月期のドラマ『時をかける少女』(日本テレビ系/土曜 後9時)に主演する黒島結菜 (写真:鈴木一なり)

 この夏、筒井康隆氏の名作SF小説『時をかける少女』が、気鋭の女優・黒島結菜主演で連続ドラマ化(日本テレビ系/毎週土曜 後9時)。「何度目のリメイク?」、「まさに“時をかける”作品だ」などと話題を呼んでいる。女優の原田知世が主演しヒットした、初の映画版の公開が1983年。以降映画をはじめ、ドラマ、アニメと計10回の映像化のほか、漫画、絵本、ドラマCD、舞台化などジャンルを問わずリメイクが繰り返され、その度に注目を集める超キラーコンテンツとなった。原作誕生から50年以上が経つ今なお、なぜ“時かけ”はその鮮度を保つことができているのだろうか?

青春SF小説の金字塔 映画ヒットで“若手女優の登竜門”としても注目

  • 原作者の筒井康隆氏 (C)ORICON DD inc.

    原作者の筒井康隆氏 (C)ORICON DD inc.

 原作は主人公の中学3年生の少女が、ラベンダーの香りを嗅いだことをきっかけに“時を自在に超える能力=タイム・リープ”を身につけ、その能力を通してさまざまな思いや経験を重ねていく物語。推理サスペンス的な要素に青春、淡いラブロマンスも絡み、内容としては王道の学園ものと言ってもいいだろう。連載が開始した1965年以前にも名作と呼ばれるSF小説は存在するが、青春や恋愛といったキーワードを盛り込みながら身近な“近未来”を描き、SF小説をよりスタンダードなものに導いたのは紛れもなく同作であり、筒井氏が日本におけるSF小説の第一人者と呼ばれる理由のひとつでもある。
  • 初の映画版でヒロインを務めた原田知世 ※写真はDVD『時をかける少女 角川映画 THE BEST』

    初の映画版でヒロインを務めた原田知世 ※写真はDVD『時をかける少女 角川映画 THE BEST』

 タイトルは異なるが初の実写化は、1972年にNHKの「少年ドラマシリーズ」第1弾として放送された『タイム・トラベラー』。これは、後に同枠でドラマ化された『なぞの転校生』(75年)などに続く、SF要素を持つ学園ドラマの先駆け的存在だったと言っていいだろう。そして1983年、大林宣彦監督のいわゆる“尾道三部作”のひとつとして劇場公開され(同時上映は薬師丸ひろ子主演の『探偵物語』)、大ヒットとなるのである。

 「主演の原田知世さんは、ショートカットに当時は珍しかったブレザー姿で、抜群の透明感と美少女ぶりを見せて一躍、人気女優の仲間入りをしました。興行収入も51億円、原田さんが歌った同名主題歌(作詞・作曲は松任谷由実)も大ヒットしました。その後、続々とテレビドラマ化されて、1985年に南野陽子さんがセーラー服で、1994年には内田有紀さんがブレザー姿で主人公を演じています。言ってみれば、この作品は清純派の若手女優の登竜門的作品でもあり、『仮面ライダー』を演じた主人公が人気俳優になるように、『時かけ』の主人公を演じることは、人気女優への切符を手に入れるようなものなんです」(ドラマ制作会社スタッフ)

細田守監督によるアニメ化で“世界の時かけ”へ成長

  • 細田守監督のアニメ映画は、女優の仲里依紗がヒロインの声を務めた

    細田守監督のアニメ映画は、女優の仲里依紗がヒロインの声を務めた

 さらに2006年には、やはり青春アニメの王道を行く細田守監督によってアニメ映画化され(フリー転身後の第1作目)、日本のみならず世界各国の映画祭で賞を獲得するヒット。“世界の時かけ”として海外でも愛される作品へと成長した。今年7月には、その公開10周年を企画して、劇中に登場する東京国立博物館で展示会や野外上映会などが行われるのだという。

 2010年には、同アニメ版で主人公の声を担当した、女優・仲里依紗主演で再び実写映画化。そしてこの夏、2002年に当時モーニング娘。のメンバーだった安倍なつみが主演して以来、14年ぶりにテレビドラマ化されることになり、ヒロイン役に新進気鋭の黒島結菜が抜てきされたのである。
 「黒島さんは『カルピスウォーター』のCMガールや、脇役ながらも多くのドラマに出演している注目の美少女です。やはり清潔感はピカイチで、『時かけ』の主人公の系譜をしっかりと受け継いでいますね。土曜の夜9時放送という枠を用意しているあたりも、日テレさんの本気度が伺えます」(前出・スタッフ)

“近未来”物語だからこそ、オリジナリティを加えやすい

 原作誕生から50年以上、初のテレビドラマ化から44年経った今なお愛されている、同作の人気の秘密は一体どこにあるのだろうか?
  • 新作に抜てきされた黒島結菜は、どんなヒロインを演じるのか? (写真:鈴木一なり)

    新作に抜てきされた黒島結菜は、どんなヒロインを演じるのか? (写真:鈴木一なり)

 「50年経った今でも、テレポーテーションやタイムマシーンは現実化していません(笑)。内容も学園ドラマだし、思春期の女の子のラブストーリーでもあります。それに、ハラハラドキドキのサスペンス的要素もある。たとえ時代や役を演じる俳優が変わっても、いつでも“近未来”ものとして十分に通用するんです。つまり古臭くならない。どの時代のどの世代にも共感される作品であることは間違いないでしょう」(前出・スタッフ)

 『時をかける少女』は、いつの時代でも“現役”コンテンツとしての力を持つ普遍的な作品。そしてさらには、リメイクされる度に主人公役の女優を光り輝かせる作品でもあるわけだ。また“近未来”ものであるゆえ、スパイスとして物語にオリジナルの要素を加えやすい点も強みと言えるかもしれない。これまでのヒロイン役に見る日本の“美少女史”、時代設定の移り変わりなどにも思いを馳せれば、新作のドラマ版もさらに興味深く鑑賞できそうだ。

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