ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

『コウノドリ』原作者・鈴ノ木ユウ氏「ドラマ版の着地点、楽しみ」

 俳優の綾野剛が主演するTBS系ドラマ『コウノドリ』(毎週金曜 後10:00)。妊娠、出産に向き合う産婦人科のリアルな医療現場と命の奇跡を描くヒューマンドラマだ。原作は『週刊モーニング』(講談社)で連載中の同名漫画。生みの親である原作者・鈴ノ木ユウ氏へのインタビューを通して、原作&ドラマの魅力に迫った。

TBS系ドラマ『コウノドリ』の原作者・鈴ノ木ユウ氏 (C)ORICON NewS inc.

TBS系ドラマ『コウノドリ』の原作者・鈴ノ木ユウ氏 (C)ORICON NewS inc.

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


――ドラマ化されることを予想していましたか?

【鈴ノ木ユウ】考えたこともなかったです。とても光栄に思いますし、うれしいのですが、どこか他人事のようでもあり…。不思議な感覚です。自分の漫画が雑誌に載るというだけでもすごくラッキーなこと。それが連載されて、単行本になって、いまも続いていて…。週刊誌の連載は大変ですが、本当にありがたいことだと思っています。

――ドラマ化が決まってからコミックスが増刷されるなど、原作者にもメリットがあったかと思いますが…

【鈴ノ木】コミックスが売れてくれるのはもちろん、うれしいです。一人でも多くの人に読んでもらいたくて漫画を描いているのですから。綾野さんのような人気のある俳優さんが演じてくれると、若い女性も興味をもってくれそうですし。ドラマきっかけで読んでもらって、何かを感じてもらえたらありがたいです。

――なぜ、産婦人科医が主人公の漫画を描こうと思ったのですか?

【鈴ノ木】大学で油絵を専攻していたんですが、途中からミュージシャンを目指すようになって、卒業後はバンドやソロで活動していました。でも、音楽だけでは食べていけず、ラーメン屋などでアルバイトをしていた頃ですね、妻に子どもができたのは。35歳でできちゃった結婚。それから友人の漫画家の勧めもあって、漫画家になろうと思ったんです。妻の出産に立ち会い、赤ちゃんが無事に生まれてくることは当然ではなく、実は奇跡の連続で、さまざまなリスクや危険もあるし、さまざまな葛藤があることを知って、これを伝える使命感みたいなものに突き動かされるものがありました。

妻の幼なじみが産婦人科医で、休みの日でもしょっちゅう病院の呼び出しに応じている姿を見ていたし、息子を出産した時の担当医がたまたまジャズピアニストで、彼らをモデルに作品のアイデアを練ることができたのも幸運でした。すべてはわが子がきっかけ。子どもに二度目の人生をもらった感じです。

――命の誕生の現場というものが、こんなにもドラマチックで、こんなにもやるせないものなのかと。まるで自分が選択を迫られているような気持ちになることもあります。

【鈴ノ木】妊娠・出産というのはものすごくデリケートな話でもあります。僕の漫画に描いてあることが、必ずしも“あなたにとっての正解”ではないということ。考え方が偏らないように、誤解を与えないように考慮して、配慮して、本当にこのネームでいいのかと、いつも悩みながら描いています。

――タイトルですが、「赤ん坊を運んでくる」といわれるコウノトリではなく、なぜ「コウノドリ」と濁るのですか?

【鈴ノ木】内容を考えることでいっぱい、いっぱいで。連載が決まるまで、タイトルまで気が回らず、気がつけば『コウノドリ』になってました。

――主人公の名前は「鴻鳥(こうのとり)」なんですね。

【鈴ノ木】僕にとって一番大切なのは内容、ネームです。もっと画がうまく描けたらいいなとも思うけど、画がいくらうまくても内容がつまんなかったら意味ないと思うし。だから、登場人物の名前を考えたりするのも苦手。今回は知り合いの産婦人科医が「苗字は“こうのとり”しかないでしょう」と勧めてくれました(笑)。

――ドラマでは、心優しい産科医であり、情熱的なピアニストでもあるサクラを綾野剛さんが演じていますが、感想は?

【鈴ノ木】主演は綾野剛さんと聞いた時、僕の中で綾野さんといえば、朝ドラ『カーネーション』の周防役のイメージが強かったので、どんな鴻鳥先生になるかピンとこなかったんですが、役衣装での撮影の際に初めてお会いしてお話したら、ルックスはクールなのに、ハートはすごく熱い方だということが伝わってきて、綾野さんでよかったと思いました。

――ドラマの脚本は、大河ドラマ『八重の桜』や連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』などを手がけた山本むつみさんが担当。原作のモデルとなった医師のいる大阪の病院をはじめ、各地の医療施設などを取材して、産婦人科医療や新生児医療、子育ての問題なども丹念に調べて脚本に落とし込んでいるそうです。

【鈴ノ木】僕は男ですし、連載も男性誌なので、男性目線で描いている部分があると思うんです。山本さんは女性なので、「女性目線で描くとそうなるのか」という発見があって面白いですね。漫画で男性が言ったせりふをドラマでは女性に言わせていたり、それによってインパクトが変わったり。漫画と一緒だったらドラマ化する意味がないと思いますし、ドラマは1クールでひとまず終わらせないといけないので、山本さんなりにドラマ版の着地点を考えていらっしゃるでしょう。僕も楽しみにしています。

 原作コミックス最新12巻は11月20日に発売。

関連写真

  • TBS系ドラマ『コウノドリ』の原作者・鈴ノ木ユウ氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 今年7月にNHK『あさイチ』に著者出演、さらにドラマ化で漫画の売り上げも爆発的に伸びているそうです (C)ORICON NewS inc.
  • 『コウノドリ』(鈴ノ木ユウ/講談社)単行本12巻、11月20日発売(『週刊モーニング』で連載中)
  • 『コウノドリ』(鈴ノ木ユウ/講談社)単行本1〜11巻発売中(『週刊モーニング』で連載中)

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索