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韓国映画特集『話題作が続々!なぜ今!?ファン層に変化のきざし!?韓国映画に見える5つの軸』

2013年5〜7月、韓国に関係する映画の公開が相次いでいる。これは日本の市場のニーズなのか、韓国映画が盛り上がっているのか、はたまた社会情勢との兼ね合いなのか。そして、現在の韓国映画はどういう状況なのか、韓流ブーム、K-POPブームが落ち着いた今こそ、韓国映画を通じて見えてくるものとは何かを探ってみたい。関係者へのインタビューから浮かび上がる韓国映画界の今と日本映画界の突破口とは!?

映画を楽しむ国民性がクオリティの高い作品を作らせる

横山和宏氏
CJ Entertainment Japan 配給宣伝チーム チーム長

韓国の3大メジャー映画会社のうちの1社であり、『私のオオカミ少年』『王になった男』、そしてアメリカでもヒットしている『ベルリンファイル』など日本でも話題の作品を数多く配給するCJ Entertainment Japanの横山さんに、韓国映画界の今とこれから、日本での韓国映画の可能性について聞いた。

私のオオカミ少年 私のオオカミ少年

私のオオカミ少年 私のオオカミ少年

王になった男 王になった男

王になった男 王になった男

ベルリンファイル ベルリンファイル

ベルリンファイル ベルリンファイル

ベルリンファイル ベルリンファイル

――韓国では『王になった男』や『10人の泥棒たち』のように、国内で動員1000万人を超すヒット作品が次々と生み出されています。人口がおよそ5000万人と、日本の半分以下の韓国では、CDなどの国内売り上げは伸び悩み、市場を外に求めグローバル化の動きがあるというのに、なぜ映画だけは国内市場がここまで機能しているのでしょうか?
【横山】  韓国では、2012年の映画館の延べ観客数が1億人に達しました。ということは国民1人が1年間に2本は映画を観ていることになります。これは日本の約2倍(※)で、韓国にはそれだけ映画を楽しむという土壌があるんです。その理由のひとつは、映画を観る単価が日本円にして700円くらいと安いこと。そして、日本の映画の客層は中高年が中心ですが、韓国では年齢性別を問わず、特に若者も映画館で映画を観ているということがあります。多くの若者の間では、かつての日本でもそうだったように、映画がつねに友だちとの話題になるなど、娯楽の中心に位置していて、いい映画を探して楽しみたいというモチベーションがあります。そういうなかで、周りが行くから遅れをとらないために自分も、という人たちも多く、みんなに楽しまれているんです。業界的にみると、韓国はロッテ、ショーボックス、そしてCJというメジャー3社と、ハリウットメジャースタジオが健全な競争関係を形成しながら市場を育てています。 (※2012年度の日本の映画館入場者数:約1億5500万人)

――その一方で、日本も同様ですが、シネコンが中心になってミニシアターが少なくなり、インディペンデント系の映画が上映されにくいという事実もあるようですね。韓国では『サニー 永遠の仲間たち』は740万人、『建築学概論』は400万人、『私のオオカミ少年』は700万を突破するヒットだったわけですが、日本に入るときには、作風によって、ミニシアター系の映画と位置付けらることもありますよね。そして、これらの作品の特徴としては、若手のまだ作品数の少ない監督が起用されていることがあると思います。こうした若手監督がなぜ韓国で数百万人もが観るヒット作を作ることができるのでしょうか?
【横山】  『サニー』のカン・ヒョンチョル監督は『過速スキャンダル』に続いて2作目、『私のオオカミ少年』のチョ・ソンヒ監督も2作目であれだけのヒットを出しました。若手監督を大きな作品に抜擢する韓国映画業界の懐の深さと、あとは監督が脚本を書けるということも大きいかもしれません。韓国映画では、監督が脚本を書くことが非常に多いんです。それから、今はメジャーの映画会社によって、若手クリエイターの争奪戦になっていて、若い作家に投資がされています。

――若手の台頭とともに、これまで韓国映画界を牽引してきたパク・チャヌクが『イノセント・ガーデン』で、ポン・ジュノも『Snowpiercer(雪国列車)』でハリウッドデビューを果たし、キム・ギドクは『嘆きのピエタ』でヴェネチア映画祭・金獅子賞を受賞するなど、世界を舞台に活躍しています。この動きはまだまだ続くのでしょうか。
【横山】  CJで配給する『ベルリンファイル』も、東西分断の象徴、ベルリンで南北に分断されている北朝鮮と韓国の諜報員が暗躍するスパイアクションで、アメリカでも21都市で公開されました。次にハリウッドで通用するのはリュ・スンワンではないかと個人的にも思っていて、まだまだこうした動きは続くんじゃないでしょうか。

――今後の日本での韓国映画はどうなっていくと思われますか? 【横山】 韓国映画には、『ベルリンファイル』のように男性に支持される社会性の強いアクション映画もあれば、『王になった男』のようにイ・ビョンホンというスターがいてそこに社会性が加わった作品もある。また、『サニー』のような人間ドラマもあり、市場があるだけに作品の幅も広いんです。しかも、『サニー』はターゲットとしていた女性ではなく、“おっサニー”といわれる男性たちがツイッターなどを通じて盛り上がった、いわゆるバズった好例でもありました。でも、それは作品力があるからだと思います。韓国国内のマーケットが大きいので、日本の市場にあった作品は今後もたくさん出てくることでしょう。そして、日本でのニーズがまだまだあるので、CJ Entertainment Japanでも良質な韓国作品をもっと配給し、これまでのノウハウをいかした展開で業界でも存在感を突出させてゆきたいと思っています。

(文:西森路代)

映画情報

ベルリンファイル

 北朝鮮諜報員ジョンソンは、アラブ組織との武器取引現場を韓国情報院の敏腕エージェント・ジンスに察知され追い詰められる。どうにか難を逃れるが、妻ジョンヒに二重スパイ疑惑がかけられていると知り苦悩を深めていく。すでに彼自身までが恐るべき巨大な陰謀に巻き込まれた戦いが陰謀都市ベルリンで始まる。生き残るのは果たして――。

監督:リュ・スンワン
出演:ハ・ジョンウ ハン・ソッキュ チョン・ジヒョン リュ・スンボム
【予告編】 【OFFICIAL SITE】
2013年7月13日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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【インタビュー】
 
 

【予告編&作品詳細】
 
10人の泥棒たち  ベルリンファイル

 
悪いやつら  嘆きのピエタ

 
建築学概論   私のオオカミ少年

 
フェニックス〜約束の歌〜   コードネーム:ジャッカル

 
殺人の告白    共謀者

 
私は王である!  王になった男

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