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aiko『大切な人に向けて届けたい!強い願いと想いを込めた新曲とは!?』
ライブがきっかけになったできた曲
aiko曲自体はけっこう前に作ったものだったんですよ。それが思いがけずCMで使っていただけることになり、さらに今回こうやってリリースできるのは本当に嬉しいです。
――本作は、歌い手として、そしてひとりの人間としてのaikoさんの強い想いが込められた曲だと思いました。どのような経緯で生まれたんですか?
aiko私はライブをやっていると、“あぁ、この楽しい時間もあと少しで終わってしまうんだな”ってすぐ考えてしまうんですよ。みんなと目を合わせて楽しく過ごしているにもかかわらず、荷物を持って会場を後にしていくお客さんの姿を想像してしまうというか。それですごくせつなくなってしまうんですよね。
――必ずやってくる“終わり”を強く意識してしまうと。
aikoそうなんです。それってライブはもちろん、生きるということに関しても同じなんですよ。大切な人の側にずっといたいけど、人生にもライブと同じように終わりが来てしまう。だから私は限られた時間のなかで、自分の思っていることをまっすぐに届けるにはどうしたらいいのかなってすごく考えるんです。そんな気持ちからできたのがこの曲なんですよね。
――歌詞のなかには、<ねぇ 隣で歌わせて>という印象的なフレーズがありますが、いわばそれがaikoさんにとってのひとつの答えだったわけですね。
aikoはい。歌詞のなかじゃないとおこがましくて言えない言葉ではあるけど、それができたら幸せだろうなって思うんですよね。
――Bメロには<螺旋描いて 渦に潜って二人になれたら>というフレーズもあって。そこには、どんな困難があっても大切な人とともに人生を歩んでいきたいという強い願望と決意が含まれている気がして。すごく胸打つポイントだなぁと思いました。
aikoライブの最中にふと目をつぶると、そういうイメージがワッと沸きあがってくるんですよ。たくさんの人の前で歌ってるんだけど、気持ちが1対1になる瞬間がすごくあるというか。あとはね、歌詞を書いているときには頭の中にイラストが浮かぶんです。それはきっと漫画が好きだからだと思うんやけど、実際、好きな人と一緒に海の中を回転しながら潜っていく映像がパッと見えたんですよね。それを言葉にするとどうなるのかなと思って綴っていった感じでした。
――お話をうかがっていると、今回の楽曲が生まれる背景にはライブが大きく影響しているようですね。
aikoそうだと思います。ライブがきっかけになってできた曲っていうのは、これまでにそれほど多くはないんですよ。自分にとってのかけがえのない場所だし、それを言葉にすることにどこか恥ずかしい気持ちもあったので、あまり書くことができなかったんですよね。でも、ライブをたくさんやらせてもらっていくなかで、あいかわらず自分にとって尊いことではあるけど、どこか日常として近くに感じられる瞬間も出てきて。だから今回はこういう曲を書くことができたのかなぁって思いますね。<隣で歌わせて>って思えるようになったのも、ファンのみなさんがいてくれたからこそだと思いますし。
歌っているときに何度も泣きそうになる瞬間がある
aikoライブをたくさんやらせてもらうようになったので、こういうロックな曲がすごくやりたくなるんですよね。今回はカップリングで思い切りやらせてもらった感じで(笑)。言葉数がたぶん今までで一番多いと思うので、歌うのもかなり早口になってます。テンポもめっちゃ速いですし。
――タイトルを見て“誰に対しての舌打ちなのかな?”って思っていた人も多いと思うのですが、正解はご自身に対してでしたね。
aikoそうなんです。自分に対して“しょーもないなぁ”“なさけないなぁ”って思うことがほんまに多くて。だからそういう気持ちをワーッと吐き出してみました。自分に対しての正直な想いを書きたかったから、こっそり関西弁も使ってます。
――曲にしたことでスッキリしました?
aiko“しょーもないなぁ”って思う気持ちはあいかわらずありますけど、自分のなかにあるいろんな感情を一気に吐き出すのはすごく楽しかったです(笑)。
――これはライブで早く聴きたいですよね。絶対盛り上がります。
aikoわぁ嬉しい!息する場所がなくて大変な曲ではあるんだけど、歌っているとどんどんテンションが上がってくるんでね、私も早くライブで歌いたいです!
――そしてもう1曲は、ミディアムバラード「朝寝ぼう」。タイトル通り、朝の光景から曲が始まっていますね。
aikoちょっと遅く起きた朝、向かいの家の壁に写る影の色がいつもと少し違って見えたんですよ。そのときに“あぁ時間によってこんなに違うもんなんだなぁ”って思って、そこから曲のイメージが広がったんですよね。
――そんな些細な日常の風景をきっかけにしながらも、歌詞で描かれる想いは人生における大切なことへ流れていきます。
aikoはい。生きていると嬉しいことと同じくらい悲しくて辛いこともあるけど、私はやっぱり笑って過ごしていきたいなってすごく思ったんです。そうするための努力をしていこうって。この曲を書いているときは、周りの大切な人たちの顔が浮かんでいましたね。
――“笑って過ごしたい”というメッセージはすごくシンプルなものではあるけど、この曲にはその裏に潜んでいる様々な感情がリアルに滲み出ているので、聴いていると涙が止まらなくなってくるんですよね。
aiko人が抱えている痛みや苦しみは、お互いに完全に理解することができないんです。だからそれがすごく辛くて悩むこともあって。でも、そういう大変な想いをしている人が毎日を笑顔で過ごしているのを見て、私にできることもきっと笑顔でいることなんだなって思うことができたというか。私も歌っているときに何度も泣きそうになる瞬間はありましたね。歳を重ねてきた今、こういう曲を書くことができて本当に良かったと思います。
(文:もりひでゆき)
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