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(更新: ORICON NEWS

高梨臨『国際派女優が見る新しい世界―幸せを感じる瞬間と今の想い…』

日本&インドネシア合作の衝撃作! 殺しに魅せられた男たちの魂を描く『KILLERS/キラーズ』は、おぞましくも美しい劇毒エンターテインメント。北村一輝演じる殺人鬼の心を動かす重要なヒロインを演じたのは、今世界のメディアから注目を集める女優・高梨臨。アッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』に続き国際的な作品への出演を果たした彼女に、女優としての今の思いを聞いた。

<動画インタビュー>いまだから明かす映画デビュー当時の挫折……

発想が変わる――価値観が異なる海外監督との撮影

──容赦ない殺人シーンと、色濃い心理描写が大迫力の映画ですね。オファーを受けたときはどう思われましたか?
高梨初めて台本を読んだときは、主人公の野村(北村)のことがまったく理解不能でした(笑)。残虐なシーンについても、怖いという感情よりも、すごすぎて「映像化できるの?」という驚きが先でしたね。台本は英語だったんですけど、日本語訳もいただいたので一緒に読み進めていき、気になった箇所を北村さんと読みあわせをしながら、自然な言い回しになるように変える作業も行いました。北村さんから「英語がこうだったら、こっちはこう言った方がいいんじゃない?」と提案していただけることがたくさんあったので、引っ張ってもらいながら私も一緒に考えて、作り上げて行った感じでした。

──英語を日本語に訳す場合、ニュアンスを正確に伝えるのは難しいですよね。でも考えを出し合うというのは、ある種やりがいを掻き立てられる面もありそうです。
高梨そうですね。普段私は監督に任せてしまうタイプなので、北村さんの姿勢に教わることがいろいろありました。ひとつの提案から新しい発想が生まれたり、言葉を少し変えるだけで作品への理解がぐっと深まったり。大きな経験になったと感じています。

──お芝居として大変な面はありましたか?
高梨野村の目から見た久恵(高梨)と、そうではない普通の久恵はちがうと思っていたので、シーンによってそのちがいを微妙に意識して演じるようにしていました。その点が苦労したところですね。

──モー・ブラザーズ監督からは具体的な演出はあったんですか?
高梨襲われて抵抗する場面で、「女性の強さを出してほしい」と言われたことはありました。そのときは、監督が考える日本人女性像がそれなのかな、と思って演じていたんですけど、でも最近になってその点を尋ねたら「ちがう」って言われて(笑)。私自身に対するイメージを活かす演出だったみたいなんです。実は監督は私を見て久恵のイメージを変えたらしく(笑)。驚きましたけど嬉しいことだと思いました。

──『ライク・サムワン・イン・ラブ』(2012年)に続き国際的な作品への出演となったわけですが、こういった作品に携わる醍醐味をどう感じてますか?
高梨国内向けの作品でも、当然学ぶことはたくさんあります。ただ海外の監督とのお仕事は、価値観自体が異なることも多いので、発想がもとから変わったり、新しい世界を見せてくれたりします。そういう瞬間はやっていて幸せだなと感じますね。

あまり“我”がないから順応できる!?

──価値観というのは、何に対する?
高梨例えば今作のモー・ブラザーズ監督だったら、撮り方や演出が特徴的で、私がまだ日本で経験したことがないことがたくさんありました。そもそも、ふたりで監督をされていることも珍しいですよね。あと今作に限らずですが、“理由がない芝居”を求められることもけっこうあります。以前は“行動すべてに理由がある”と考えて演じている部分があったんですけど、私が出会った海外の監督の場合はそうとは限らなくて。それはすごくおもしろいなと感じます。

──今後、世界へ向けた国際的な作品に日本人俳優が出演する機会はますます増えて行くと思います。そのなかで高梨さんは、どういう役者になって行きたいですか?
高梨海外だけでやる女優になりたいとはまったく思っていなくて、チャンスがあれば海外の作品もやるし、日本の作品だってどんどんやっていきたいです。純粋にいい作品に巡り会えたら幸せだなと日々思っています。

──すでに国際派女優と称されることも多いですよね。
高梨いえ、自分自身まだまだだと思っています(笑)。でもやっぱり海外作品には積極的に参加したいので、いろいろ勉強していきたいですね。

──高梨さんは、出演作のジャンルの幅が広いですよね。
高梨キアロスタミ監督の撮影の前が戦隊ものの特撮ドラマだったんですけど、当時周囲から「これ以上の振り幅はないでしょ」ってよく言われていました(笑)。私……あまり“我”がないんです。作品ごとに監督に染まりたいという気持ちはありますけど、“こう演じたい”という気持ちはなくて。ほしいと思ってはいるんですけど……。でもだからこそ、幅広く順応することができてるのかもしれない、とも考えたりします。

──天性の女優さんという感じですね。
高梨いえ、自分としては“我”がないことはマイナスに感じています(笑)。

──出演だけでなく、観る作品の幅も広いですよね。最近印象に残っているおすすめ映画はありますか?
高梨悩むなあ……。こないだホン・サンス監督の恋愛シリーズ4本をコンプリートしたんですけど、これはすごくよかったですね。DVDで観たんですけど、1本目、2本目と作品を重ねるごとにどんどんおもしろさが深まって感じられて。ああいう作品にも出たいなと思いました。

──最後に、2014年の抱負を教えてください。
高梨半年くらいは、NHK連続テレビ小説『花子とアン』の撮影をやっているので、それを一生懸命やりたいです。それと、以前お仕事をご一緒した方に再び声をかけてもらう機会が増えているので、そういう“繋がり”、人との関りを大切にできる年にしたいと思います。

(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

映画『KILLERS/キラーズ』

  東京―無機質な部屋で女を静かに殺害し、その様をじっくりと撮影する野村(北村一輝)。ジャカルタ――腐敗した政治の不正を暴くため奔走するフリージャーナリスト・バユ(オカ・アンタラ)。バユは、動画サイトにアップされた殺戮映像を発見する。その映像には、残酷にもかかわらずどこか美しさが漂っていた。
 殺意は感染する――。国の違いも、育った環境も超えて通じ合い、殺しにのめり込んでいく男たち。二人が宿命の出会いを果たしたとき、血も凍るクライマックスが幕を開ける!

監督:本木克英
出演者:北村一輝 オカ・アンタラ 高梨臨 
【映画予告編】 【公式サイト】
2014年2月1日(土)全国公開 (C)2013 NIKKATSU/Guerilla Merah Films

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