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芋洗い坂音楽ストリート『ザ・タイガース、完全オリジナルメンバーで復活!なぜ今懐かしいバンドの復活が相次ぐのか?』

チケットが早々にプレミア化、東京ドームでさえ入手困難だった復活コンサート

 12月3日の日本武道館、ステージの後ろまでぎっしり超満員の客席。ステージ後ろをセット設営に使わないステージパターンだと1万3000人が入る勘定になる。集まった年配の彼ら彼女らが待っていたのは、ザ・タイガースだ。

 ザ・タイガースは1960年代のグループサウンズ(GS)ブームを牽引した超人気グループ。1971年1月24日の日本武道館での“ビューティフルコンサート”を最後に惜しまれつつ解散した。その後、ドラムス担当の瞳みのるが高校の教師になったことや沢田と加橋の一時的な確執などもあり、ここまでの42年間、誰かが欠けての再結成的なコンサートは行っていたが、オリジナルメンバーが完全に揃ってのコンサートはなかった。

 それだけに、オリジナルメンバー勢揃いの今回の全国コンサート・ツアーへの期待は大きかった。初日の日本武道館は解散コンサートを行った場所だけに、チケットも早々とプレミア化し、ラストの東京ドームでさえチケットが入手困難ということになったのだ。

 今回のステージは当時の熱狂のステージを思い出させるような構成で、第一部が洋楽曲、第二部が自身のヒット曲で展開。スタートは「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」。そして「サティスファクション」、「ノーホエアマン」と、当時の洋楽ヒットが続く。サリーの低音、トッポの高音が絶妙に絡み合う彼らのハーモニーが、当時としてもコーラスの魅力が際立っていたことを思い出させてくれる。当時はジュリーこと沢田研二の魅力だけでもっているグループと勘違いしている人も多かったが、実は沢田以外のメンバーの声がからみ合ってこそザ・タイガースなのだと、あらためて感じさせてくれるコンサートだった。結局、第1部11曲、第2部14曲、アンコール3曲を歌い2時間30分。この手の再結成によくあるサポートは入れずに、5人だけでの演奏だったため、リハ不足の演奏もみられたが、それも含めてこれがザ・タイガースなのだと、満足させてもらえる内容で、たぶん集まっていたすべてのファンが満足して帰路についたのではないだろうか。

70年代バンドの復活、そこにはどんな理由があるのだろうか

 それにしても、70年代に大活躍したバンドの再結成が多くなっている。今年、ラストの日本武道館3日間を含む全国47都道府県ツアーを行ったアリスの再始動を始め、大阪のブルースバンド憂歌団や70年代の骨太ロックバンド外道など、次々と再結成や再活動をおこなっているのだ。

 今なぜ70年代のバンドが、再度当時のメンバーが終結して活動を行うのだろうか。その理由と年齢が無関係ではないだろう。
 例えば、ザ・タイガース。全盛期に加橋が人気のジュリーに反目しグループを脱退した。そして解散後は、瞳が音楽の世界に見切りをつけ、高校教師としての道を選んだために、ドラムスと音楽の道を完全封印、定年まで彼は音楽の世界に一切顔を出すことはなかったのだ。ということは、今回のザ・タイガースの再結成の一番の原動力は瞳の定年による活動できる体制が整ったことということができる。ここで重要だったのは、まさに瞳の年齢だったというわけだ。

 これとは別の意味で、年齢が確執を薄め、人と人との絆を取り戻させることも多い。若い時には、他のメンバーの方が評価が高いということでジェラシーを抱き、それが確執に発展するケースがかなり多い。バンドの解散の理由はそういった確執か歌を作る人間とそうでない人間の金銭的なアンバランスさがほぼ原因といって間違いないだろう。アリスの場合は谷村新司と堀内孝雄の関係が悪化したのはまさに堀内の嫉妬からのものだった。そして、グループは活動を停止、その後散発的に数度集まったものの活動とまではいかない状態が続いた。そして、その沈黙を破るきっかけになったのは、彼らの還暦だった。

還暦で変わる考え方、次は1980年代に活躍したグループの再結成か

 還暦60才という節目は人の考え方を変える。堀内は谷村への嫉妬をいつの間にか消し去り、またこうして3人で活動できることを喜んだ。それはそうだ。この年齢になると、いつ死ぬかわからない。死んでしまえば、あの青春時代の輝きをもう一度体験することは不可能になるのだから。

 今後も、間違いなくたくさんのバンドやグループが再結成し活動を行ってくると思う。ここまでは1970年代に活躍した人たちが中心だったが、最近になり目立ってきているのが1980年代に活躍した人たちの再結成だ。1980年から考えると33年。25才で解散したなら60才が間近になる年齢に入ってくる。

 ここからは、ひと世代若返った再結成が見られるようになると思う。個人的にはBφOWYの再結成が見たいと思う。他にもたくさんのいいバンドやグループがあった。また再びファンに元気を与えてくれる。そんな当時のバンドの復活を、ひとつでも多くのぞみたい。

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