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上野樹里 SPECIAL INTERVIEW ずっと一緒にいたいと願うシンプルな思いが ふたりの幸せのすべて
本格的なラブストーリーに取り組んだ経験がないんです
上野原作のストーリーをふまえた上で、松本(潤)さんを浩介として脚本を読んだとき、とてもおもしろい映画になりそうな予感がしました。実は今回のお話をいただいたときにも、絶対にいい作品になるという確信めいたものが自分のなかにあったんです。そういうときってきっとうまくいくので(笑)、ピンと来た気持ちのまま、作品に集中したいと思いました。
――本作最大の見どころとなる、誰にも言えない秘密を抱えたヒロイン・真緒をどのように演じていこうと?
上野自分の佇まいで、作品の印象が大きく変わってしまう役どころなので、周囲から「ぴったりの役だね」って言われると、自信になる反面、みなさんの期待を超えなくては! とプレッシャーを感じていました。これまでラブは絡んでいても、成長物語だったり青春群像劇だったり、ラブストーリーにちゃんと取り組んだ経験がない不安もありました。ただ、誰かを好きだと思う気持ちって、ひとりで作るものではなく、ふたりの間に生まれるものなので、今回はとくに、浩介と真緒の間に生まれる空気感を撮影現場でしっかり感じようと思っていました。
――優しい浩介と自由奔放な真緒の、愛にあふれる日々。作中でも流れるビーチ・ボーイズの名曲「素敵じゃないか」がお似合いのふたりでしたね!
上野真緒は直感で大胆に行動しているようでいて、本当は浩介のことを深く思っている繊細な女の子です。浩介の存在によって照らし出されていく、真緒の純粋さを丁寧に表現したいと思っていました。いわゆる愛の告白的なストレートなシーンはありませんが、ふたりの言葉や仕草、行動から、お互いの“好き”という気持ちを感じてもらえたらうれしいです。今回は、スタッフ、キャストが自然体でいられるとてもステキな現場でした。喉がつらそうな人がいたら紅茶を差し出す行為がそっとできる心地良さがあった。朝、その日の気分で松本さんがかけてくれる音楽をみんなで聴くのも、現場の楽しみのひとつでしたね。
柔らかな光が無限に広がっていくような温もり
上野一歩奥に入ると突然現れる鳥居とか、人気のない階段とか、江の島の幻想的な空間は、作品の世界観とマッチしていましたね。海もきれいで、浩介と手をつないで、ただ砂浜を歩いているだけで気持ち良かった。江の島へ向かう電車のシーンも、実際に江ノ電に乗って撮影したのですが、みんなでピクニックにでも出かけているみたいな楽しい気分で。車窓から海が見えたときはワクワクしました! 自転車のふたり乗りやいつもやってる歯磨きでさえも、好きな人と時間を共有するだけで楽しくなる。ずっと一緒にいたいと願うシンプルな思いこそが、ふたりの幸せのすべてだと思いました。真緒が希望を失いそうになったときには、浩介が手を差し伸べてくれるし、浩介がちょっとネガティブになったら、真緒がそっと包み込む。そんな優しい気持ちや大きな愛みたいなものが画面からにじみ出ていると、映画を観て感じました。
――女優をはじめて10年という節目に出会った本作。映画をご覧になった感想を教えてください。
上野映画を観終わったとき、柔らかな光が無限に広がっていくような温もりを感じました。撮影前に三木(孝浩)監督から「長い時を経て再び見返したくなる、普遍的なラブストーリーを作りたい」という思いの綴られたお手紙をいただきましたが、浩介と真緒のお互いを思う気持ちは、時が経っても変わらないことが映画から伝わってきて、とても穏やかな気持ちになりました。観てくださる方の心のどこかにも、ずっと陽だまりのような温かみを残す作品になったのではないかと思っています。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:片山よしお)
(ヘアメイク:HAMA/スタイリスト:岡本純子)
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