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(更新: ORICON NEWS

長谷川博己 SPECIAL INTERVIEW ものづくりの試練を乗り越えていく感じとマッチした 映画の神様が降りてきたんじゃないかって(笑)

世界中の映画ファンを熱狂させる鬼才が、満を持してのコメディ映画で“かつての自身の分身役”として白羽の矢を立てたのは、どんな役もハマリ役として魅せてしまう、当代きっての実力派俳優・長谷川博己(meets 園子温 in『地獄でなぜ悪い』)! 園映画ファンを自認する長谷川が、初めて足を踏み入れた園ワールドの魅力を語る。
『地獄でなぜ悪い』3週連続インタビューのラストは長谷川博己☆

OKが出た後はさすがに倒れ込みました(笑)

――まずは園作品との出会いから聞かせてください。
長谷川たしか『自殺サークル』(2002年)か『紀子の食卓』(2005年)のどちらかを、公開時に劇場で観たのが最初の出会いです。そこからDVDやビデオで過去の作品をいろいろと観ていって。以来、新作が公開されるたびに映画館で観ています。『紀子の食卓』で手塚とおるさんが演じていた役、おもしろかったですよね。ああいう役で、園監督の映画に出演させていただきたいとずっと思っていました。

――そして今回の映画監督・平田鈍役。かなりアブノーマルなキャラクターで、出ずっぱりの役柄でした!
長谷川台本を読んだとき、かつて自分が中高生の頃に妄想していた話がそのまま描かれているような、懐かしい感じがしました。30歳目前になっても高校時代と変わらず、映画を撮ることだけを考えている、日本一の映画バカですからね(笑)。平田の映画に対する情熱、やりたいことに向かうときのエネルギーみたいなものを、終始振り切った感じで出していければと思っていました。

――撮影前、園監督とはどんなやりとりを?
長谷川とにかく膨大なセリフの量で、普通のペースで喋ると3時間半の映画になってしまうから、1.5倍速のスピードで話してほしい。さらに早口で自分に語りかけるように喋ることが、平田のキャラクターでもあると。例として挙げられたのが『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)で“なるほど、わかりました”と(笑)。それでも最終的にああいう形になりましたが、編集で大幅にカットされた部分もあります。

――園組の現場の雰囲気はいかがでしたか?
長谷川とにかく自由でした。クライマックスの大量殺戮のシーンなんて、真骨頂ですね。死んだと思われた人が立ち上がったり、手が吹っ飛んだ人が生きていたり。何でもありなんだなって(笑)。監督も撮影場所に入り込み、まるで現代アートを製作しているような熱心さで、ていねいに血のりを作り始めたりして。僕たちも台本から飛躍して、自由に演じさせていただきました。アドリブで言ったこともけっこう使われていて! ラストシーンも、台本にはなかったんですよ。オールアップの日に偶然降っていた雨がいいぞ! って話になって、急きょラストカットで走ることに。雨の中を何回も走ったので、OKが出た後はさすがに倒れ込みました(笑)。でもよれよれになりながらも、雨の中をひた走る平田の姿は、ものづくりの試練を乗り越えていく感じとマッチしていましたよね。あのときの雨、それこそ映画の神様が降りてきたんじゃないかって(笑)。

萎縮していたときにポンと背中を押してくれた

――完成作をご覧になった感想はいかがですか?
長谷川最高におもしろかったです! 笑うツボがいろいろとあって。2時間10分と言わず、もっと観ていたかった。お客さんにも楽しんでいただけたら、すごくうれしいです。よく園組経験者から“園マジック”という言葉を聞いてはいましたが、編集のマジックはすばらしいですね。音楽が入って編集されると、現場で僕が見ていたものとはまったく違う作品に完成していました。

――園ワールド初体験を経て、何か変わったことはありますか?
長谷川現場でこうやってみたいなって思いながらも、ちょっと萎縮していたとき、監督がポンと背中を押してくださったおかげで、自由にいろいろなことに挑戦できました。最近わりと知性的な役が続いていたので、こういうちょっと異常ともいえる役があると、見て下さる方の印象も変わっていいのかなぁ、なんて(笑)。

――園監督の印象については?
長谷川社会派の作品も撮れば、突然こういうコメディを撮ってみたり、振り幅の広い方です。表現者としてヘンに固まろうとせず、その時々で、ご自身の感性に正直に撮りたいものを撮っていくスタイルがいいですよね。次に何をやるのかわからない、すごく楽しみなアーティストです。役者として、僕もそうありたいと思いました。ある意味、表現をする者には、どうしようもなくにじみ出てしまうような個性と同時に、新しいものを受けいれていく覚悟のようなものが必要だと思うんです。この映画も35ミリフィルムに対する愛やオマージュがありつつ、それでも新しいものに向かっていかないと! ということも描いていますよね。園映画ファンのひとりとしては、この映画で園子温の新たな部分がまた変わっていくんじゃないか? という予感も少し感じました。「そんなこと全然考えていない」って言われそうだけれども(笑)。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:鈴木一なり)


【『地獄でなぜ悪い』3週連続インタビュー】
@ 二階堂ふみ『わがままだったけどそのときできることを』
A 園子温監督『“園っぽい映画”の先へ行きたい』
B 長谷川博己『映画の神様が降りてきたんじゃないかって(笑)』

映画情報

地獄でなぜ悪い

  対立する二人の男、武藤と池上。武藤は、娘のミツコの映画デビューをなんとか叶えたいあまり、自らミツコ主演で映画を製作し始める。ミツコに惹かれはじめる池上、ひょんなことから映画監督と間違えられた公次。その公次に頼まれミツコ主演映画を撮ることになる映画青年・平田が加わり、事態は思いもよらぬ方向に……。

監督:園子温
出演者:國村隼 長谷川博己 星野源 二階堂ふみ 堤真一
【映画予告編】 【公式サイト】
2013年9月28日(土)新宿バルト9ほか全国公開
(c)2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会

関連リンク

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『地獄でなぜ悪い』公式サイト

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