今年結成15周年を迎えるBABYMETALが4thアルバム『METAL FORTH』を全世界同時リリースする。日本人アーティストとして初めてアメリカの名門レーベル、キャピトル・レコードとフロントライン契約を締結してリリースされる本作には、10年以上にわたってワールドワイドに活動してきた彼女たちが、世界各地で交流してきたアーティストが参加。デビュー当時、メタルファンから批判を浴びながらも、道なき道を突き進んできた彼女たちは、今や世界のメタルシーンで揺るぎないポジションを築いている。今夏、過去最大規模の北米ツアーを行った彼女たちに、今まさに歩み出した“METALのその先”について話を聞いた。

「刺激的だった」次世代のメタルシーンを担う世界各国の“同期”たちとの共演

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  SU-METAL

――結成15周年の今年はトピックが目白押しですが、まずはアルバム『METAL FORTH』について聞かせてください。一言でどんな作品になったと感じていますか？

SU-METAL　今回は私たちが世界で交流してきたアーティストさんとのコラボレーション曲がたくさん収録されているんですけど、それもわりと私たちと“同期”と言いますか、結成年が近かったり、なんなら「BABYMETALを聴いて育った」と言ってくれるアーティストさんがたくさん参加してくれたのがうれしかったですね。

MOAMETAL　これまではわりと私たちが憧れているメタルレジェンドの方にお声がけして曲作りすることが多かったんですけど、今回は世界のメタルシーンの次世代を「一緒に切り拓いていこう」という気概を持った人たちと作れたことがすごく刺激的でした。その思いは“METALのその先へ”を意味するアルバムタイトルにも込められたかなと思っています。

――先行配信されている『from me to you（feat. Poppy）』は、今年のグラミー賞でのパフォーマンスで印象を残した革新的シンガー・ソングライター、Poppyをフィーチャリング。彼女もBABYMETALファンを公言していますね。

MOAMETAL　彼女とはフェスで何度か共演しているんですが、フェスのバックヤードってけっこうバタバタしているのでゆっくり話ができていなかったんです。今回はMVも含めてガッツリ参加してくれて、しかもイギリス＆ヨーロッパツアーではツアーゲストとして出演してくれることになりました。

MOMOMETAL　ツアーゲストにはアイルランドのBAMBIE THUGという刺激的で可愛いアーティストも決まっています。女性アーティストだけでツアーができるのも滅多にないので、めちゃくちゃ楽しみです。

――BABYMETALが確立した“カワイイメタル”に影響された次世代アーティストが、世界で続々と誕生しているわけですね。

SU-METAL　そういう意味でも今回、キャピトル・レコードとフロントライン契約したことも挑戦だと思っています。日本人アーティストで初めてというのもそうですけど、キャピトル・レコードにはメタルの所属アーティストがほとんどいないんです。私たちが契約したことによって、ほかのアーティストにも道が拓けたらすごくうれしいですし、そのためにもっと頑張らなきゃと気持ちを引き締めているところです。

MOAMETAL　私たち自身、たとえばMetallicaのサポートをやらせてもらったことでメタルファンの方たちに知ってもらえたりと、そうしたきっかけを先輩たちにたくさんいただいてここまで歩んでこられました。今度は私たちが次世代アーティストの橋渡し役になる番なのかなって、そんなふうに結成15年の重みを感じています。

「あんなのメタルじゃない」殺到したメタルファンからのクレーム、演奏後に変わった景色

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  MOAMETAL

――この15年の間で、BABYMETALにとって特に転機となった出来事を教えていただけますか。

SU-METAL　やっぱり2014年のメタルフェス「Sonisphere Festival UK」は大きかったですね。私たちにとって初めての海外フェスだったんですが、出演が発表された時にはメタルファンの方たちからクレームが殺到したそうなんです。「あんなのメタルじゃない」という批判と言いますか。

MOAMETAL　逆に主催者側がそれを面白がって、私たちをメインステージに格上げしたらしいです（笑）。

――当時10代だったお2人はそうした批判をどう受け止めていましたか？

SU-METAL　逆に10代だったから重く受け止めることなく、あの5万人のメタルファンの前に立てたのかなと思うんです。周りの大人たちはヒヤヒヤしてましたけど、私たちは「わーい、イギリスだー」って感じで、怖気付くことなくいつも通りのパフォーマンスができて。それが良かったのかな。たった30分のステージでしたけど、その短い間でみるみるお客さんの反応が変わっていく、それこそ音楽で世界が変わる瞬間を目撃したんです。

MOAMETAL　もちろんあのステージだけで認めてもらえたわけじゃなくて、バッシングはけっこうずっとありました。ただ共演したアーティストさんからの批判は一切なかったし、むしろめちゃくちゃ勇気づけてくれたんですよ。それこそMetallicaとかJudas Priestといった大御所のみなさんが「誰がなんと言おうと君たちはメタルだ」と言ってくれて、その言葉だけで私たちは強くなれたんですよね。

――メタルはある種、様式が確立されたジャンルでもあります。そこに“カワイイ”という新たな世界観を提示したBABYMETALに、旧来のメタルファンの戸惑いもあったのかもしれないですね。

SU-METAL　それは仕方ないかもしれないです。私たちも最初はメタルという音楽をぜんぜん知らなかったわけですから。でも自分たちにとって新しい音楽との出会いだったからこそ面白かったし、もっと追求したいと思えたところもあって。その気持ちは今もずっと続いています。

MOAMETAL　同じように新しいから拒絶するんじゃなくて、面白いと受け止めてくれる人がどんどん増えてきたように感じます。ツアーサポートで一緒にアメリカ回らせていただいたレディ・ガガも、ジャンルは違うけれど私たちのことをすごく認めてくれて。「メタルか、メタルじゃないか」よりも、自分たちの信じる道を突き進むことが大事なんだってことを、世界のアーティストの方々に教えていただきました。

「海外で頑張ってこれたのも、すべては日本のファンの支えがあったから」

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  MOMOMETAL

――10年以上にわたってワールドワイドに活躍しているBABYMETALですが、海外と日本の活動割合はどのくらいですか？

SU-METAL　最近は1年の合計の半分くらいは海外にいますね。だけど常に3人一緒にいるので、どこにいてもあまり変わらないかなという感覚です。

MOMOMETAL　私にとってはこの3年は怒涛の日々でした。不安もありましたけど、それがすぐに吹き飛んだのも、海外も含めてものすごく密度の濃い時間を過ごさせていただいたおかげだなと思っています。

MOAMETAL　今の日本のレコード会社では、BABYMETALは洋楽レーベルにお世話になっているんです。こないだレコード会社のスタッフさんが差し入れをしてくださったんですが、それがドラ焼きとか日本ならではのお菓子で。“来日アーティスト”みたいな扱いになってるのが、ちょっと面白いなと思いました（笑）。

――今年はアメリカに活動拠点を設立。ますます世界での活躍が期待されていますが、日本のファンへの思いはいかがですか？

SU-METAL　私たちがこれまで海外で頑張ってこれたのも、すべては日本のファンの支えがあったからです。それこそ海外に行き始めた頃には「お客さんが1人もいなかったとしても、胸を張って日本に帰れるようにいいパフォーマンスをしよう」ってよく舞台裏で話していました。ラジオ（TOKYO FM系列『BABYMETALのメタラジ！』）を通してみなさんの熱量は伝わっていますし、今も一番心強い存在ですね。

MOMOMETAL　ワールドツアーも武者修行じゃないですけど、向こうで力を付けて、日本のファンにもっといいパフォーマンスを見てもらいたいという思いがあります。今年はこのアルバムと一緒に世界を旅して、日本に帰ってきた頃には楽曲たちもさらにブラッシュアップされていると思います。それまでみなさんの心に『METAL FORTH』のご加護があらんことを祈っています。

撮影／宮脇進(PROGRESS-M）取材・文／児玉澄子　

4thアルバム『METAL FORTH』

▼収録楽曲
01. from me to u (feat. Poppy)
02. RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)
03. Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)
04. Kon! Kon! (feat. Bloodywood)
05. KxAxWxAxIxI
06. Sunset Kiss (feat. Polyphia)
07. My Queen (feat. Spiritbox)
08. Algorism
09. METALI!! (feat. Tom Morello)
10. White Flame -白炎-

【ツアー＆ライブ情報】
▼"BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SUMMER TOUR IN JAPAN"
8月13日（水）KT Zepp Yokohama
8月14日（木）KT Zepp Yokohama
8月20日（水）COMTEC PORTBASE NAGOYA
8月21日（木）Zepp Osaka Bayside
OPEN 18:00 / START 19:00

▼SUMMER SONIC 2025
8月16日（土）ZOZOマリンスタジアム＆幕張メッセ
8月17日（日）万博記念公園

▼聖飢魔II vs BABYMETAL〜悪魔が来たりてベビメタる〜
8月30日（土）Kアリーナ横浜（OPEN : 16:30 / START : 18:00）
8月31日（日）Kアリーナ横浜（OPEN : 15:30 / START : 17:00）