BABYMETAL、結成10周年の歴史を刻むベストアルバム発売「ヘヴィメタルは心に直接伝わる音楽なんだと実感できた」

 結成10周年を迎えたBABYMETALがベストアルバム「10 BABYMETAL YEARS」をリリース。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「ギミチョコ!!」「Road of Resistance」などの代表曲を収めた本作には、超本格的なヘヴィメタルを軸にした音楽性、エンターテイメント性に溢れたライブパフォーマンスによって世界を席巻し続ける彼女たちの歴史が刻まれている。ORICONNEWSでは、SU-METAL、MOAMETALにインタビュー。10周年を迎えた心境、印象的な楽曲やライブ、さらに未来に対するビジョンなどについて語ってもらった。

「いつも目の前に大きな壁があって、それを乗り越えるのに必死だった」

――まず、結成10周年を迎えた心境を教えてもらえますか?

SU-METAL:ビックリですね。まさか10年もBABYMETALをやるとはまったく思ってなかったので。ずっとガムシャラで、いつも目の前に大きな壁があって、それを乗り越えるのに必死だったんですよ。気づいたらこんなに年月が経っていた感じです。

MOAMETAL:振り返ってみると、楽しいことや大変なことがいろいろあって。アッと言う間だった気もするし、いろんな気持ちが行ったり来たりしてますね。

――ベストアルバム「10 BABYMETAL YEARS」はまさにBABYETALの10年が刻まれた作品。お二人のなかで、ターニングポイントだったと思う曲は?

SU-METAL:私は「Road of Resistance」ですね。この曲を初めて披露したのは、2014年のロンドン公演(O2アカデミー・ブリクストン)。海外ツアーをはじめて半年くらいの時期だったんですけど、それまでのライブはかなりアウェイだったんですよ。でも、ロンドンでのライブは登場した瞬間からすごく盛り上がって、みなさんがBABYMETALを知ってくれてることを実感できて。<進め 道なき道でも>という歌詞があるんですが、ライブで歌うことで初めて、この曲の意味がわかったんです。BABYMETALがやってきたことは間違いじゃなかったと思えたし、あのライブを経験したことで、どんなアウェイな場所でも「大丈夫だ」と自信を持てるようになりました。
MOAMETAL:私は「ギミチョコ!!」にします。この曲をきっかけにBABYMETALを知ってくれた方も多いと思うし、MVがアップされたときに海外の方からすごくいい反応をいただけて、「ちゃんと世界に発信できた」と実感できたんですよね。フェスで披露すると“狐サイン”を上げてくれる方がたくさんいて、「有名な曲なんだな」って(笑)。コール&レスポンスで一つになれる曲だし、「ギミチョコ!!」がセットリストにあると、私のテンションも上がりますね。

――では、10年間のなかで強く印象に残ってるライブというと?

SU-METAL:たくさんあるんですけど、いちばんは2014年の「Sonisphere Festival UK」かな。初めての海外フェスで、ほとんどのお客さんが私達のことを知らない、もしくはよく思っていない方だったと思うんですよ。「この子たち、ホントにメタルできるの?」っていう。でも、ライブが進むにつれて手を挙げてくれる方が増えて、それが波のように広がって。音楽は言語を超えるし、自分たちの音楽はちゃんと届くんだって実感できたんですよね。

MOAMETAL:選ぶのは難しいですけど、強いて挙げるなら、去年のアメリカツアーですね。
――アルバム「METAL GALAXY」(2019年)を引っ提げたツアーですね。

MOAMETAL:はい。今まででいちばん長い1ヵ月半のツアーで、日程、移動距離もすごくて。体力的にも精神的にもきつかったんですが、あのツアーを乗り越えたことで、1月の幕張メッセ2daysにもつながったんじゃないかなって。

SU-METAL:アメリカは地域によって天候や環境、会場の状態がまったく違いますからね。去年のツアーを通して、自分の体をコントロールしながら、その場に対応する力が付いたと思います。ライブの経験値は誰にも負けない自信がありますね。

――これほど本格的な海外ツアーを経験している日本のアーティストはほとんどいないと思います。

SU-METAL:海外のライブって、お客さんが動画を撮っちゃうから、みなさん「昨日のライブはこんな感じだった」って知ってるんですよ。だからこそ、「過去のライブの方が良かった」とは絶対に思われたくないし、“昨日より今日”という感じで高めていきたくて。

MOAMETAL:それも私たちの強みだと思います。ライブ自体が強みなんですよね、BABYMETALは。テレビに出ることも少ないし、SNSなんかもやってないから、最強の姿をライブで届けるしかないので。

「ここ3年くらいでやっとダンスに向き合えるようになった」

――10年の活動のなかで、お互いに「ここが変わった、成長した」と思う部分は?

SU-METAL:10年前は小学生だったので、まず「子供が大きくなった」みたいな成長を感じますね(笑)。MOAMETALは最初、ダンスが得意というより、エンタ―テインナー、パフォーマーという印象だったんです。でも、ここ数年、アベンジャーズ(サポートのダンサー)からも素直に吸収して、どんどん成長していて。「自分はこうしたい」という部分を残しながら、新しいものを取り入れることで、ダンサーとしてもプロフェッショナルになったなって。

MOAMETAL:ここ3年くらいでやっとダンスに向き合えるようになったんです、遅いんですけど。きっかけは、メンバーが一人脱退したこと。その後、ダークサイトという期間に入ったんですけど、それがつらくて。その経験を経て、自分のやるべきことを考えられるようになったので。SU-METALは、いい意味で変わってないところが多いんですよね。だから安心して横にいられるというか。あと、以前よりは私のことを考えてくれてる気がします(笑)。SU-METALはもともと、好きなものに没頭して、他のことはそれほどっていうタイプなんですけど、最近は私も興味の範疇に入れてくれてるのかなって。

――SU-METALさんの視野が広がったのかも。

SU-METAL:ツアーになると、いっぱいいっぱいですけどね(笑)。MOAMETALは小さいときから視野が広くて、人のことをよく見てるし、変化にすぐ気づくんですよね。それはライブでも同じで、ハプニングが起きたときの対応能力がすごくて。

MOAMETAL:自分では無意識にやってるんですけど、なぜか対応できちゃうんです(笑)。ライブで何かあっても、SU-METALに「大丈夫だよ」って言ってあげられる存在でいたいし。あと、ベストアルバムを聴いて、SU-METALの声がめちゃくちゃ進化していることに気付いて。最初は「歌の上手いお姉さん」という感じだったけど、どこまで進化するんだろう?って思いますね。

SU-METAL:歌に関しては、まだまだ伸びしろだらけだと思ってて。BABYMETALは難しい曲が多いし、それを歌いこなすことでちょっとずつ成長を感じられるんですよ。ヘヴィメタルにはいろいろなジャンルがあるし、BABYMETALの音楽にはさらにいろんな要素がミックスされていて。これからも課題は見つかり続けると思いますね。

――ヘヴィメタルという音楽への愛着も深まってますか?

SU-METAL:そうですね。最初は“怖い”“うるさい”という印象だったんです。でも、2013年にメタリカのライブを観させてもらって、音圧がすごすぎて、心にドスンと届く感覚があって。メタルは心に直接伝わる音楽なんだなって実感できたんですよね。

MOAMETAL:私もこんなにメタルにハマるとは思ってなかったですね。最近、Bring Me The Horizonさんの曲に参加させていただいたんですけど(「Kingslayer ft. BABYMETAL」)、大好きで毎日聴いてます。BABYMETALの楽曲を通して、私と同じように、メタルの世界に足を踏み入れてくれる人が増えるといいなって思いますね。メタルの良さをいちばん感じられるのはやっぱりライブなので、コロナが明けたら、ぜひメタルのフェスにも足を運んでほしいです。

初紅白出場に武道館10公演ライブ「最強のパフォーマンスをお届けできるように、しっかり作り上げていきたい」

――この先の活動についても聞かせてください。まずNHK紅白歌合戦に初出場。

SU-METAL:決まったときはビックリしました。BABYMETALは日本ではそんなに知られてないと思ってるし、「大丈夫かな? “この子たち、何?”って思われないかな」って(笑)。もちろん、私たちのパフォーマンスを届けられる素晴らしい機会だと思ってるし、すごく嬉しいです。今年はぜんぜんライブができなくて、私自身もいままでに経験したことない喪失感を味わって。日々のライブで発散してたんだなって気づいたし、ネガティブになりそうな気持ちを救ってくれたのも、メタルの強いパワーだったんですよ。いまだからこそメタルの音楽は必要だと思うし、観てくれる人の心を支えられたらなって。NHK紅白歌合戦は海外でも放送されるので、BABYMETALの元気な姿を届けたいです。

MOAMETAL:10周年だからこそ声をかけていただけたと思いますし、せっかくのチャンスなので、小さい子たちからおじいちゃん、おばあちゃんまで、たくさんの人に見ていただきたいですね。「おもしろいな」でも「変な音楽だな」でもいいので(笑)、ちょっとでも喜んでもらえたらなって。

――さらにBABYMETALが初めてワンマンライブを行った目黒鹿鳴館でのイベント、2021年には日本武道館でのワンマンライブ10公演も決定してます。

SU-METAL:鹿鳴館、武道館はBABYMETALの歴史のなかでもターニングポイントなる会場なので、また戻れるのが楽しみです。世界を回ったことで成長できたと思うし、その力を試したいですね。私たちにとって武道館は、海外ツアーに行く前に見送ってもらえる空港みたいな場所で。10公演は新たな挑戦ですね。開催できるかどうかはギリギリまでわからないと思いますが、1年間ライブができなかったぶん、お互いにエネルギーを発散できる素敵なライブにしたいです。

MOAMETAL:鹿鳴館、武道館については、まず発表できたことが奇跡だと思っていて。今はとにかく、健康に気を付けて、元気でいること。そして何事もなく、当日を迎えられることがいちばんの願いです。最強のパフォーマンスをお届けできるように、リハーサルをがんばって、しっかり作り上げていきたいですね。

――楽しみです! 最後に、BABYMETALとしてこの先やりたいこと、達成したいことは?

SU-METAL:「ド・キ・ド・キ☆モーニング」をリリースしたときに、ふざけて「私たち、世界征服できるんじゃない?」って話してたんですよ。そのときから“BABYMETALというジャンルを作る”を自分たちの夢として掲げたんですけど、2016年くらいから少しずつ世界に浸透してきて、「BABYMETALの音楽はメタルでもJ-POPでもない」と言ってもらえることが増えてきて。気づいたら、言ってたことが現実になってきたというか。

MOAMETAL:怖い怖い(笑)。

SU-METAL:(笑)。まだまだ夢物語ですけど、これからも “BABYMETALというジャンルを作る”は言い続けたいです。

MOAMETAL:今年の春に予定していたアジアツアーが中止になってしまったので、それをやり直したいです。初めてのアジアツアーだったし、やれなくなったことがすごくショックで。予定した本数を増やすくらいの規模で、しっかりアジアを回りたいですね。

(取材・文/森朋之)

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