アニメ&ゲーム カテゴリ
ORICON NEWS

世界を席巻するwebtoon、LINEマンガ親会社の上場で何が変わる? 「95%が若者ユーザーのアメリカは希望そのもの」

(C)Nasdaq, Inc.

(C)Nasdaq, Inc.

 縦スクロールで読むマンガのwebtoon市場が、世界で急成長している。先ごろは電子コミックサービス・LINEマンガを運営するLINE Digital Frontier株式会社の親会社WEBTOON Entertainmentが、米・ナスダック市場への上場を発表した。マンガの歴史の長い日本でも、昨今は『先輩はおとこのこ』をはじめwebtoonのヒット作が続々と誕生している。LINEマンガが推進する国産webtoonのグローバル進出は、マンガ大国・日本の未来にどのような光明を指すのか。LINE Digital Frontier株式会社の代表取締役CEO・高橋将峰氏に聞いた。

「まるでマンガのような展開」インディーズから始まった国産webtoonがタイムズスクエアへ

『先輩はおとこのこ』

『先輩はおとこのこ』

  • ナスダック上場発表の様子(C)Nasdaq, Inc.

    ナスダック上場発表の様子(C)Nasdaq, Inc.

 アメリカのエンタメの聖地であるNY・タイムズスクエアを、LINEマンガで人気の“国産webtoon作品”がジャックした。

 これはLINEマンガを運営するLINE Digital Frontier株式会社の親会社・WEBTOON Entertainmentが、6月27日(現地時間)に米・ナスダック市場したことを祝福するセレモニーの一環で、タイムズスクエア一帯を彩る巨大ディスプレイ広告には、7月4日よりアニメ放送がスタートする『先輩はおとこのこ』(フジテレビ・ノイタミナ枠ほか)や、2024年1月に国内月間売上1位の1.2億円を突破した『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』などが登場した。

『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』

『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』

 現地に赴いたLINE Digital Frontier株式会社の代表取締役CEO・高橋将峰氏は、「まるでマンガのような展開にゾクゾクしています」と感慨を語る。

 「もともと『先輩はおとこのこ』は、誰もがマンガを投稿できるLINEマンガ インディーズから始まった作品でした。そこから読者の熱い支持を得て本連載となり、2022年の『第5回アニメ化してほしいマンガランキング』で1位に。そしていよいよアニメ化される直前にタイムズスクエアを彩るという、このストーリーを誰が想像できたでしょうか。原作者・ぽむ先生という才能を育んだ日本のマンガ文化の土壌の豊かさを改めて実感するとともに、『日本のマンガの未来を創る』という当社のミッションをさらに力強く推し進めていく最高のセレモニーになりました」(高橋氏/以下同)

アメリカのWEBTOONトレンドランキング、TOP10入りする作品も

前列左端が高橋氏 (C)Nasdaq, Inc.

前列左端が高橋氏 (C)Nasdaq, Inc.

 WEBTOON Entertainmentは、世界150以上の国と地域で展開されている電子コミックサービスと連携しており、各国で制作された作品の翻訳、グローバル展開にも注力している。最近では、LINEマンガで連載中の『神血の救世主』や『かたわれ令嬢が男装する理由』が、アメリカの電子コミックサービス・WEBTOONのトレンドランキングTOP10入りを果たしている。

 「日本のマンガがグローバルで受け入れられることは、これまでの歴史でも証明済みです。さらに現代はwebtoonが世界の読者を掴んでいます。これは若い層ほど顕著で、たとえば米WEBTOONのユーザーの95%は35歳未満です。webtoonが世界の若いユーザーに刺さっているという事実は、まさに希望そのものです。日本には子どもの頃に夢中になったマンガを大人になっても大好きで、劇場版が公開されたら必ず観にいく──というマンガファンがたくさんいますが、いよいよ同じような状況がグローバルでも始まるのではないかとワクワクしています」

調達した資金で強化する投資、webtoon代表する作品を生む「最有力候補は日本のクリエイター」

多くのファンが集まったタイムズスクエア

多くのファンが集まったタイムズスクエア

 米・ナスダック上場によって得られる資金は、アニメをはじめとするIP展開の強化に投じていきたい考えだ。

 「NetflixやCrunchyrollといったグローバルな映像配信サービスの普及によって、世界的に原作の需要が高まっています。すでにwebtoon原作のヒットドラマは多数誕生していますが、日本のアニメのクリエイティブは世界トップクラス。映像業界ともしっかり連携を図ることで、LINEマンガオリジナル作品をさらにグローバルなIPへと育てていきたいと考えています」

 さらに、上場を機とするLINEマンガの施策として、今後さらに強化したいと語るのがクリエイターへの投資だ。

 「これまで日本のマンガの多くは、1人の作家の情熱によって生み出されてきました。『先輩はおとこのこ』はまさにその一例で、才能あふれる作家の支援は今後もさらに力を入れていきます。一方で、近年はwebtoon制作スタジオから質の高い作品が続々と誕生しており、『神血の救世主』はStudio No.9さん、『かたわれ令嬢〜』はSORAJIMAさんと、いずれもスタジオ制作作品です。webtoon読者は世界で増え続けており、多様な趣味嗜好や属性のユーザーに対して、これまで以上に作品のボリュームが求められている。だからこそ、安定したペースで良質な作品を供給していただいている、スタジオへの支援も強化していきたいところです」

 世界を牽引してきたマンガ大国・日本だが、今や世界各国で多種多様なwebtoonが“量産”され、グローバルな読者を掴んでいる。韓国からは『女神降臨』、アメリカでは『ロア・オリンポス』といった人気作も生まれているが、日本からwebtoonを代表するような象徴的な作品はいまだ誕生していない印象だ。

 「そこが非常に重要なところで、たとえば海外の方に『日本のマンガといえば?』と聞いたら多くの方が『ドラゴンボール』と答えると思うんですね。そういった世界の誰もが共有できる作品も、遠からずwebtoonから誕生するでしょうし、それを生み出せる最有力候補は日本のクリエイターだと思っています。作家にしろスタジオにしろ、日本の質の高さと層の厚さは世界に類を見ません。国産webtoonのグローバル進出は、確実に日本のマンガの新たな成長エンジンになるでしょうし、その道筋をLINEマンガがしっかりと作っていきたいと思っています」

(文:児玉澄子)

あなたにおすすめの記事

 を検索