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初ブラジャーや初経とどう向き合う? シンパパが明かす娘の発育 一番の原因は“成長の証”を隠す風潮

 ひとり親家庭が増える中、メディアで取り上げられることはまだまだ少ない父子家庭。しかしそこには特有の悩みがある。中でも1人で娘を育てる父親がぶつかる壁が、初経や初めてのブラジャーを着けるタイミングといった思春期の体の変化だ。異性である父親にとって“自分が通ってこなかった道”にどう向き合い、乗り越えるべきなのか。今では中学生の2人の娘と「一緒にナプキンを買いに行く」こともあると語るシングルファーザー・Kさんのケースを見ていこう。

「男の子より女の子は難しい」思春期の娘に対するシングルファーザーの苦悩

 中3の長女と中2の長男・次女(双子)を育てるシングルファーザーのKさんの最近の悩みごとは、「娘が何を考えているかたまにわからない時がある」ことだ。

「小学校の頃はなんでも相談してくれていたんですけどね。塞ぎ込んでいる娘に『どうした?』と聞いても『別に』と。かと思えば、翌日にはケロッとしていたりして。友人の女性からは『そのくらいの年頃の女の子はパパと話したくないこともある。健全な成長の証しだよ』と言われますが、自分が通ってこなかった道なので『男の子より女の子は難しい』と思うことはあります」(Kさん)

 心も体も揺れ動きながら成長する思春期は、親にとっても子育ての壁にぶつかる時期。特に娘を育てるシングルファーザーにとって戸惑うのが、胸の膨らみや初経といった女の子特有の体の変化への向き合い方だ。Kさんの場合はどうだったのだろうか。

「娘たちはスポーツをやっているので、小学校高学年にはスポーツブラをしていました。ただ正直、僕はいつどのタイミングで“初めてのブラジャー”をつけたのか知らないんです。揃えてくれたのは一緒に住んでいる僕の母親。子どもたちにとってはおばあちゃんですね。たぶん娘たちから僕に言い出すのは恥ずかしいだろうと、母が気を遣ってくれたんだと思います。もしも母親が同居していなかったら──。それこそ“自分が通ってこなかった道”なので、どう対応していたか想像できません」(Kさん)

娘の発育に悩めるシングルファーザーへ「娘さんにとっての“斜めの関係”を見つけて」

 一般にシングルファーザーは身近に子育てについて相談できる相手が少なく、悩みを抱えがちだとされる。令和3年度の国勢調査では14.9万世帯がシングルファーザー家庭とのこと。119.5万世帯のシングルマザー家庭と比べてマイノリティだからこその支援が求められる。

 大手下着メーカーのワコールでは2001年から小4〜中3の子どもや保護者を対象とした下着教室「ツボミスクール」を小中学校で提供しているが、2020年からは男性の保護者も参加しやすいようにオンラインの「学ブラ講座」を開講した。

「第二次性徴については小4から保健体育で学びますが、下着の指導はなく、家庭に任されています。適切な時期にブラジャーをつけるのはお子さんの体を守るために大切なことですが、特に父子家庭ですと、お父さま、娘さんともにいつからつければいいのか、どんな種類があるのか、何を選べばいいのか、そもそもどこへ買いに行けばいいのかわからなくて困っているとおっしゃいます」(ワコール ツボミスクール講師・上地朋子さん)

 当教室では、ワコールが長年にわたって蓄積してきた女性の体のデータをもとに、成長のステップに合わせた下着選びをアドバイスしている。しかし思春期の心はデリケートであり、正しい知識があっても、ブラジャーを遠ざけてしまう事情を抱えている子どももいるようだ。

「私は年間で多数の小学校に訪れるのですが、たまに十分に胸が発育しているのにブラジャーをつけていない生徒を見かけることがあります。『そろそろ必要かもね』とお声がけしたところ、『うちはパパが洗濯係。パパにブラジャーを見られたり触られたりしたくないんです』と吐露する子がいました。そうでなくても『パパに胸が膨らみ始めたと思われるのはすごくイヤ』と言う子はとても多いです」(上地さん)

 父親にとってはショックかもしれないが、それが典型的な思春期の女の子の心理だ。しかしそうした難しい時期に、自分から下着について切り出すのも難しい。そんな悩みを抱えるシングルファーザーに、上地さんは「娘さんにとっての“斜めの関係”を見つけてあげてほしい」とアドバイスする。

「“上の関係”とは親や担任の先生などのこと。“横の関係”とはお友だちのこと。“斜めの関係”とはそのどれとも違う、娘さんにとって安心できる同性の相談相手のことです。たとえば親戚のお姉さん、養護教諭の先生、仲のいいお友だちのママ、Kさんのようにおばあさまでもいいですね。お父さま1人で抱え込まず、娘さんの成長を一緒に喜んでくれる周囲の大人たち、そうした関係性を築くのも大切なことなのかなと思います」(上地さん)

娘の成長を“からかわない” ポジティブに捉えることが大事

 前出のKさんのエピソードに戻ろう。娘たちの初経のタイミングには、すでに生理用ショーツやナプキンが祖母によって用意されていたという。シングルファーザーがぶつかる壁を、まさに“斜めの関係”によって乗り越えたわけだ。

「最初は祖母が用意してくれていましたが、今では娘と一緒に買い物に行くことが日常になりました。娘も特に恥ずかしがることなく、一緒に買い物に行ったときなど普通にナプキンを買い物カゴに入れてきますし、買い置きが切れている時は僕が買っておくこともありますね」(Kさん)

 Kさんの言うように、娘の生理やブラジャーもやがて家族の日常になっていく。その日常をギクシャクさせないためには、親自身がそうした娘の成長を「素敵なこと」として捉えることが大切だと上地さんは言う。

「小学校の頃に女の子だけ集められて生理について指導されたという記憶のある親御さんは多いと思います。生理も胸の膨らみも喜ぶべき成長の証しなのに、どこか隠す風潮があったことから『恥ずかしい』と思い込み、それが娘を育てるシングルファーザーを悩ませる原因にもなっているのではないかと思います。腰回りがふっくらしてくるのも『太った』のではなく、大人の女性へのステップ。たまに恥ずかしさの裏返しでからかうようなことをおっしゃるお父さまもいますが、思春期の女の子は言葉ひとつに傷つきやすいもの。親御さんにはどうぞ娘さんが成長をポジティブに捉えられるような声がけをしていただきたいですね」
(取材・文/児玉澄子)

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