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画面に貼りついて監視するデイトレードのギャンブル的なイメージ…副業としての「FX」は成り立つのか?

儲け話を信じて多額の金を渡してしまう詐欺被害も

儲け話を信じて多額の金を渡してしまう詐欺被害も

 短期で利益を上げるデイトレードなど、数ある投機投資の中でもギャンブル的な印象が強いFX(外国為替証拠金取引)。詐欺的な勧誘も後を絶たず、投資初心者には危険が大きいようにも見える。しかし、給料が上がらぬまま物価上昇が続く今の時代、資産運用の一つとしてFXに対する淡い期待を持つものも多い。そこで今回は、FX取引の手法を言語化・定型化し、その知識をオンラインサロン等で共有しているkuroさんこと、黒田雄士さんに、副業としてFXを成り立たせるコツや危険の見極め方、安全に取引するために必要な考え方などを聞いた。

FXに関する詐欺被害が横行、なぜ投資詐欺が後を絶たないのか

 老後資金問題や超低金利時代、インフレリスクなどに対応するため、資産運用の必要性が叫ばれる中、おいしい儲け話を信じて多額の金を渡してしまう詐欺被害が報告されている。特に、FXに関する詐欺被害はシニア層を中心に増加傾向がみられ、中には数千万円もの被害にあった人もいるという。このような詐欺被害が後を絶たないのは、やはりFXが危険な取引だからなのだろうか。これに対して、“月単位無敗”のFX取引を続けている黒田さんは異を唱える。

「FXはよく投資詐欺的な話のキーワードにあげられるのですが、詐欺を働く人たちはブローカーにお金を入れさせることを目的としているので、FXはエサでしかないという認識です。基本的に人は楽をしたがるものなので、深く考えることなく甘い言葉に乗ってしまいがちなのですが、投機投資においては盲目的に何かを信じるということが最もやってはいけないことなんです」(黒田さん/以下同)

 黒田さんは、先輩トレーダーであり事業家であるomuさんと2人でオンラインサロン「omukuroファーム」を開設し、FXで稼ぐための理論を共有している。サロンの参加者たちは、黒田さんたちの考え方をベースに、自分の感覚や生活スタイルに合ったトレードの「型」を見つけ、実践。成功例を共有することで、腕を磨いているのだという。

 黒田さんとomuさんの夢は「世界と戦える最強のトレーダー集団」を創ることであり、そこで伝授する情報は、純粋にメンバー育成のため、メンバーの利益を考えてのことである。しかし、その自分たちが発信する情報に対しても、黒田さんは「鵜呑みにせず、自分で調べ、確認し、検証してほしい」とメンバーに伝えているという。

「責任回避的な目的ではなく、投機投資でちゃんとお金を稼げるチカラをつけていくためには、どんな情報に対しても、ご自身で調べて、確認して、検証するということを基本にしてほしいと考えているからです。サロンや無料のメルマガでは、オープンな場所で言うと営業妨害だと怒られそうなことまでお伝えして、これから投機投資を勉強しようとする方に知恵をつけていただけるような形をとるようにしています。特にSNSの情報は99%疑ってかかるぐらいの姿勢でいかないと、何かを盲目的に信じてしまった瞬間、痛い目を見ることになってしまうと思うので」

 自分の頭で考えないことの危険性は、指摘されればもっともだ。投資以前の問題として、うまい話には裏があると疑い、調べる姿勢は必要ということだ。

数ある投資の中でも「危険」と言われるFX、安全に取り組む方法はあるのか

黒田雄士氏

黒田雄士氏

 FXは詐欺的なグループに「エサ」として使われているだけで、実際は安全に取り組むことが可能だとしても、デイトレードは短期で売り買いをするためにギャンブル性が高いイメージがついてしまっていると感じられる。その点を、黒田さんはどのように考えているのだろうか。

「ギャンブルにしてしまうのか、計画的な投資行為にしていくのかというのは、やっている本人の意識の持ち方次第です。FXはレバレッジを25倍まで掛けられるので、自分が持っている資金以上の取引ができてしまいます。これが自己資金の少ない人にとってはチャンスであり、危険性をはらんでいる部分なのですが、そのリスクをいかにコントロールするかによって、危険度は変わってくると思っています。リスクの取り方もそう難しいものではなく、例えば10万円の自己資金で初めてFXをやる人だったら、リスクは1%までにしてみましょう、と決めます。10万円の1%は1000円ですから、1000円損したら、その日はもう取引しないと決めておくんです」

 リスクをどこまで取るか決め、決めたルールにはきちんと従う。そうすることにより、損を取り返すことに固執し、失敗を繰り返すことを防げるのだという。利益についても「1万円を100万円に増やす」などの金額ではなく、月単位の利回りで考えている。

「資金を守りながら、自分の一貫した判断基準で10%の利回りを出せるようになりましょうよ、というのが私の理論です。非常に地味な考え方なので目には留まりにくいのですが、比較的安全にFX取引をすることができます。逆に、稼ぐ金額ありきで物事を考えてしまうと、その裏側にあるリスクを無視した考え方になってしまうので非常に危ないんです。1万円を100万円にするようなレバレッジのかけかたでトレードするというのはどういうことなのか、きちんと考えなければならないと思うんです。私たちのサロンには、大損をして失敗してきて、最後行きついた先が私どものところという方が非常に多いので、ここで考え方を変えて、1万円を1万100円にする考え方を身につけていきましょうよ、とお伝えしています」

副業としてのFXは成り立つ、逆に専業トレーダーは勧めない「収入の柱は2本あるべき」

黒田氏のオンラインサロンではチャートの動きについて日々議論が行われている

黒田氏のオンラインサロンではチャートの動きについて日々議論が行われている

 リスクの取り方を考えれば、大損する確率は格段に減るだろう。しかし、安定して利益を出せるようにならなければ、「収入源」「副業」とすることはできない。黒田さんは「副業としてのFXは成り立つ」と言うが、どのように成り立たせているのだろうか。

「FXはリスクをきちんと制御すれば怖いものではなく、意識改革をすれば、安定して勝てるようになるまでは、そんなに時間はかからないんです。負け込んでいてどうしようもない状態から、5〜10%という小さな利回りとはいえ、とりあえず負けなくなるまでの土台作りは数ヵ月で何とかなります。それよりもう少し大きなリスクを取って、大きなリターンを得ようとすると時間がかかるんですが、そのあたりは仲間たちと議論し、私の情報を見てもらいながら、少しずつ意識改革してもらっています」

 内面の問題…意識改革は仕事をしながらでもできるだろう。しかし、外的要素の問題はある。デイトレードの取引は、画面に張り付いて、決済するまで数字の動きをずっと見ていなければならないイメージがあるが、会社員や自営業者の中には、チャートをずっと見続けることが厳しい人もいるはずだ。それでも、取引で利益を出せるのだろうか。

「サロンに今150人のメンバーがいるんですけど、ほとんどの方が仕事をしている傍らで取り組んでいらっしゃいます。一番基本的なやり方は、ロンドン時間の初動と言われる、日本時間の午後3時から夕方6時ぐらいまでの間で1回取引をして、その勝ち負けを積み重ねていこうというものなんですが…例えば、お仕事中でも、午後3時頃になったら少し休憩を取って、スマホの画面でチャートをパッと見て、自分が検証してきた通りの型があったらトレードするという形でやっていらっしゃいます。どうしても仕事の合間で見られない方はニューヨーク時間と呼ばれる夜遅い時間、帰宅してから夜寝るまでの時間にトレードされています。自分の生活状況に合わせて、その中でどう一貫性を持ってやっていくのか、そういう形で対応しています」

 黒田さん自身も、サロンの運営やメールマガジンの作成等の通常業務の傍ら、FX取引をしているが、画面の前に張り付いているようなことはないという。

「午後3時から6時の間は仕事をしながらチャート画面をチラ見していますが、自分の待ち伏せているところに来るまで、何もしません。損切も利確も自分の型に沿って決めているので、注文したらほったらかし。画面は、他の仕事をしながらチラ見する程度です。途中、損をしないために自分の売り買いした金額のところにロスカットをずらしておいて、最悪引き分けになるように設定しておきます。そうなったらあとは、画面すら見ないですね。結果だけ確認してサロンに共有して終わりです。副業として、お仕事の合間に取引している方も、私のように『自分の型』を決めているので、チャートの前に張り付いている必要は全くないんです」

 副業が可能。とはいえ、安定収入が見込めるのなら、専業トレーダーになりたいと考える人もいるだろう。しかし、黒田さんは専業になることをあまり勧めていない。

「私たちのサロンでは、『型通りにトレードしていきましょう』とお伝えしているんですが、その手法がワークしない時があるんです。時期や季節など色々な要素があるのですが、サラリーマンの給料のように定期収入を得られるわけではないので、利益が上げにくい月になった時に、収入の柱がトレードしかありませんとなると、精神的にはキツイと思うんですね。安定収入を得られる仕事があるのなら、それをバックボーンとして、収入の柱を2本立てるというつもりでやられていった方が、安定して続けられると思います」

積み立てNISAやiDeCo、“右向け右”な日本の投資傾向への課題

黒田雄士氏

黒田雄士氏

 近年投資を始める人は増えている。しかし、「やっていない人はやばい!」という煽りや、「みんなやっているから…」という意見も多く見られ、日本人特有の“右向け右”な空気が蔓延しているように感じられる。この独特の空気感について、黒田さんはどのような印象を持っているのだろうか。

「詐欺の件でもお話ししましたが、人って楽な考え方に寄りかかりたくなってしまうんです。自分にとって聞こえのいいことを声高に自信満々に語っている人がいると、『この人すごいな、ついていこうかな』と思ってしまうじゃないですか。今の投機投資を勧める流れもそういうニオイがあるかなとちょっと感じてしまっていて…新NISAやiDeCoなどの選択肢を提供してくれるのはすごくいいことだと思うんですけど、有効活用するためには、そこにお金を入れることのリスクを理解しなくてはいけないと思うんです。そういうところが置いてきぼりになって、『どんどんやれやれ』という空気になっていることには危機感を覚えますね」

 FXに限らず、投資にはリスクがつきまとう。日経平均株価に連動している投資信託は、日経平均が下がれば当然、価値が下がっていく。局面が変われば、いったんお金を引き上げて、新しい投資信託に入れるなどのアクションを起こさなければならず、ただ黙ってお金を入れておくだけで必ず儲かるという都合の良いものではない。しかし、いざというとき、そのアクションを適切に行える人はどのぐらいいるのだろうか。「みんながやっているから」という理由で始めた人は、「みんながやめるまで」放置し、結果的に資産を減らしてしまう可能性があるのではないだろうか。

「30代40代のこれまで貯金しかしてこなかった人に、改めて投機投資を勉強していくという意識をどうやって向けていくか、それも正しい方向性で学習する環境がどう整うんだろうかというのは、懸念しているところではあります。はっきりいって今のSNSの情報は劣悪もいいところだなと思いますし。積み立てNISAにしても、枠は制度が変わらない限りそこにあるので、自分の判断基準で決定できるようになってから始めてもいいんじゃないかと思います。今、「やれやれ」と言われて、唯々諾々と始めてしまうことが一番、やってはいけないことだと思います」

 投資にほとんど興味のなかった人が、周りの雰囲気に押されて誰かが勧めている金融商品に手を出す。これでは、「何かわからないけど、儲かった」「とりあえずやっててよかった」となるかどうかは運しだいということになり、ギャンブルと変わらない。

「自分のやっていることにはどういうリスクがあって、そのリスクをリターンにするためには、どういう意識をもって取り組まなければならないのか、金融リテラシーの低い方には、そういう考え方を1つ1つ説明していく必要があると思っています。そのためにも、私自身が勉強を重ねて、そこで得た情報や知見を発信し続けたいと思います。そして、私の話をちゃんと真面目に聞いてくれた人が、納得のいく投資スタイルを身に着けて、納得のいく結果を出してくれれば差し当たっては充分かなと思います」

 経済的に自立し、より良い生活を送るためには、お金に対する知識や判断力を鍛えなければならない。そのための勉強をすることが、詐欺の抑制にもなるし、資産を増やすことにもつながる。黒田さんの話にあった「調査・確認・検証の必要性」や「リスクを取る範囲を決めること」は、FXに限らず、どのような投資にも当てはまることだ。周りの空気に流されるまま、とりあえず資産運用を始めてしまったと思う人は、今一度、情報収集をし、自身の資産運用を見直してみてはいかがだろうか。

取材・文/森下なつ
HP:https://okintelligence.net/(外部サイト)
黒田雄士

PROFILE 黒田雄士

PROFILE/omukuroファーム ・ kuro(黒田雄士)
2020年からDMMオンラインサロン『omukuroファーム』を立ち上げ、延べ1000人以上のメンバーに培ってきたトレード技術を提供しながら、現在も精力的に活動中。2023年からは、FXで築いた資産をベースに株式・先物投資にも注力し、その情報共有も開始。現在FXの運用額は500万円、株・先物投資は1000万円超。年間総利回りは200%。
投機・投資の経験を活かして、国内の経済・市況の解説などもメルマガ等を通じて行っています。

※DMMオンラインサロンでは投資助言として個別銘柄に関する売買指導や、銘柄助言などを行うことを禁止しています

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