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脱ガングロから美白へ、果ては美魔女ブームも…CPコスメティクス代表が語る2000年代からの “美の変遷”

CPコスメティクスの児玉晃洋代表取締役兼執行役員社長

CPコスメティクスの児玉晃洋代表取締役兼執行役員社長

2000年代に入り“アンチエイジング”が浸透「すこやかな素肌づくりが女性の力の“源泉”」

 45年に渡り、全国の代理店制度を通じてCPサロンを展開し続けて来たCPコスメティクス。温かいコミュニケーションによるサロン体験と、幅広い世代に対応する化粧品の提案で、“地域密着型サロン”としての評価が高い。先ごろ発表された「オリコン顧客満足度」フェイシャルエステ部門においても30代からの評価が軒並み高く、若い世代のニーズの高まりが伺える。2021年に43歳という若さで同社の代表に就任した児玉氏は、新卒入社から20年に渡り、女性の「美への欲求」を最前線で体感してきた。

――児玉社長は2001年に入社以来、20年に渡ってコスメ業界の最前線にその身を投じてきましたが、2000年代初頭の美容のトレンドはどのような状況だったのでしょうか?

児玉晃洋氏私がちょうど入社したタイミングで“アンチエイジング”というワードが徐々に浸透し始めました。現在も基幹ブランドである「ソワーニュ」と高級ラインの「フィエルテ」の前身をリニューアルした2001年に弊社もアンチエイジングに力を入れ始めた頃でした。弊社としても世間的な風向きとしても、40〜50代の方に目を向けた商品により注力するタイミングでした。

――40〜50代女性が求めるものを見据えて、御社としてはどのような事業形態で他社との差別化を図っていたのでしょうか?

児玉晃洋氏百貨店やドラッグストアなど、さまざまなチャネルがある中で、弊社は当時から地域に根付いたサロン流通をメインに行っていました。商品だけが走らずに、店舗にお越しいただいて、一人ひとりのお肌を見て合った商品をお勧めするというモデルでした。

――顧客との距離感をより密接にすることで、顧客それぞれの課題を顕在化していった。

児玉晃洋氏はい。私は新入社員のときは営業だったのですが、お客様との距離感がすごく近かったので、直接お話しをする機会も多かった。当時、すでに専業主婦の方も減少傾向にあり、6割ほどは共働きのお客様でした。社会に出て活躍されるお客様のニーズとしては、お肌を整えるベーシックな願望はもちろん、エイジングケア、そして美白への願望も実感する機会が非常に多かった。

――やはり、女性の対外的なコミュニケーションが増加したタイミングと、エイジングケアの有用性というは密接にリンクしているんですね。
児玉晃洋氏おっしゃる通りです。そのような変化のなかで、すこやかな素肌づくりが女性の力の“源泉”であるということを改めて実感したんです。健康的な美を保つことで、家庭はもちろん、仕事においても好循環をもたらすとお考えになるお客様が増えたのもこの時期でした。

憧れの対象は芸能人ではなく身近なロールモデルに移行? “若作り”よりも実年齢に見合った美しさを研鑽

――2000年代初頭の美白やアンチエイジングの流れを受けて、2010年代に入ると、いわゆる“美魔女”ブームが到来します。芸能人やモデルなどではなく、一般女性がロールモデルとなり美しくなっていくのは、コスメ業界においても新たな希望の光であったように感じます。このムーブメントをどのように見ていたのでしょうか?

児玉晃洋氏2000年前半は、サロンオーナー様の平均年齢が30代半ば〜40代前半くらいの方々が多数を占めました。そこからちょうど10年が経って、子育ても一段落した、40代半ばから50代前半の方がサロンオーナーの中心になったんです。同じようにサロンに訪れるお客様も同世代が中心になり、「若く見られたい」というよりも、実年齢に見合った美しさを磨こうとする志向が浸透し始めたのがこの時期でした。弊社としても、それぞれの世代で輝くための製品ラインナップにリニューアルし、全国1240店舗の、人生を謳歌している女性サロンオーナーの方をロールモデルとしてフィーチャーしていきました。

――まさに、芸能人やモデルではなく、身近に存在するロールモデルとしての役割をサロンオーナーの方が担っていたのですね。「頑張れば同じ輝きを手に入れられる」、近しい目標がいることはシナジーを生みます。

児玉晃洋氏その通りです。外見も内面も人生もかっこいいオーナー様に応援してもらうことで、輝ける可能性を自分の中に生み出せる。サロンオーナー様からも「公私ともに楽しんでいますよ」という言葉を頂ける。我々としては公私のバランスをとりながら長く運営していただくことを信条としてきましたし、それは現在も変わらない根幹の部分です。

――“無理をしない”ことで内面も外面もおのずと美しくなれる。ただ、これを企業として運営、コントロールしていくのは相当難しいのではとも思うんです。縛り過ぎても魅力が半減してしまう。かといって全てを自由にという訳にもいかない…。

児玉晃洋氏1240店舗を統括する上で大切にしているのは、仕組みとルールは厳格に。通常のエステ店ですと、基本メニュー以外にもオーナーの趣味志向でその他のオプションを増やしがちなんです。でも、弊社はメニュー内容や価格設定の指導も指導しており、施術する時間も提供サービスもパッケージが明確に決まっている。一方で通常のフランチャイズにあるようなノルマや、売り上げラインの撤退基準などはありません。枠の中で、より高みを目指していく方もいれば、プライベート重視の方もいる。そこは緩くていいんです。

――それぞれのライフステージに見合った働き方を尊重することで、より身近なロールモデルが生まれるということですね。

児玉晃洋氏はい。ただ、弊社は各地域の代理店と共に各サロンとしっかりと情報共有を行っているので、コンプラなども含めて逸脱したことはないんです。高みにいるプロの視点でお客様と対峙するのではなく、一緒に輝こうというユーザー視点。良い意味での“素人視点”を大事にしています。

――御社の成り立ちも、元々は異業種が始めた事業という背景も含め、“素人視点”というものが良い意味で活かされていますね。

児玉晃洋氏事業開始時は、「電機メーカーが化粧品も始めるぞ」と揶揄されたそうです。化粧品を作るのも初めて。仕組みを作るのも初めて。代理店の皆様も美容事業は初めての方々ばかり。ただ、素人集団だったからこそワンメニューに特化したんです。施術メニューが1つならば、経験の浅いスタッフさんも覚えやすいし、習熟度を上げていくことに特化した研修スケジュールやカリキュラムも構築しやすい。美容初心者だからこそきっちりやります! という人材が育ってくれたおかげなんです。

――事業が拡大すると、どうしてもメニューも細分化しがちになるものですが、頑なにワンメニューを貫いた。結果としてそれが御社の強みにもなった。

児玉晃洋氏ベースはやはりエステサロンではなく化粧品メーカーであるので、化粧品をいかに長く使っていただくか? どのように生涯顧客を作るべきかを考えたとき、目指したのは、自宅の近所で通いやすい“お肌のかかりつけサロン”でした。化粧品とサロンによるケアで長くお付き合いしよう考えた場合、多様なメニューを売りにするのではなく、ワンメニューで親身になって一人ひとりと向き合う。これが最も重要な要素だと思っています。そういった信頼関係から、CPサロンではお母様から娘さんに、中には親子3世代で通ってくださったり、40年以上通ってくださる方もいたり、長いお付き合いになることが多いですね。

コロナ禍での社長就任、再認識できた顧客&サロンオーナーとの信頼感「コロナの経験は変わらないために変わり続けるタイミングにも」

――児玉さんは2021年の4月に43歳の若さで社長に就任されました。コロナ禍真っ只中での社長就任です。それこそ、これまで培ってきたサロンオーナーや顧客との関係値も崩壊する危険を孕んだ状況でバトンを託された当時の心境は?

児玉晃洋氏確かに不安が無かったと言えばウソになります。でも、2020年に初めて緊急事態宣言が出た頃の前任の社長が一番大変だったと思います。当時は日々の情報が変化し、日本全体が混乱していた。人と人との距離をおこうというコロナ禍により外出や営業の自粛はサロン運営において大きなダメージで、各店舗の大切なスタッフ雇用、店舗家賃の問題は早い段階で課題としてとらえました。このまま1240店舗がバタバタと廃業していってしまうのでは? という不安はありました。ただ、行政支援や代理店、弊社からも支援なども行い、コロナきっかけで廃業を選択する代理店やサロンは、ほぼゼロだったんです。

――それは驚きの数字ですね。

児玉晃洋氏同業の状況と比較しても、顧客の減少は10〜15%くらいで抑えられて、「どこにも安心して出かけられないけど、CPサロンだけは行ける」というお客様が残ってくれた。思ったよりも大打撃を受けずに何とか持ちこたえた1年後が私の代表就任タイミングでした。意外とポジティブでした。数字もこれ以上は落ちることはないと判断できたし、コロナによって強みも課題も顕在化できた。コロナ以前は、旧来の仕組みが変えづらかったんです。いつか変えたいとけど、先延ばしにしてきた状況もあった中で、コロナという経験は、変わらないために変わり続けるタイミングにもなったんです。

――コロナを機に“英断”を下せるタイミングが到来した。

児玉晃洋氏タイミングとしては抜群でしたし、今思うと、活性化を図るという意味でも最適でした。そこから2022年度には30%も店舗数を増やして攻勢に出ました。

――コロナ禍は、企業としての変換期であったと思いますが、ユーザーが求める美にも変化があったと思います。おうち時間が長くなり、美容の部分が疎かになりがちだったのが、コロナが収束し外に出る機会が増えたことで美容への欲求も湧き出てくる。ユーザーニーズをどのように受け止めていたのでしょうか?

児玉晃洋氏減少した15%の人と残った85%の人の違いは何か? 確認していくと、エステだけが好きだったお客様が15%の主でした。 きちんとエステだけでなく、家での化粧品を愛用いただいている方が残ってくれた。このことからも、CPサロンはお客様にとって、“お肌のかかりつけサロン”になれないと離れてしまうということがわかったと思います。コロナが落ち着くにつれ、「外に出かけたい」「久しぶりにメイクをしたい」というニーズを感じたので、2023年の1月にはメイク品を10数品新商品としてリリースしました。弊社はスキンケア製品がメインですが、女性が元気になるには肌を整えるだけではなく、綺麗にメイクして出かけたいという欲求も感じたので、どちらも製品開発を順次行っている最中です。

美しい肌への関心が低年齢化「これまでとは異なる導線から若い世代の新規顧客を獲得」

――オリコンの顧客満足度ランキングのフェイシャルエステ部門エステティシャンのスキル30代の満足度では御社が軒並み1位でした。御社のターゲット層はこれまでだと40〜50代が主だったと思いますが、低年齢化している傾向がこの結果からも見られます。肌への意識に対するユーザーマインドの変化をどのように受け止めていますか?

児玉晃洋氏今の20〜30代の方がお金をかける優先順位として、美容ジャンルが昔と比べて急速に向上している実感があります。それは性別の垣根も超える形で、男性のお客様からの問い合わせも増えている。お肌を綺麗にしたいという意識がどんどん低年齢化していますし、さらに性別も問わない形で“美へ欲求”が社内外にも浸透していると実感しています。どの世代が美への欲求が高かったのかを社内で調査したのですが、6割が20〜30代だったんです。今のうちからやらなくてはいけないという意識、低コストでの美容医療なども増えて敷居が低くなったことなども後押しになっていると言えるでしょう。これは数年前からのトレンドとして可視化されており、年々上昇傾向にあります。

――いわゆる「お肌の曲がり角」として、35歳が分岐として謳われることも浸透していますよね。

児玉晃洋氏入口としての年齢層である30代のお客様も徐々に確保しつつあります。弊社としては体験してもらう新たな導線とリピート率の向上、無理なく20〜30代の方に継続してもらうためにも、製品ラインナップや魅力に感じてもらうサービス空間を展開していきます。

――低年齢層への新たなリーチ、そして有事の際においてもサロンと顧客の関係値が強い。ブレることのない強固な関係値は、改めて御社の強みですよね。

児玉晃洋氏有事は何年かに1度は起こりうると想定をした上で、いかに関係値を維持できるのか? さらに、これまでとは異なる導線から若い世代の新規顧客を獲得できるのか? 新たなルート確保に関しては、特に今年と来年は比重を置いて取り組みたいですね。

撮影/田中達晃(Pash)

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