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(更新: ORICON NEWS

世界的イノベーターが語る 日本のスタートアップが世界で勝つための秘訣とは?

世界的イノベーターが、ある日本企業のCSOに就任し、注目を集めている。全米屈指の名門大学、マサチューセッツ工科大学在学中にAmazon Kindle など電子書籍用の電子インクを発明し、設立したE Ink社を、時価総額80億ドル(約1兆円)にまで成長させるなど、様々な功績を残しているバレット・コミスキー氏(Barrett Comiskey)だ。同氏が選んだ企業は、世界初の“線虫がん検査”『N-NOSE(エヌノーズ)』を開発したHIROTSUバイオサイエンス社。世界を動かすイノベーターが同社に参画した背景とは。就任までのストーリーと日本のスタートアップが世界で成功するための秘訣を聞いた。

最年少で全米発明家殿堂入りしたイノベーター、バレット・コミスキー氏

  • バレット・コミスキー氏

    バレット・コミスキー氏

  • 国内外で注目を集める『N-NOSE』

    国内外で注目を集める『N-NOSE』

 バレット・コミスキー氏は、世界経済フォーラムからテクノロジー・パイオニアとして認定され、全米発明家殿堂(NIHF)入りを最年少で果たしている発明家であると同時に、アメリカのみならず、中国、台湾、東南アジアでも豊富な実績を残している連続起業家だ。
 
 そんなバレット氏が参画を決めたHIROTSUバイオサイエンス社は、世界初の“線虫がん検査”『N-NOSE』を4年前に実用化した日本発のスタートアップ企業。『N-NOSE』は自宅で尿を採って提出するだけで、全身の早期がんのリスクを調べられる画期的なサービスだ。これまでに受検者数は50万人を突破、累計2000社が法人導入しN-NOSEがきっかけでステージ1のすい臓がんが見つかった」「長い間健康診断に行ってなかったが、N-NOSEでリスクが高いと判定されたことがきっかけで早期のがんが見つかった」など、早期発見の輪が広がっている。

 バレット氏が日本のスタートアップを選んだ背景には「その幅広い経験と実績を活かし『N-NOSE』の海外展開を実現してほしい」という、HIROTSU社からのオファーがあった。 

卓越した技術、素晴らしいチーム、そして偉大なミッションに心を動かされた

HIROTSUバイオサイエンス社・広津崇亮社長と握手するバレット氏。

HIROTSUバイオサイエンス社・広津崇亮社長と握手を交わすバレット氏。

広津社長の発明は、世界最大の社会問題を解決する可能性を持つ技術です。この技術は、ノーベル賞とも関連し広く研究されているモデル生物(C. elegans)を用いて、高感度なバイオセンサーを作り出すものです。この発明は、学問的な枠を超えた創造的思考の素晴らしい例と言えます。私自身、何か新しいものを生み出す時は、常識に囚われずに物事を考えることを心がけています。そのため、この発明は私にとって大きな刺激となり、強く心を打たれました」(バレット・コミスキー氏/以下同)

 オファーを持ち掛けられた時の気持ちをそう明かすバレット氏。しかしなぜ、これまで世の中に影響を与える数々のプロジェクトに取り組んできた同氏が日本のスタートアップ企業を次なる挑戦の場として選んだのか。その理由を尋ねると「人生の時間の使い方を考えるとき、私は社会をより良くするために仕事を楽しんでいるチームと働き、社会的インパクトのあるプロジェクトに時間を費やしたいと思うんです」と話してくれた。さらにバレット氏が同社の一員となることを決意した理由は他にもあると言う。

「がんを早期発見できる、安価で非侵襲的な高感度の検査である『N-NOSE』は、世界中のがん検査のあり方を変え、多くの命を救える可能性があります。だから私はこの技術を世界に広めることに全力を尽くす義務があると感じたんです」

 さらに次のように続ける。

「豊かな国である米国でさえ、国民の半数が十分な医療を受けられていません。また人々の40%が一生のうちにがんを発症するという事実があるにも関わらず、市場には約1,000ドル(約15万円)もするがん検査が流通しています。しかし費用が高く、ほとんどの人々は利用できません」

 また「既存の多くのがん検査は、早期がんに対する感度に関して良い結果が得られていない」とも指摘する。たとえばすい臓がんの場合、見つかった時にはすでに手の施しようがないというケースも少なくない。そんな中、尿を提出するだけで、さらに15,800円〜(※)の手頃な価格で検査ができる『N-NOSE』「他の検査とは完全に異なるアプローチの革新的技術」と評価する。

※検査キットは、1回検査コースで税込16,800円、定期検査コース(年間1〜3回の間で検査回数を選択可能)で1回あたり税込15,800円。

日本のスタートアップが世界で成功するために重要なこと

 HIROTSU社のCSOに就任した今「人々の生活の質を向上させ、より良い未来を創るために尽力するチームに参加できることを嬉しく思う」と話すバレット氏。自身の使命についてはこう明かす。

「既にいるメンバーたちと緊密に連携しながら、研究開発、グローバル展開、そして資金調達を推進することだと考えています。そのためにもまずは、アメリカへの迅速な進出、そして北米や西ヨーロッパだけでなく、アジアやアフリカの新興国も含め、より多くの国々へ私たちの技術を拡大して、より多くの人々のがんを早期発見できる未来の実現を目指します

 さらに日本のスタートアップ企業の海外進出について、成功させるための秘訣をこう話す。

「数世紀にわたり、日本人は数々のイノベーションを生み出してきましたが、それらは必ずしもグローバルに展開されるわけではありませんでした。しかし、日本には世界に通用する多くのイノベーションの種があり、個人的に非常にもったいないと感じています。

 もしこの文章を読んでいて、『どうやって自社のサービスやアイデアをグローバルに展開していくか?』と自問自答を始めた人がいるのであれば、すでにグローバル展開の重要な一歩を踏み出しています。なぜなら、大半の人々はそもそも世界市場を最初から真剣に視野に入れていないからです。

 まずは日本の外に出ることを恐れず、積極的に世界中の人と繋がり、話をする機会を作ることです。私のアドバイスは、単純に聞こえるかもしれませんが、日本の多くの起業家やビジネスマンと会話をした中で、これが最も必要なことだと感じています。ある日突然、誰かが日本に飛んできて、あなたと話をするのを待っていてはいけません。世界中の人と対話をする中で、自ずとやるべきことは見えてきます。一人でも多くの日本の起業家が世界に打って出ることで、一緒に世の中をより良くしていけることを楽しみにしています」

世界が注目するプロダクト『N-NOSE』、「世界中の人々へがんが早期発見できる未来を」

 バレット氏とともに海外展開という新たなステージへと動き出すHIROTSU社。海外展開と並行して進めるのは『N-NOSE』のさらなる研究開発だ。

 「がんは早期発見できれば、9割が治る」と言われているにもかかわらず、毎年多くの人々が、がんで亡くなっている。HIROTSU社はこの社会課題に対処するべく、全く新しいがんスクリーニングの仕組みを作るため研究開発に取り組んできた。それは定期的に全身の早期がんリスクの有無を手軽に調べることができる「がん検査の入り口」となるサービスの開発、そして次のステップとしてがん種別のリスクを判定できるサービスを開発することだ。つまり少量の尿を採るだけで効率的にがん早期発見に繋げられるスクリーニングシステムの確立である。

 そのために、2020年には「がん検査の入り口」として『N-NOSE』の実用化に成功。尿を提出するだけで、全身の早期がんリスク判定できるこのサービスは、その簡便さと安価な価格、高精度な点が評価され、これまでに50万人以上の人々が利用している。

 その後、2022年にはがん種別のリスクを判定できる検査の第一弾として、すい臓がん検査の実用化に成功。そして、2024年2月には肝臓がん検査の販売を開始。2026年までに15種類のがん種別の検査を実用化する計画であり、着実に革新的ながんスクリーニングシステムの確立に向けて前進している。

 バレット氏は「世界が注目するプロダクトの更なるパフォーマンス向上によって、今後、様々なリスクや医療制度への負担を最小限に抑えつつ、がんの早期発見によって、厳しい治療や避けられたであろう死亡リスクなどを減らしていきたい」と展望を見据える。

「なにより、CSOとしてサービスを利用する人々を常に私の使命の中心に考え、できる限り早く、多くの人々に最良のがんリスク検査を提供していきたいと思います。そのためにも今後、米国や他の多くの国で培った私の経験を活かすことで、医療制度が行き届いていない世界中の人々にも、がん早期発見の未来が提供できると信じています」

▼『N-NOSE』の検査方法
1)ネットや最寄りの薬局、ドラックストアで「検査キット」を購入
2)自宅で採尿
3)指定の場所に提出、または集荷にきてもらう
4)約4〜6週間後に郵便とマイページで結果を通知
または
・お近くの医療機関で受検

supported by HIROTSUバイオサイエンス

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