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『粉薬ができるまで』に1170万再生、SNSで薬局の裏側発信する薬剤師「待たせてしまう理由知ってほしい」

 YouTubeやSNSを通じて、薬局の裏側や処方のアドバイスなどを発信している中野昇さん(@sho_molth)。昨年、Xに投稿された『粉薬ができるまで』の過程動画には1170万再生の反響があり、「想像以上に手間が掛かってて驚く」「そら時間がかかるわけだ」「これがわかれば薬待つ時間も苦じゃない」などのコメントが寄せられた。薬剤師として、薬局の舞台裏を発信している理由やその反響を中野さんに聞いた。

「何になったらすごい?」両親の提案で薬剤師を目指す、SNS発信を始めた理由とは

――薬剤師を目指したきっかけを教えてください。

高校3年生の時、進路について両親に相談した際に、薬剤師という職業を提案されたことがきっかけです。それまで私はサッカー一筋で、将来のことについてはあまり考えておらず、両親には「何になったらすごいと思う?」という風に相談しました(笑)。私の学力や将来的に山口県に戻ることを考慮し、両親は薬剤師の道を提案してくれました。

――簡単に就ける職業ではないかと思いますが、薬剤師になるまで、どのようなご苦労がありましたか。

私立の薬学部に入学しましたが、進級や卒業、さらに国家試験への道のりには多くの難しい試験が伴いました。私は元々学力が特別高いわけではなかったため、勉強にはかなり苦労しました。ただ、薬学部が学問的に厳しいことは予め知っていたので、「やるしかない」という心構えで挑むしかありませんでした。
――実際に薬剤師になってからは、イメージとのギャップはありましたか。

薬剤師になってから、特に知識を身につけるまでの期間は大変な苦労がありました。薬学部の6年間の学びがあったとはいえ、新米薬剤師としてのスタート時には、知識が不足している感じが強く、日々の業務に追いつくのに精一杯でした。さらに、私はOTC薬剤師として、処方箋を扱わないドラッグストアで働いていました。忙しい店舗だったため、店舗運営に関わる業務も多く、この点においても様々なギャップを感じました。

――SNSを始めたきっかけを教えて下さい。

私がSNSを始めたきっかけは、約1年前のことです。当時、約3年前に立ち上げたサプリメント販売の会社が思うように成長せず、新たな事業活動を模索していました。そのような中で、ビジネスにおいてSNSを積極的に活用している人と出会い、大きな影響を受けました。その出会いがきっかけで、私もSNSで発信してみようと考え、取り組み始めました。

――薬局の裏側を発信することについて、職場や同業者から反対の声はなかったですか。

薬局の裏側を発信することについて、職場や同業者から反対の声は特にありませんでした。実際、同業者からは、薬剤師の仕事や薬局の役割に関する理解が深まることに対して、むしろ前向きな反応で、協力的に取り組んでくれました。

総フォロワー45万超、視聴者の反応に「薬剤師の仕事があまり知られていない」実感

――総フォロワー45万超に至るまで、どのような工夫をされましたか。

自分が普段見ている人やフォロワーが多い人の動画を見て、日々研究しました。覚えてもらえるように、白黒2色の白衣を作ったのも工夫の一つです。

――フォロワーが増えるに当たり、意識していることや気を付けていることがあれば教えてください。

とにかく視聴者目線を一番意識しています。扱うテーマやその内容に対して、「皆が何を知りたいのか?」を考えて、それに対しての有益な情報をリサーチして、まとめて、投稿を作っています。動画の編集も、テンポ感やわかりやすくするためのイラストや写真などを入れるようにして、飽きずに見てもらえるようにしています。

――SNSでの反響を受けて、気づいたことや驚いたことはありましたか。

薬局の裏側もそうなのですが、薬剤師や医療者にとっては当たり前のことでも、一般の方からすると驚きや発見があることです。逆にいうと、薬局や薬剤師の仕事があまり知られていないということも知りました。
――Xに投稿された『粉薬ができるまで』の過程動画には、1170万回再生を超える反響がありました。

以前の粉薬の動画では他のSNS媒体での反響があったので、ある程度反響があるかなとは予想していました。ただ、これほどの反響とは思っていなかったので、多くの人に粉薬の作成の時間がかかることを知ってもらえて嬉しかったです。

――かなりアナログな印象を受けましたが、今後デジタル化されていくと思われますか。

デジタル化していくと思います。医療の業界は、法改正や制度の変更により進んでいくケースが多いので、今後の改正によっても徐々に進んでいくと思います。

――ほかに、意外な反応があった投稿などはありましたか。

『軟膏を作る動画』や『薬を半錠にして分包する動画』は反響が大きかったです。意外な反応としては、軟膏は元々作ってあり、それを出すだけだと思っていた人が多かったのは意外でした。患者さんの処方内容によって配合の分量を変えたり、早くから作っていると分離するものもあるので、薬局で作ったりしてお渡ししています。

薬局で待たせてしまう理由、症状を聞く理由、薬がない状況を知ってほしい

――薬剤師の仕事について、あまり知られていないこと、知ってほしいことがあれば教えてください。

『薬局で薬剤師が症状を聞いてくる理由』という動画も反響が大きく、コメントの多くが薬局でのプライバシーを指摘したものだったので、そこの部分は再認識した部分でした。薬局でお待たせしてしまう理由や症状を聞く理由、薬が手に入りづらい状況であることなどは知っていただけると、患者さんにとっても薬剤師にとっても良いことだと思い、発信しております。

――昨今薬不足が叫ばれる中、薬剤師としてどのようなご苦労がありましたか。

昨今の薬不足の問題に直面して、薬剤師としての苦労はいくつかあります。特に、患者さんが持参する処方箋に記載されている薬が薬局にない場合、近隣の薬局や卸業者に連絡して手配を行う必要があります。これらの業務は時間がかかるため、患者さんにとってストレスとなることもしばしばです。そのような状況への対応は、私たち薬剤師にとっても苦労の1つではあります。

――今後発信していきたいこと、薬剤師としての目標などがあれば教えてください。

健康の知識や薬局の裏側だけでなく、病院薬剤師の裏側も発信できたら面白いかなと思っています!薬剤師として、100万人のフォロワーを目指して、薬剤師や薬局の働きを多くの人に届けたいと思います。

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