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“誠お兄さん”福尾誠「感情豊かなタイプではなかった」、子どもたちに教わった表現方法

 『おかあさんといっしょ』12代目「体操のお兄さん」を務めた“誠お兄さん”こと福尾誠。親しみやすいキャラクターで瞬く間に人気を集め、今年2月の卒業発表時には「衝撃」「寂しい」「ニュースを観て泣いている」など多くの「ロス」の声が続出した。6歳から体操競技をはじめ、選手として16年、コーチとして5年のキャリアを積んでいた彼の夢は「子どもたちのヒーローになること」。まさに番組では、そのイメージぴったりの活躍を見せていた。現在はファンクラブを新設し、ミュージカルに出演するなど「表現」の分野で精力的に活動する。「僕の人生のすべて」と語る同番組出演は、彼の人生にどんな影響を与えたのか。

「ヒーローになりたい」“体操のお兄さん”抜擢で夢が実現

――「からだ☆ダンダン」を最後に披露したのは、5月に開催された『おかあさんといっしょ』ファミリーコンサートのゲスト出演でした。ステージ上で思うことはありましたか?

福尾誠4年間やってきた体操を最後に見せる、ひと区切りの気持ちでしたね。最初は立ってやる体操としてスタートしましたが、コロナ禍は座ったままの体操が3年間続きました。それがもう一度、直接みんなの顔を見ながら一緒に立って体操ができて初心を思い出して、感慨深かったです。こういう機会をいただけたことが本当にうれしくて感謝しています。

『「おかあさんといっしょ」ファミリーコンサート〜しれば・・・トモダチ?ぴょんぴょんぴょ〜ん!』ブルーレイ・DVDより

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――「ひろみちお兄さん」は13年、「よしお兄さん」は14年続けてきました。大先輩の後任という重圧もあったのでは?

福尾誠不思議とプレッシャーは感じていなかった…というか、正直気持ちが追いついていませんでした。その重みやその先に何が待っているかなど、何も知らないなかでスタートして。ただ、体操のお兄さんは子どもの頃からの夢のひとつだったので、それが叶ったうれしさのほうが、プレッシャーより何より大きかったです。ただ、1年出演してもう1年と続いていくなかで、14年務めたってすごいなと感じています。

――順天堂大学で体操の選手、コーチとしてキャリアを積んできましたが、体操のお兄さんが夢でもあったんですか?

福尾誠親族に保育関連の仕事をしている方がいて、僕も幼少時から多くの子どもたちと接する機会があったんです。そのとき、おもちゃで楽しく遊んでいても、『おかあさんといっしょ』がはじまるとみんな釘付けになる。「どういうことだ!」と、その姿を見て衝撃を受けましたよ(笑)。子どもの頃からヒーローになりたいという夢はあったんですけど、そのときに僕の中でビビッときて。テレビに出演してこんな人になりたいというよりも、子どもたちを釘付けにできるヒーローになりたいという気持ちが強く芽生えたんです。それで、体操を専門に習い事もしてきたので、体操のお兄さんになってヒーローになりたいと思ったことがきっかけでした。

――4年間の活躍を振り返ると、まさにヒーローのイメージにピッタリでした。

福尾誠少しヒーローに近づけたかな(笑)。

オンとオフの切り替えは? 「『僕は爽やか!』と思ったことはないです(笑)」

――就任当初は、どこか緊張ぎみでぎこちない印象もありました。でも日増しに伸び伸びとして、表情も豊かになっていきましたね。

福尾誠子どもたちと一緒の収録が、この番組の特徴でありいいところ。なので、子どもの目線に立って、とにかく僕自身が楽しむことを意識しました。最初は緊張もありましたし、番組の段取りを追うことに意識が向きすぎてしまうこともありました。でも、少しずつ慣れてその比重が変わってきてからは、楽しもうという気持ちを伝えやすくなったし、いつからか子どもたちと一緒に遊んでいるような感覚になりました。仕事なのに遊んでいてはいけないのかもしれませんが(笑)。

――歌って踊るだけではない、表現の部分もすごく努力されているのを感じました。

福尾誠じつは僕自身、あまり感情豊かに表現できるタイプではないんです。自分では喜んでいるつもりでも、まわりの人はそれがわからないくらい。それに、もともと体操は感情を顔に出さない競技で、失敗しても成功しても顔に出さないことを意識してきたんです。準備してきたものを披露することが体操競技の表現方法だったので、身体で表現することは得意でしたが、表情で伝えるとなると…それが染みつき過ぎていたのかもしれません(笑)。表情の練習をしたというよりは、子どもたちと遊びながら毎日楽しく関わっていくなかで、自然に身につきました。

――リハーサルもないんですよね。

福尾誠そうですね。収録に参加する子どもたちとはスタジオで会って、一緒に過ごします。子どもって本当に面白くって、予想外の楽しい発言や行動をしたり。僕が楽しませてあげようというより、子どもたちが僕らを楽しませてくれる環境を作ってくれるんです。そうすると、こっちの表情が自然と緩んで笑ってしまう。自然に毎日楽しく関わっていくなかで、子どもたちみんなが教えてくれました。
  • 『「おかあさんといっしょ」メモリアルベスト だいすきなキミに』ブルーレイ・DVDより

    『「おかあさんといっしょ」メモリアルベスト だいすきなキミに』ブルーレイ・DVDより

――一方、『おかあさんといっしょ』の体操のお兄さんといえば、爽やかでクリーンなイメージです。カメラが回っていないところでも、所作や立ち振る舞いなど意識して「お兄さん」でいなければならない覚悟も必要な気がします。

福尾誠不思議とお仕事でもプライベートでも「お兄さん」でいなければいけない、という意識はなかったです。ただ、「体操のお兄さん」という自覚はすごくありました。たとえば、習い事の発表会やスポーツの試合に出るときのようなスイッチの切り替えは、もちろん仕事とプライベートであります。でもそれは、誰もが持っているオンオフのスイッチと一緒で、「僕は爽やか!」と思ったことはないです(笑)。仕事なんですけど、収録はとにかく楽しいので自然体で楽しんでいました。

――歴史ある番組のイメージを背負うことへのプレッシャーはありませんでしたか?

福尾誠それはもちろんありました。これまでの先輩方がつないできたバトンを自分が受け取って、次の世代に渡していかないといけない。歴史をつなぐ立場にあるのが現役のお兄さんで、そういう意味での重圧はありました。でも、体操のお兄さんという肩書きに対してはとくに感じたことはないですね。とにかく大きな夢が叶って、このお仕事をさせていただけることがうれしかったですし、それを心から楽しんでいました。

――4年間の体操や歌を収録した映像作品が発売されます。とくに大変だった楽曲として、「ドラネコロックンロール」を挙げていましたね。

福尾誠2パターンあるうちのひとつが、アクロバット要素の4つの新しい技を組み込んだダンスだったんです。まだ習得していない大技だったので、空き時間はとにかく練習練習の毎日。それが大変でしたね。指導の先生が、一般的に習得するまで2年はかかるとおっしゃっていて。僕は体操競技の基礎がありましたけど、収録日までの2週間という期日もあったので…。体操の基礎がなければ完成していません。

――2年かかることをたった2週間! てっきり番組のダンスは、出演者のスキルに合わせて作られると思っていました。

福尾誠難しかったですけど、歌には歴史があって表現する人は変わっていきます。番組は、自分が持っているいいところを出すだけでなく、新しいものにもチャレンジしていく環境でもありました。それをみんながやることによって、新しい表現として視聴者に伝わります。これは、『おかあさんといっしょ』の制作スタッフ含めて、チームがすごくいい環境を作ってくださっているんです。相乗効果でみんなが楽しめるものを作っていけていることは、番組の歴史の強さだと思います。

番組の経験は「挫折や壁を乗り越える糧になる」、新たな“体操表現”も模索

――歴代の「体操のお兄さん」は、それぞれ「表現」の分野で活動中です。先輩の姿をどう見ていますか。

福尾誠同じ番組出身ではありますけど、それぞれ伝えていきたいものがあって、みなさん表現方法は違います。そのなかで共通しているのは、子どもたちに楽しんでもらいたいということ。それが軸にあって活躍されているみなさんは憧れの存在です。

――これまでは番組という居場所がありました。卒業してそれがなくなり、これからは自身のスキルを活かして活動の場を作り続けていかないといけません。不安はありませんか?

福尾誠やっぱり僕の活動の軸は、子どもたちに楽しんでもらいたいということなんです。それと同時に大人が楽しめるものも作っていきたい。新しいことを始めるためのスタート地点にいるワクワク感が大きいですね。もし、その気持ちがなくなってしまうことがあるとすれば不安を感じるかもしれませんが、いまはネガティブな思考はありません。体操のお兄さんという表現の仕方からは変わりますが、今後も体操を通じて新たな表現を見つけていきたいと思っています。

――現在は、横山だいすけさんとのW主演ファミリーミュージカル『だいすけお兄さんとまことお兄さんの世界迷作劇場 2023〜24』に出演中ですね。

福尾誠これまではスタジオで活動することがほとんどだったため、数多いステージで直接みなさんとお会いできて表現を見ていただける空間が楽しいです。内容がすごく濃くて、今までにない新しいチャレンジも入れていて、これまでになかった部分も出せています。0歳から大人まで、みんなが楽しめる作品になっている自信がありますので、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです!

――今後はどんな活動をイメージしていますか。

福尾誠軸は体操です。小さい頃にはじめて、その後、オリンピックを夢見続けた期間、演技をした期間、体操を勉強して人に教える期間があって、体操として体を動かす表現の期間がありました。体操を軸に、表現の仕方が少しずつ変わっているんです。今後も、体操を通じて新たな表現を見つけていきたいと思っています。

――番組出演は、福尾さんの人生にとってどんな経験になりましたか?

福尾誠僕の人生のすべてです。小さい頃からの夢が叶った瞬間であり、それが続いた期間。これから先の長い人生のなかの、いちばん大きな、いちばん大事なものです。それに、人生の最期に思い出すのは番組のことだと思います。『おかあさんといっしょ』があったからこそ、今の自分がある。もしこの先、挫折や壁にぶつかったとしても、それを乗り越えるための糧になると思います。

撮影/厚地健太郎
ヘアメイク:KEIKO(サブリメイション)
スタイリスト:山崎厚見(※崎=たつさき)

【作品紹介】

■7月5日発売
『「おかあさんといっしょ」メモリアルベスト だいすきなキミに』ブルーレイ・DVD(外部サイト)

ブルーレイ:3,520円(税込)
DVD:3,520円(税込)

企画・制作:NHKエデュケーショナル
発行:NHKエンタープライズ
販売元:ポニーキャニオン
■8月9日発売
『「おかあさんといっしょ」ファミリーコンサート〜しれば・・・トモダチ?ぴょんぴょんぴょ〜ん!』ブルーレイ・DVD・CD(外部サイト)

●ブルーレイ:3,850円(税込)
●DVD:3,850円(税込)
企画・制作:NHKエデュケーショナル
発行:NHKエンタープライズ
販売元:ポニーキャニオン

●CD:2,750円(税込)
企画・制作:NHKエデュケーショナル
発売・販売:ポニーキャニオン
■ファミリーミュージカル出演中
横山だいすけ、福尾誠のW主演ファミリーミュージカル
『だいすけお兄さんとまことお兄さんの世界迷作劇場 2023〜24』(外部サイト)

2023年5月20日〜2024年2月まで全国ツアーを予定
公式Twitter:@meisaku_theater
企画製作:アークスインターナショナル

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