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吉沢悠『悔しさや情熱が入り混じっていた 自分の経験を活かして』
7人で息を合わせて魅せなくてはならない
吉沢歌とダンスをガッツリやると聞いていたので、本当に……?と。実は、できることなら一生やらないと思っていたほどダンスが苦手なんです。
──そうなんですか? でも、この舞台のラストシーンには歌やバレエなどダンスが盛りだくさん用意されていますよね?
吉沢そうなんです。『宝塚BOYS』の最後のショーシーンはすごいよと噂では聞いていて。でも、踊れる人が踊って自分は……という甘い考えが頭の片隅にあったんですけど、やっぱりそれはダメでしたね(苦笑)。
──(笑)そんな苦手なダンスがあっても出演したいと思ったのはなぜですか?
吉沢タイトルに“宝塚”と入っていますが、この舞台は7人の男子と彼らに関わる人たちの人間模様が描かれているんです。そのストーリーに惹かれました。また、演出の鈴木裕美さんがとても役者よりの演出をされる方なので、役者として(演じることを)楽しめるという期待もあります。
──ちなみに、ダンスの練習は現段階で(取材は7月10日)どんな感じですか?
吉沢一生懸命しがみついて稽古をしている最中です。やっぱり難しいですね。いまでももう少し簡単な振り付けにならないかな……って思ったりします(笑)。ただ、僕はもともと苦手ではあるんですけど、ダンスのできる人も普段のダンスのクセを「出さないでくれ」と言われているので、みんな苦労があるみたいです。あと、7人で息を合わせて魅せなくてはならない、チームプレイも求められるので、一体感を出すことも大変です。
──なるほど。稽古風景を拝見した限りでは、吉沢さんのダンスも7人の一体感も形になっていたと思うんですが……。
吉沢まだまだです。稽古が始まったある日、このままじゃ「やばい! 追いつかない!」と思って、みんなと一緒の稽古が終わったあと、家の近くの公園で練習をしていたんです。ストリートダンスだったらひとり公園で練習していても違和感ないかもしれないけれど、今回は動きの大きなクラシカルなダンスなので、犬の散歩をしている方に怪しまれたことがありました(笑)。
新たに何かをやりたいと欲していた時期があった
吉沢2〜3年前に知り合いに誘われて観に行ったことはあります。女性だけの舞台ですし、ファンの方のパワーがものすごいじゃないですか。舞台と客席の両方のパワーに圧倒されながら観ていたのですが、だんだんのめり込んでいって、気づいたら最後のレビューは完全に前のめりになっていました。でも、まさか自分が“BOYS”としてステージに立つなんて思ってもみなかったですね。オファーを受けたときは驚きもありました。
──1945年に特設、1954年に解散、宝塚歌劇団の男子部で懸命にがんばった男たちの青春が描かれるわけですが、実話をもとにしているのも興味深いです。吉沢さん自身はこの物語をどう受け止めていますか?
吉沢自分自身も芸能界で立ち止まった時期があって、新たに何かをやりたいと欲していた時期、悔しさや情熱が入り混じっていた時期があったので、そういう自分の経験を活かしてお芝居ができるんじゃないかなと思っていたんです。でも、それ以上に7人のメンバーのチームワークが良いので、気持ちを(キャラクターに)すんなり乗せることができて。この舞台は全部で1〜9場まであるんですが、鈴木裕美さんから、1場、2〜8場と徐々に積み重ねていけば、9話はおのずと動けると言われていたんです。実際、本読みのときに9話でみんなが自然と泣いていました。
──通してお芝居ができる、心の動きを止めずにお芝居ができる、それが舞台のおもしろさでもあるんですね。
吉沢それはありますね。頭で考える理論的なこと以上に、積み重ねによって出てくるものがあると思います。
──『宝塚BOYS』を含め、昨年から今年にかけて舞台作品が続いていますが、それは吉沢さん自身の希望ですか?
吉沢半々ですね。ただ、今回の稽古というのが、ここでこういうふうに見せたいからこう動くというように、稽古自体が役者のメソッド的なところがあって。それは僕にとってとても大きいことなんです。映像の世界も舞台の世界もいい作品を作るために演じることに変わりはないんですけど、映像の現場はどうしても時間が足りなくて……。なので、舞台の稽古場は役者としての成長の場でもあるんですよね。
──稽古はもちろん、公演が始まると体力勝負なところもあると思います。しかも今年は猛暑! 健康管理や体力保持のために、なにか続けていることはありますか?
吉沢舞台をはじめた頃からなんですが、最近はアロマに助けてもらうことが多いですね。もともとオンオフの切り替えが苦手なタイプで、仕事のことを忘れて頭を休めなくちゃと思っていても、気づくと頭のどこかで芝居のことを考えてしまっているんです。なので、今はアロマ(嗅覚)で切り離しています。3年前まではサーフィンにそれを求めていたんですけど、いまサーフィンをやったら(体力的に)踊れなくなってしまうので(笑)。
──香りって大事なんですね。最後に、この舞台にかける想い、意気込みを聞かせてください。
吉沢いままで3度公演をしている舞台ということもあって、リピーターの方も多いと思うんです。なので、メンバー全員、過去の公演を越えたいという強い気持ちを持ってやっています。体力的にしんどいこともあるし、プレッシャーも大きいけれど、よりいいものを見せられるよう奮起しています。後悔させない舞台──楽しかった! 泣けた! と感動して劇場を後にしてもらえるようにがんばります。
(文:新谷里映/写真:片山よしお)
舞台情報
舞台『宝塚BOYS』
“女性だけのレビュー劇団”として、日本のみならず世界でも知られる存在である、宝塚歌劇団。100周年を迎える長い歴史のなかで、かつて「男子部」があった事実はほとんど語られていない。
1945年、「明日の宝塚スター」を夢見て集まって来た個性豊かな男たち。しかし9年後、解散。その間、彼らはメインステージである宝塚大劇場に立つことは一度もなかった。そんなBOYSの、ちょっと可笑しくも哀しい青春グラフティ。
2007年の初演から、2008年、2010年と上演を重ね、2013年、BOYSに4度目の夏がやって来る!!
【公演スケジュール】
東京公演:7月23日(火)〜 8月11日(日)
名古屋公演:8月13日(火)
兵庫公演:8月24日(土)、25日(日)
横浜公演:9月3日(火)〜 5日(木)※貸切公演
新潟公演:9月11日(水)
千葉公演:9月15日(日)、17日(火)〜 20日(金)※貸切公演
※詳細は公式サイトをCHECK!
【公式サイト】
写真提供=東宝演劇部
関連リンク
・舞台『宝塚BOYS』公式サイト