(更新:)
ORICON NEWS
笠松将が『ガンニバル』レギュラー出演者を解説 いろんな意味で“怖かった”芝居合戦
『ガンニバル』は、二宮正明の同名漫画を原作に、ある事件をきっかけに左遷され、都会から遠く離れた山間にある供花村(くげむら)の駐在となった主人公が、“この村では人が喰われているらしい…”という、おそろしい噂の真相を探っていくヴィレッジ・サイコスリラー。
後藤恵介役について
笠松原作と台本を読んで、恵介がどういう風に育ってきて、その人生で何がしたいと思っている人なのかを理解しようと努める中で、なんか恵介の気持ちわかるな、と共感できたり、親近感を抱いたりすることができました。なので、撮影は楽しくもあり、難しくもありました。
今回の現場は、俳優部の皆さんが腕をブンブン回して、投げられる球種をぜんぶ、出し惜しみせずに投げ込んでいった、という感じ。すべての俳優がいろんなことを試せた現場だったと思います。それができたのは俳優にとって幸せなことですし、いろいろ試した中から厳選したいいものが詰まっている。俳優たちの芝居合戦を観るという楽しみ方ができる作品だと思います。
僕自身の手応えとしては、まだまだこれからというか、恵介は切り札を全く出していない状態なんじゃないかと。次期当主の恵介を周りが盛り立てていたように、器の大きな先輩方が僕を助けてくださりました。
阿川大悟役:柳楽優弥について
笠松普段の柳楽さんは言葉づかいも丁寧で、優しくて、穏やか。ですが、今回の現場で役に入った柳楽さんはびっくりするくらい怖かったです。僕が演じた恵介が、柳楽さん演じる大悟に銃を向けたり、頭からお酒かけたり、引きずりまわしたりしたせいもあると思いますが、一緒に芝居ができてすごく勉強になりましたし、すごく楽しかったです。
柳楽さんはカメラの前に立つと一瞬にしてパワーを爆発させることができる俳優だと思っていたのですが、もしかしたら、あふれ出るパワーにふたをして普通の人に合わせているけど、カメラの前に立った時だけ開放できるのかなって。そんなことを考えてしまうくらい、引き込まれました。
片山慎三監督をはじめとするスタッフ、キャストがチーム一丸となった今回の現場のことを柳楽さんがすごく大切に思って、自信を持っていたことが、その表情や佇まいから伝わって来て、僕らも安心して思いきったお芝居ができたと思います。寄り添いながらみんなを引っ張っていってくれるリーダー、そんな印象も加わりました。
阿川有希役:吉岡里帆について
笠松共演シーンはそんなになかったのですが、メイクルームなどで一緒になると、ましろ役の(志水)心音ちゃんの話ばかりしていた印象です。「ましろがさっき現場でこんなことをしていて、それがすごくかわいかったんですよ」と話す吉岡さんは本当のお母さんのようでした。
阿川ましろ役:志水心音について
笠松心音ちゃんとは撮影の合間にご飯を食べに行ったり、お茶したりしていたんですが、そういう時は普通のかわいい女の子。ところがひとたび撮影に入ると、自分はこう思うから、こうしたいというのを9歳にして持っているプロフェッショナル。出来上がった映像を観て、改めてすごいなと思いましたし、将来どんな俳優になるんだろう、と考えるといい意味で怖いくらいです。
後藤銀役:倍賞美津子について
笠松倍賞さんが出演されている作品をたくさん観てきた、大先輩。クランクインしてすぐに、倍賞さんの控室に後藤家のキャストみんなであいさつに行ったのですが、すごく気さくに「よろしく!」と返ってきて拍子抜けするくらいでした。現場で「すごく緊張している」とおっしゃっていたり、せりふを噛んでしまった時のリアクションだったりが、すごくチャーミングで、失礼を承知でいうと、すごくかわいらしい方なんです。倍賞さんを見ていて、お芝居ってすごいな、と思いました。
後藤清役:六角精児について
笠松六角さんは一緒のシーンが多かったのですが、口では「大変だよな」「大変だよな」と言いながら、しんどい顔を一切見せない方でした。監督のオーダーに柔軟に対応していくプロという感じがすごくかっこよかったです。
後藤岩男役:吉原光夫について
笠松吉原さんは、岩男というキャラクターを作る上でそうされていたんだと思いますが、無口で、馴れ合いを好まない孤高なイメージがありました。撮影中、現場がピリつくことがあった時に、吉原さんが「ごめん、今の自分のミスかもしれない、ごめんね」と切り出して、その場が収まったことがあったんです。器の大きさに助けていただきました。
後藤龍二役:中村祐太郎について
笠松龍二が後藤家のムードメーカーであるように、後藤家キャストの中では片山慎三監督の長編監督デビュー作『岬の兄妹』にも出演していた祐太郎さんがムードメーカーでした。祐太郎さんは、同じ台本を読んでいるのに、どう読んだらそうなるの?というような、誰も思いつかないようなお芝居をしてくるから、本当に怖い。意味わからないけど、めちゃくちゃ良い、そういうお芝居を見せてくれています。
後藤睦夫役:酒向芳について
笠松本読みの時の酒向さんはマジで怖かった。これは、しっかりしないと全部持っていかれるな、と震えました。撮影が始まって、役者さんたちのオン、オフの姿が見えてくると、当たり前のことですけど、お芝居している時とは全くの別人。「寒くないか?」とか、「水分とってる?」とか、気遣ってくれて。酒向さんは岐阜出身で、僕は愛知出身で、地元が近いことがわかってからは、名古屋弁で話しかけてくれて、すごく優しい方でした。でも睦夫は凶暴で怖い、見どころです。
山口さぶ役:中村梅雀について
笠松梅雀さんがさぶのようなキャラクターを演じてくださって、純粋にうれしかったのですが、緊張しちゃって自分から話しかけられなかったんです。共演シーンもあまりなくて、もっとお話ししてみたかったです。