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ベールに包まれた16歳シンガー・久保あおい、あえて“顔出し”したワケ「同じ悩みや苦しみを抱える人に届けたい」

 東京都足立区出身16歳のアーティスト、久保あおい。デビュー以来、孤独や葛藤、心の闇を訴えた楽曲が、同じ境遇を持つ同世代に共感を呼んできた。これまで限られた情報しか明かしてこなかった彼女が、自ら作詞作曲した「独り言」のリリースからビジュアルを解禁した。顔出しをせずに活動するアーティストが増えている今、あえて“顔を出す”という決意をした意味について聞いた。

実体験を曲に書きたい…リアルに感じてもらう為にも、顔出しする意味がある

  • 久保あおいの新曲「独り言」

    久保あおいの新曲「独り言」

──新曲「独り言」は初めてご自身で作詞・作曲をされたそうですね。

久保あおい デビューからこれまでリリースした楽曲は、詠人不知(ヨミビトシラズ)さんが作ってくれていたのですが、「もっとノンフィクションな曲を歌っていきたい」という気持ちがだんだん強くなって。自分の実体験や心の奥で思っていることを歌にするのであれば、まずは自分自身で作曲・作詞するのが正しい気がしてチャレンジすることになりました。

──あおいさんの特徴である“はかなさ”と“強さ”が共存した澄んだ歌声が、これまでの楽曲以上に際立っている印象でした。

久保あおい 私も本当の意味で心の底から歌えたなと思いました。もちろんこれまでも本心で歌ってきました。でも、どんなふうに聴いてもらえるのか、(リリースを控えて)これまで以上に緊張しています。

──この曲をきっかけにビジュアル解禁しましたが、これまで“顔出し”してこなかったのはなぜでしょうか?

久保あおい 純粋に楽曲を聴いてほしかったし、いろんな情報があると気が散っちゃうかなと思いました。でも、これからはもっと実体験を曲に書いていきたい。聴いてくれる方にリアルに感じてもらうためにも、ビジュアルを公開する決心をしました。

「消えてなくなりたい」と思っていた…YouTubeのコメント欄で触れた、人の“温かみ”

  • 映画監督で写真家の蜷川実花氏が撮り下ろした久保あおい

    映画監督で写真家の蜷川実花氏が撮り下ろした久保あおい

──15歳のときに配信デビューされましたが、アーティストになりたいと思ったきっかけは?

久保あおい 傘村トータさんの「贖罪」という曲が「私のことを書いたのかな?」と思うくらい自分にリンクして。<泣きたい時に我慢したこと>という歌詞があって、この苦しさは誰にもわかってもらえないと思っていたけれど、「私だけじゃなかったんだ」って、どこか孤独から解放された気持ちになりました。そこから私も同じように悩んでいる方、闇の中にいる方に寄り添えるような歌を歌いたいと思うようになりました。

──Twitterの投稿を見ると「生きる意味」に向き合っている印象があります。「生」について考えるきっかけが何かあったのでしょうか?

久保あおい 家庭環境が複雑なことや、学校の友だちとも上手くいかないこともあって、中学2年生くらいから「生きるってなんだろう?」「命の重さって?」とよく考えるようになりました。昨年おばあちゃんが亡くなって、そこから少し視点が変わっていきました。大切な人の命が失われていくことに直面しながら、「消えてなくなりたい」と思っていた自分ってなんだったんだろう? とか、いろいろなことが頭の中をぐるぐるしていました。

──「生きる意味」の答えは見つかりましたか?

久保あおい まだ探してる途中です。だからいつか見つかったときに、未来の自分が“答え合わせ”できるように、今感じてることをなるべくノートに書き留めていて、それが歌詞になることが増えています。

──Twitterには「ネットに救われた」とも投稿していましたが、その体験を教えて下さい。

久保あおい 「贖罪」もそうですが、自分が好きでよく聴いてる曲のYouTubeのコメント欄が、どれも温かい感じなんですね。自分の経験に重ねたコメントをしている人に対して、励ますようなコメントがあったり、同じ思いを持つ人同士が繋がれる居場所のようになったりしていて。私もそこで救われた1人でした。

自分と同じような悩みや苦しみを抱える人に寄り添えるような楽曲を歌いたい

── 一方でネットでの書き込みに傷つく人がいるのも事実です。あおいさんはご自身のコメント欄は見ますか?

久保あおい 気持ちが落ちてないときに見るようにしていて、今のところは元気をもらえるコメントがほとんどです。あとは楽曲のどこを変えたらもっとよくなるのかとか…コメントを書いてくれる方には感謝しかないですね。ネットに何を書くかは1人ひとりが気をつけなければいけないことだけど、嫌な書き込みをする人がいなくなることはないと思うので、直視したり目を背けたりするのは、自分でコントロールしていきたいです。

──“顔出し”での活動が始まることで、私生活が制限されてしまう不安はないですか?

久保あおい うーん、まだ起こってないことを不安がってもしょうがないし、未来のことを考えるのもあまり好きじゃないので(笑)、今をまっすぐ生きたいなと思います。

──これからどんな活動をしていきたいですか?

久保あおい 歌い始めた頃の最初の想いを忘れずに活動を続けていきたいです。楽曲のリリースやライブなど、手段はいろいろあるけれど、目的は一緒で、自分と同じような悩みや苦しみを抱える人に寄り添えるような楽曲を歌うこと。それさえブレなければ、明るい曲や前向きな曲、これまで歌ってこなかったようなタイプの曲を歌っていってもいいのかなと思っています。

(文/児玉澄子)

久保あおい プロフィール

16歳足立区出身。2020年8月に配信シングルデビュー。
2021年2月リリースの「反面教師為貴方覇本日怒上昇中乃巻」のミュージックビデオが、「絶対に歌えないって分かってるのに、歌いたくなる曲」として話題になり、YouTubeチャンネルで97万回再生される。
2021年10月より放送のMBS・TBS系アニメ『でーじミーツガール』のテーマソングと挿入歌を担当。
2022年3月からこれまで曲にしてこなかった自らの”過去”をテーマにした楽曲を12作品連続で毎月リリースすると発表し、第1弾となる楽曲「独り言」が3月25日にリリースされる。

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