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(更新: ORICON NEWS

女優デビュー30周年、“奇跡の46歳”内田有紀 一時は芸能界を離れ葛藤も「虚像の中の自分」からの脱却

内田有紀

 今年、女優デビュー30周年を迎えた内田有紀。かつてはボーイッシュなショートヘアで世を魅了した彼女は、現在46歳。『ドクターX』(テレビ朝日系)シリーズなどのドラマ、CM、雑誌など活躍の場は多く、変わらぬ美貌から「奇跡の46歳」との呼び声も高い。そんな絶好調に見える内田だが、忙しさに紛れて停滞し、「誰かが作り上げた自分の虚像」に惑うこともあったという。一時は芸能界を離れ、戻ってきたときに感じた変化とは? 女優として、人間としての“気付き”を明かした。

「子どもを生んでいないと母親の気持ちはわからない」、思い込みを変えたアドバイス

  • (C)テレビ朝日

    (C)テレビ朝日

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――スペシャルドラマ『津田梅子 〜お札になった留学生〜』(3月5日 午後9:00〜 テレビ朝日系)では、留学した娘・梅子(広瀬すず)の苦悩を理解できず、心を痛める母・初役を演じました。

内田有紀 非常に楽しい現場の中で、胸が苦しくなる思いも感じました。10年間も6歳の子どもを海外に留学させるという、当時ではありえないような先進的な出来事だったわけです。娘が帰ってきてからも、英語が話せない初は通訳を介さなければならない。留学だけでもつらいのに、10年間も海外の教育を受けてきた娘と話がまったく噛み合わず、お互いにどこをどう歩み寄っていいのかわからない。そんな初の心情を心に宿すと、涙がこらえきれなくなることもありました。

――年齢的に、母親役を演じることが増えたと思います。

内田有紀 私は子どもを生んでいないので、母親の気持ちはわからないと思っていた頃がありました。ですが、ある先輩の女優さんに「自分が母親だからって、母親の芝居ができるできるわけじゃない」と言っていただいて。お芝居はコミュニケーションで、相手があってこその呼吸。ときには、自分のイメージを超えたとんでもない角度から波長が飛んでくることがあるんです。自分がどうかではなく、その時の芝居の波をしっかりキャッチして噛み砕き、どう答えるかというやり取りが重要なのかもしれません。

――思い込みや、自分の境遇どうこうではなく、フラットな状態でいなければならないということでしょうか。

内田有紀 「そうしよう」と思うと、それが嘘になる。だから「そうなっちゃったんだ」と、自然に役に成りきることが役作りの一番の近道だと考えています。

――ドラマの現場でも、そういったことは意識しましたか?

内田有紀 そうですね。梅子役の広瀬さんとも、ほとんど話せていないんです。夫役の伊藤英明くんがいると楽しい雰囲気になるのですが、梅ちゃんと初さんのように距離を作りながら、本当に初さんのような寂しい心持ちで現場にいました。初の境遇について、凝縮されたイマジネーションを自分の中で駆り立てていく。そうやって数日を過ごさせていただきました。

一時は芸能界を離れ…「イメージや虚像の中で生きていたのが自分だと、勘違いしていたのかも」

――今年、女優デビュー30周年を迎えました。デビュー当時はショートカットで元気なイメージが印象的でしたが、とてもお忙しかったと思います。ご自身で振り返ってみて、いかがですか?

内田有紀 当時はアウトプットばかりでインプットできる時間があまりなく、どうしても偏った生き方、偏った表現になっていたように思います。人間って、生きる場所によって顔も変わるし、姿勢で骨格だって変わるじゃないですか。それと同じで、芸能という世界にずっと身を置き、フレッシュな気持ちや人間らしい生活をおざなりにしていると、だんだん思考が偏っていくと思うんです。そんな状態で豊かな表現をすることが難しくなり、自分でもすごく停滞していたなと思います。

――そんな思いがあったんですね。

内田有紀 はい。そんな時に一度、芸能界を離れたんです。そして戻ってくると、自分の表現するアプローチが少し変わっていました。まとっていた鎧が外れたような、枠を決めていた自分から解き放たれたような気がしました。それを自覚したのが、『最後から二番目の恋』(フジテレビ系、2012〜2014年)の頃ですね。

――中井貴一さんと小泉今日子さん主演のドラマですね。

内田有紀 芝居にする熱意や情熱、生き方に対する責任といったような、お二人から感じられるものを見て、今までの自分も変えないといけないと思いました。ちょうど監督からも、「何か違うアプローチを出せないか」と問われたことで、自分の中で新しい火を灯すことができたんだと思います。

――なるほど。

内田有紀 実は、自分の中に“スイッチ”はいくつもあったんです。私の場合、その気付きが遅かった。本来の自分がどうあるべきか、どういると自分が心地よくて、どうすると深呼吸ができるのか。「自分らしく」とよく言いますが、私は誰かが作り上げてくれたイメージや虚像の中で生きていたのが自分だと、勘違いしていたのかもしれません。

――そこが転機になったんですね。

内田有紀 歳を重ねて役の幅も広がってくると、自分の中に引き出しや心の動きがないと、役の枠に隙間が生まれ、表現ができないと思うんです。そのためにも、自分の生活を大事にすることは必要なんだと今も思っています。

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