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大御所タレントがYouTubeに続々と参入 テレビとの“セット売り”がセカンドキャリアとしての成功の鍵?
大物ベテラン芸能人が続々と参入 テレビからYouTubeへの「都落ち感」を払拭
ほかにも、メイク動画で話題となった研ナオコの公式チャンネル、「マツケンサンバ」で再び脚光を浴びた松平健の「マツケンTube」、司会を務める『徹子の部屋』が今年で放送開始45周年を迎えた黒柳徹子の「徹子の気まぐれTV」と、大物ベテラン芸能人たちのYouTubeチャンネルが続々と開設。山田邦子や美川憲一、小林旭や仲本工事、中山秀征などもYouTubeデビューを果たし、テレビではなかなか見ることができない普段の姿を見せることで、チャンネル登録者数を順調に伸ばしている。
これには、テレビ業界のレギュラー番組の減少や広告費の縮小といった背景があると考えられるが、多くの大物ベテラン芸能人が自身のチャンネルを開設したことによって、テレビからYouTubeへの“都落ち”感は払拭されつつあるのも事実。もはやテレビタレントがYouTubeチャンネルを開設することは、最近では一般的なものとして受け取られるようになってきているだろう。
テレビは表、YouTubeは裏 テレビとの“セット売り”が大御所タレントYouTuberとしてのアドバンテージに
例えば、上沼恵美子は、自身のYouTubeチャンネル「上沼恵美子ちゃんねる」の初回配信ではM-1審査員を務める中で感じる重圧を吐露。この動画は配信してわずか1ヵ月で115万再生を記録した。また、山田邦子の「クニチャンネル」でも、テレビ共演者について語った「【芸歴40周年】山田邦子が選んだ怖かった芸能人ランキングベスト10」という動画が193万再生されるなど、裏話を語る場としてテレビとのセット売りでYouTubeを上手に機能させている。
テレビで長く活躍してきた芸能人だからこそ、活躍してきた分だけさまざまな裏側エピソードやぶっちゃけ話がある。そして、一線で活躍してきた芸能人ならではの興味深い体験談や巧みなトーク術を、テレビの厳しいコンプライアンスを抜きにして発信できるのはYouTubeの大きなメリットである。
また、美川憲一の「美川憲一のおだまりチャンネル」では、ずっと因縁のライバルと言われ続けている小林幸子と直接対決をしたり、昨年の『M-1』で美川を題材にした漫才を行い人気を得たお笑い芸人「モグライダー」と一緒に漫才をしたりする動画が話題を呼んだ。これもテレビでの盛り上がりをYouTubeにうまく持ち込んだいい例と言えるだろう。
こういった流れは、長い間テレビの世界で活躍をし、キャリアのある大御所タレントであればあるほど、大きなアドバンテージを持つことができる。多くの裏話やエピソードを持ち、またテレビの歴史を自らの体験とともに語ることができるというのは、専業YouTuberや若手タレントにはない強みだからだ。
そして、大御所タレントにとってのYouTubeは、わざわざメディアを介さなくても自分のペースで自分の視点で語れる場としての機能に。Twitterやブログとは違い、「映像で話す」ことでしっかり伝番できるYouTubeは、メディアの意向に沿わずに自分視点で、自分のコントロール下で動くことができるため、“都合のいい”プラットフォームになっている。
YouTubeというプラットフォームの高齢化 広く普及された一方で危惧される若年層離れ
同様に、黒柳徹子の「徹子の気まぐれTV」の初回配信「黒柳徹子YouTubeはじめてみます!」にも、「歴史的にも偉大な方のYouTubeを気軽に見れるとは光栄です…!」「アメリカ在住の小学校四年生。窓際のトットちゃんをお母さんと一緒に読んでいます。大好きです」「YouTubeで徹子さんに会えるの嬉しいです!」「幼稚園生の時から24年間ずっと大好きです!」などと、幅広い年代の人たちからのコメントが集まった。
こういった大御所タレントたちは、YouTubeでよくやられがちな企画には依存せず、石橋はスポーツ、上沼恵美子や黒柳徹子はトーク、研ナオコはメイクなどと、自身の持ち味をコンテンツ化することで、老若男女からの支持を得ている。
大御所タレントのYouTube参入は、ある種、脅威だが、それだけYouTubeというプラットフォームが老若男女に普及したという証左だ。だが、それは常に最先端を追う若年層離れの危惧、つまり時代遅れの“オワコン”になる可能性も孕んでいるとも言えるのではないだろうか。