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90歳からの趣味作り、家族はどう見守った? セツさんの”新聞ちぎり絵”が話題「SNSの反響が毎日の活力に」

  • 「卵かけご飯」の新聞ちぎり絵は、ツイッターで4.3万いいね。「色のセンスがスゴイ」「セツさんにはどのように世界が見えているのだろう」と発信するたびに反響(C)@setsu0107

    「卵かけご飯」の新聞ちぎり絵は、ツイッターで4.3万いいね。「色のセンスがスゴイ」「セツさんにはどのように世界が見えているのだろう」と発信するたびに反響(C)@setsu0107

 大人になって熱中するものを探し、“一歩踏み出す”のは難しい側面も。しかしながら90歳で趣味として“新聞ちぎり絵”を始め、作品集の発売や個展の開催など発信の幅を広げている木村セツさん(92歳)の活躍が話題に。同居している娘・幸子さんはセツさんに新聞ちぎり絵を勧めた張本人で「朝夕刊を見て素材集めをするのが、母の日課。毎日楽しみにしていて、素材を貯めた箱は4箱にものぼります」と語る。「何事だって、いつからスタートしても遅くない」。セツさんの様子を傍で見て、そんなメッセージが感じられるという。

孫娘のアドバイスでツイッターを開始「毎日見て、励みになっている」

  • 『90歳セツの新聞ちぎり絵』(里山社)

    『90歳セツの新聞ちぎり絵』(里山社)

  • 『91歳セツの新聞ちぎり絵 ポストカードブック』(里山社)

    『91歳セツの新聞ちぎり絵 ポストカードブック』(里山社)

――『あさイチ』をはじめとするメディアにも取り上げられ、作品集『90歳セツの新聞ちぎり絵』『91歳セツの新聞ちぎり絵 ポストカードブック』の発売や個展も開催。セツさんの新聞ちぎり絵の作品が話題になっていますが、そもそも最初に勧めたのは娘の幸子さんだったそうですね。当時セツさんはどんな反応でしたか?

「最初はちぎり絵、一回やってみない?と声かけしました。手先を使うのが器用だったから、ちぎり絵はちょうどいいなと思ったんです。ちょうど、母(セツさん)は父を亡くしたタイミングでした。父が病院で看護してもらっているとき、廊下に貼ってあったのも、ちぎり絵だったんです。父が亡くなってから、母はボーッとしていた。どこかさみしそうでした。何か楽しめるものはないかなと思ったときに、これならできるんじゃないかと勧めてみたのが始まりです」

――90歳からちぎり絵を始められて、今ではすごいクオリティの作品をSNSで発信されています。

「母はそれまで、絵を描いたこともなかった。作品のお題となるものをプリントアウトして、下絵を描いて、素材の準備まで私が担当。母はちぎり絵をするだけでよいように、セッティングをしていました。1度やってみるとハマったようで、次の日もまたしてみたいと。

 SNSの発信を担当しているのは、イラストレーターをしている私の娘なのですが、よく作品のアドバイスでやりとりをしています。作品をいくつか作るうちに『下書きも、おばあちゃんがやりたいようにやってみたら? 最初からおばあちゃんが描いたほうがいいよ』と助言を受けました。鉛筆で絵を描いたこともない母が、そんなことできるかなとも思いましたけど、母はとにかくチャレンジ心が強い(笑)。アドバイスを取り入れて、最初は途切れ途切れだった線も、すーっと描けるようになり、ぼかしの技法も習得して、みるみる上達していきました」

――上達していった要因は、セツさんのチャレンジ心?

「そうですね、母は提案したことをちゃんと取り入れます。私たち家族は傍で見守って、励ましながら、意欲を繋いで行けるように、声掛けしていくことが大事かなと思いました。ちょっとずつ良くなれば、本人もうれしいですしね。スタートしたのは90歳でしたが、母の性格もあってここまで上達した。幼い時は母が何か作品を作るところを見たことがなかったですけど、そういうチャンスがなかっただけかなと。自営業で働き詰めでしたし、家族のお世話もあった。若い時は自分の時間を持つことができなかったけど、素質はあったのかもしれないなと私は見ています」
  • 「91歳セツの新聞ちぎり絵ポストカードブック」刊行記念木村セツ&娘・孫の三代原画展が開催

    自身の原画展を訪れた木村セツさん

  • 自身の原画展に訪れた木村セツさん

    「91歳セツの新聞ちぎり絵ポストカードブック」刊行記念木村セツ&娘・孫の三代原画展を開催

朝夕刊の”素材集め”を楽しみに「身近な人がきっかけになる」

――卵かけご飯やソフトクリームなど。作品をツイッターに投稿したら、毎度話題になりますよね。たくさん反響が届くと思いますが、ご一緒にコメントなども見ている?

「一緒に見ていて、いつも楽しみにしてます。『こんだけツイートしてもらったか』『こんなにいいねがあるわ』と、母の元気の源になっていますね。娘がツイッターに投稿するということをしてくれなかったら、家族やご近所さんに見せるくらいで終わっていました。SNSを通し拡散されることで、全国の方から声をいただけている。それがすごい励みになるし、毎日うれしそうですよ」

――娘の幸子さんから見て、よくできていると思う作品は?

「“真鯛”ですね。背中の鱗は、霜降り肉の新聞広告でできているんです(笑)。使う新聞紙を自分で決めていて、素材集めには熱心ですね」
――真鯛の赤い部分、まさか霜降り肉の広告でできているなんて思いもしませんでした(笑)。

「うちでは朝夕刊をとっているのですが、母は私よりも早く起きて朝刊が来るのを楽しみにしています。私が起きたら、母がもう新聞を切り取っているので(笑)。ちぎり絵には、新聞しか使わないというこだわりがあります。ツヤ感も広告と新聞では違ってくるので。いまは、新聞広告もきれいな色が出ます。『この黄色は貴重な色やな』って言って、素材箱に大事にしまっている。箱の数は4箱を超えました。自分の思い通りの色を出すために、素材の選定に制作時間の半分以上の時間を費やしていつも作っています」

――大人になってから夢中になれるものについて、うまく見つけられる人もいれば、何をしたらよいのだろうと思い悩む人も。どのような考え方をするのがよいか、セツさんの様子を見守るなかで、気づいたことはありますか?

「昔は、特に母の世代は、“働くことが人生”という人が多かったように思います。新たな趣味を見つけようと思っても、何をしたらいいのかわからないという方も多い。私は母を通して思うんですけど、母も必要な情報がすべて入ってくる環境ではない。身近な人がその機会を知らせることが、きっかけとなりました。色々な環境でそういう方がいない方もいらっしゃるかもしれませんが、身近な人でも、家族でも、そのチャンスを与えてあげることが大事だなと思います」

――今後の展望は?

「母も私も、特にないんですよ。今やっていることを楽しく続けていってほしいと思うのみですね。母は食欲もあるし、元気でいてくれている。健康面に気を付けて、ちぎり絵を作る。どこまで続けられる分からないですけど、意欲を出して続けてほしい。それしか思っていないです」
■木村セツさん原画展の開催日程はこちら
8月6日(金)〜8月29日(日)「本」のお店スタントン 大阪・針中野
9月15日(水)〜10月6日(水)たろう屋 長野・上伊那
10月12日(火)〜10月31日(日) ブックスキューブリック箱崎店 福岡・箱崎

ツイッターアカウントでは、作品情報を発信
https://twitter.com/setsu0107(外部サイト)

一筆箋やレターセットも…オンラインショップ開設!
https://shop.90setsu.net/(外部サイト)

セツさんの作品集・ポストカードブック購入はこちら
https://honto.jp/netstore/pd-book_30065912.html(外部サイト)
https://honto.jp/netstore/pd-book_30791202.html(外部サイト)

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