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90歳からの趣味作り、家族はどう見守った? セツさんの”新聞ちぎり絵”が話題「SNSの反響が毎日の活力に」
孫娘のアドバイスでツイッターを開始「毎日見て、励みになっている」
「最初はちぎり絵、一回やってみない?と声かけしました。手先を使うのが器用だったから、ちぎり絵はちょうどいいなと思ったんです。ちょうど、母(セツさん)は父を亡くしたタイミングでした。父が病院で看護してもらっているとき、廊下に貼ってあったのも、ちぎり絵だったんです。父が亡くなってから、母はボーッとしていた。どこかさみしそうでした。何か楽しめるものはないかなと思ったときに、これならできるんじゃないかと勧めてみたのが始まりです」
――90歳からちぎり絵を始められて、今ではすごいクオリティの作品をSNSで発信されています。
「母はそれまで、絵を描いたこともなかった。作品のお題となるものをプリントアウトして、下絵を描いて、素材の準備まで私が担当。母はちぎり絵をするだけでよいように、セッティングをしていました。1度やってみるとハマったようで、次の日もまたしてみたいと。
SNSの発信を担当しているのは、イラストレーターをしている私の娘なのですが、よく作品のアドバイスでやりとりをしています。作品をいくつか作るうちに『下書きも、おばあちゃんがやりたいようにやってみたら? 最初からおばあちゃんが描いたほうがいいよ』と助言を受けました。鉛筆で絵を描いたこともない母が、そんなことできるかなとも思いましたけど、母はとにかくチャレンジ心が強い(笑)。アドバイスを取り入れて、最初は途切れ途切れだった線も、すーっと描けるようになり、ぼかしの技法も習得して、みるみる上達していきました」
――上達していった要因は、セツさんのチャレンジ心?
「そうですね、母は提案したことをちゃんと取り入れます。私たち家族は傍で見守って、励ましながら、意欲を繋いで行けるように、声掛けしていくことが大事かなと思いました。ちょっとずつ良くなれば、本人もうれしいですしね。スタートしたのは90歳でしたが、母の性格もあってここまで上達した。幼い時は母が何か作品を作るところを見たことがなかったですけど、そういうチャンスがなかっただけかなと。自営業で働き詰めでしたし、家族のお世話もあった。若い時は自分の時間を持つことができなかったけど、素質はあったのかもしれないなと私は見ています」
朝夕刊の”素材集め”を楽しみに「身近な人がきっかけになる」
ソフトクリーム!まず目についたのがコーン。持った時の感触、口に入れた時のサクサク感、思わず想像してしまいます。クリームは文字を控えることで柔らかさが出るのかーと新たな発見が。あ!溶けてきたから早く食べないと! pic.twitter.com/rh2M4RYgER
? 91歳セツの新聞ちぎり絵 (@setsu0107) July 4, 2021
「一緒に見ていて、いつも楽しみにしてます。『こんだけツイートしてもらったか』『こんなにいいねがあるわ』と、母の元気の源になっていますね。娘がツイッターに投稿するということをしてくれなかったら、家族やご近所さんに見せるくらいで終わっていました。SNSを通し拡散されることで、全国の方から声をいただけている。それがすごい励みになるし、毎日うれしそうですよ」
――娘の幸子さんから見て、よくできていると思う作品は?
「“真鯛”ですね。背中の鱗は、霜降り肉の新聞広告でできているんです(笑)。使う新聞紙を自分で決めていて、素材集めには熱心ですね」
こんばんは。以前作った「鯛」もしかしたらまだTwitterで公開出来ていなかったかもなのでUPします。今原画展で日本のあちこちをイキイキと泳ぎ回っていますよ〜。いつもより少し大きめなので見応えあります。
? 91歳セツの新聞ちぎり絵 (@setsu0107) May 17, 2021
次の展示は5/20〜6/6「gamou あかね.ya」さん。埼玉です(^-^) pic.twitter.com/u7jkJ3oZC9
「うちでは朝夕刊をとっているのですが、母は私よりも早く起きて朝刊が来るのを楽しみにしています。私が起きたら、母がもう新聞を切り取っているので(笑)。ちぎり絵には、新聞しか使わないというこだわりがあります。ツヤ感も広告と新聞では違ってくるので。いまは、新聞広告もきれいな色が出ます。『この黄色は貴重な色やな』って言って、素材箱に大事にしまっている。箱の数は4箱を超えました。自分の思い通りの色を出すために、素材の選定に制作時間の半分以上の時間を費やしていつも作っています」
――大人になってから夢中になれるものについて、うまく見つけられる人もいれば、何をしたらよいのだろうと思い悩む人も。どのような考え方をするのがよいか、セツさんの様子を見守るなかで、気づいたことはありますか?
「昔は、特に母の世代は、“働くことが人生”という人が多かったように思います。新たな趣味を見つけようと思っても、何をしたらいいのかわからないという方も多い。私は母を通して思うんですけど、母も必要な情報がすべて入ってくる環境ではない。身近な人がその機会を知らせることが、きっかけとなりました。色々な環境でそういう方がいない方もいらっしゃるかもしれませんが、身近な人でも、家族でも、そのチャンスを与えてあげることが大事だなと思います」
――今後の展望は?
「母も私も、特にないんですよ。今やっていることを楽しく続けていってほしいと思うのみですね。母は食欲もあるし、元気でいてくれている。健康面に気を付けて、ちぎり絵を作る。どこまで続けられる分からないですけど、意欲を出して続けてほしい。それしか思っていないです」
8月6日(金)〜8月29日(日)「本」のお店スタントン 大阪・針中野
9月15日(水)〜10月6日(水)たろう屋 長野・上伊那
10月12日(火)〜10月31日(日) ブックスキューブリック箱崎店 福岡・箱崎
ツイッターアカウントでは、作品情報を発信
https://twitter.com/setsu0107(外部サイト)
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