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韓国版『鬼滅の刃』デザイン変更は適切だったのか? “現地化”の課題

「旭日旗」への反発はごく新しい動きであり、「韓国全体のものではない」

 今回のNetflixでの騒動について山元准教授は「やはりそうなってしまったかというのが最初の印象」と話す。

「近年に入ってから急騰した『旭日旗』探しと反発は、日本のものだけでなく世界各国のものに向けられています。しかし最初にお伝えしておきたいのは、このような『旭日旗』とそれに類似したイメージへの過激な反発はかなり新しい動きです。また、それに対する激しい反発も必ずしも韓国の人々全体のものではない。こちらの手元にもある、原作コミックスの韓国版でも修正などは加えられていなかったです」(山元准教授)

 つまり、映画の段になってそのキービジュアルが韓国側で広く見られるようになり、過激な層が飛びついた結果なのだ。

 山元准教授が言うように、韓国での旭日旗問題はごく最近の動きだ。その例として1991年に発表されたゲーム『ストリートファイターU』では、エドモンド本田のステージシーンに大きな旭日デザインが描かれているが、当時韓国からの反発はなかった(その後、再発売される際に変更)。また2012年、韓国人歌手PSYが公開したMV『江南スタイル』には旭日旗を模したバナーが登場しており、この時も批判されることはなかった。

 こうした騒動が生じると、作品を大っぴらに鑑賞しづらくなる。そのため今回の件を迷惑に思う人も多いという。

「韓国側の報道では、(劇場版について)ソウルなど大都市では客入り好調のようですが地方都市では厳しいようです。もともと韓国ではアニメ自体を大っぴらに観ることが難しく、とくに日本作品についてはより難しい。知り合いに会わない、知り合いがいても気づかない大都市の劇場に多くの人々が足を運ぶことも。そうした方々の大多数は、今回の騒ぎは迷惑に感じていると思います」(山元准教授)

日本アニメは“現地化”も、「日本放映のまま観たい」需要の高まりも

 そもそも、韓国では以前より日本アニメの人気は高い。新海誠監督の『君の名は。』は観客動員数370万人超えの大ヒットを記録。宮崎駿監督の『ハウルの動く城』が約300万人、『千と千尋の神隠し』が約200万人とジブリ作品も親しまれ、多くの韓国人が「日本アニメが好き」と言っている現状がある。

 だがその前提として、キャラクターや舞台が“現地化”されている例が多い。結果、『鉄腕アトム』や『マジンガーZ』、『ドラえもん』など日本のアニメではなく韓国のアニメだと思っている人も少なくない。ちなみに、『クレヨンしんちゃん』のしんちゃんの名前は「シン・チャング」と、韓国式の名前に改名されている。

 「現地化」について山元准教授はこう解説する。

「韓国では、幼児・児童向け作品については依然として、登場人物の名前や設定、その舞台までも韓国各地にするといった“現地化”がはかられてきました。ちなみに、『プリキュア』シリーズなどの“現地化”は徹底している…というより、近年は最初から韓国でも放映されることを前提に、無国籍な設定で制作されています。一方では最近、日本の作品を『日本で出版されたまま、放映されたまま観たい』という勢力が大きくなっています。中高生以上を対象とした作品では、マンガでもアニメでも日本の設定そのままの翻訳が定着し、とくに日本アニメを楽しむケーブルテレビでは、時間帯によっては韓国語字幕のみで放送されるものも少なくありません」(山元准教授)

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