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使い続けて20年…古典に昇華されたハリセンボン・近藤春菜の「じゃねーよ」

  • れパートリー抱負な近藤春菜の「じゃねーよ!」(C)ORICON NewS inc.

    れパートリー抱負な近藤春菜の「じゃねーよ!」(C)ORICON NewS inc.

 今年3月に『スッキリ』(日本テレビ系)の卒業を控え、2月6日放送『サワコの朝』(TBS系)では、“父(?)”角野卓造との共演と注目が集まるハリセンボン・近藤春菜。春菜といえば、「角野卓造じゃねーよ!」にはじまる一連の「○○じゃねーよ!」シリーズ。実はこのネタ、使いはじめて20年が経つという。バリエーションもシュレックからステラおばさん、ベイマックスなど豊富で使い勝手も抜群の鉄板ぶり。『スッキリ』では番組の一企画も担い、ゲストでさえネタ振りを熱望するという「○○じゃねーよ!」の“不変不朽”の魅力とは?

番組を制限しない扱いやすいフォーマット化された芸

 この「○○じゃねーよ!」はそもそも20年ほど前、ロンドンブーツ1号2号の田村淳に、春菜が自ら角野卓造に似ていると話したところ、淳がそれを拾って番組でしっかりネタにしてくれたことがきっかけとのこと。以降、「○○じゃねーよ!」の○○の部分を変えて無限?に対応していける…というフォーマット化されたネタとして、春菜の切り札となった。いわば、有吉弘行の毒舌を交えた「あだ名付け」や滝沢カレンの「四文字熟語」のように、即興で振られてもそれなりに笑いがとれるという汎用性が重宝されたわけだ。

 結果として「○○じゃねーよ!」はつかみでもオチでも、また大御所でも振りやすいネタとなり、春菜はこの1ネタでさまざまな番組で好感度を上げていき、2016年には「番組出演本数ランキング」女性部門1位にまで昇り詰めるのである。

消費リスクも隣り合わせ 芸人としての力量も発揮できるネタ

 しかし、便利なネタとして多用されればされるほど視聴者にも飽きられ、いずれは消耗し、芸人とともに消えていく…という流れがあることも事実。しかし「○○じゃねーよ!」はその流れには乗っていない。

 そもそも春菜はこの手のネタにありがちな“一発屋”ではなく、ハリセンボンとして2007年のM‐1グランプリで決勝4位、2009年に決勝9位に進出するいわば実力派。春菜自身、バラエティの場を切り抜ける如才なさがあり、年に1回は目にする和服を着た中年女性のごとき成人式の記念写真、という“最終兵器”もある。つまり、お笑い界で生き残っていくスキルは十分に持ち合わせている。

 また、「○○じゃねーよ!」というネタ自体、基本的には振られることが多いのだが、春菜自身のボケツッコミでも成り立つところが強みだ。ましてや、角野卓造やマイケル・ムーア監督、シュレックといった“ネタ元”は性別・人種・生物学上の分類を超え、近藤春菜に似ているというだけの自虐ネタであり、春菜にしかできないネタ。つまり、ほかに代わりがいない。

 昨今、容姿イジリはセンシティブな問題も含むが、春菜自身ためらいもなく受け入れており、むしろお笑い芸人としての職責をまっとうしていると見えるため、視聴者としても安心して笑っていられる。さらに冷静に考えれば、丸顔+メガネ(+垂れ目?)であれば、何でも春菜に近づくともいえるので、◯◯の部分が無限に増えていく可能性すらある。

大御所も新人も素人も…誰でも振れる古典芸

 普遍的なネタになりつつある「◯◯じゃねーよ!」だが、「近藤春菜に似た顔」は当然一般層にもいるわけで、『スッキリ』内の1コーナー「HARUNAまとめ」では、「あなたの身近にいる『近藤春菜』を大募集!」といった企画が実際にあるから驚く。

 また、話題のガールズユニット・NiziUも同番組にゲスト出演した際、春菜の“生○○じゃねーよ!”にはしゃぐ一幕もあり、どうやらこのネタは若い世代も含め、幅広い層が受け入れているようなのである。こうなると、春菜と共演する誰もがいいツッコミをもらいたくて、いいフリを考えるといった好循環が生まれ、春菜が形成するこうしたインタラクティブな“ノリツッコミ”の場は、今や唯一無二のものといっていいかもしれない。

 周囲の芸人、芸能人のみならず視聴者をも巻き込んで進化・成長し続ける近藤春菜の「○○じゃねーよ!」。今年3月の『スッキリ』卒業には、「本業の芸人としての活動に力を入れたい」といった強い思いが込められているそうだが、今後は春菜の「○○じゃねーよ!」じゃない方のネタにも期待したいところである。

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