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高校教師が描く『鬼滅』『あつ森』アートに「天才」「神絵師」の声 作品が残らない“儚さ”に込めた教え

日本人に刺さる刹那的な美しさ「すぐに消えてしまう作品だからこそ心に残り続ける」

 黒板アートや落ち葉アートは、絵画のように後世にまで残るような作品ではなく、すぐに消えてしまう(消してしまう)という性質がある。これらのアートには、日本人が日常の中で“美しい”と思うものと通じるところがある。

「自分がいつも感じているのは、『満開の桜』や『打ち上げ花火』などに通じる、刹那的な美しさかもしれません。儚いからこそ普段以上に目に焼き付けようとしたり、心には残り続けるといった魅力があるように感じています」

 普段はすぐに消してしまうものが多い中で、濱崎先生がなかなか消すことができない作品もあるという。

「普段自分が描くものは『板書』としての役目さえ果たせば躊躇せず消せますが、他者が想いを込めて描いたものはやはり消しにくいものです。本来注意すべきような生徒の落書きでさえ、想いがこもっていると消しづらかったりします(笑)」

生徒に伝えたいことは絵を上手に書く方法より「美しいものを美しいと思える心の大切さ」

 「板書」としての役割を果たせばすぐに消してしまう黒板アートや、風が吹けばすぐに崩れてしまう落ち葉アートだが、そのどれもが制作に数時間以上かかる。これほどの時間をかけて、作品を描くモチベーションはどこにあるのだろうか。

「時々自分でも何でこんなことしてるんだろう…と冷静になる瞬間があって(笑)。でもきっと、目の前の教え子に喜んでもらいたいとか、楽しんで学んでもらいたいという気持ちが大きいんだと思います。恩師から『教師は教えるプロであると同時に、学び続けるプロでなければならない』と教わったことがあって。アートというよりは教材研究、自分自身の研鑽でもあるのかなぁと思います」
 これまで数多くの作品を描いてきた濱崎先生に、一番印象に残っている作品を聞くと、自作品ではなかった。

「描く側から描かれる側に回ったことが一度だけありまして…、自分が転勤で離任する際、生徒たちが描いてくれた黒板アートです。桜並木の道の上、笑顔で手を振る生徒たちと、それに振り返す私の手のアップの絵でした。言葉では伝えきれないような想いが詰まっていて、その黒板を消し終えた瞬間に生徒たちが涙をこぼし始めた光景、惜別の時間、教室の匂い、鮮明に焼き付いています。」

 最後に、作品を通して濱崎先生が生徒たちに伝えたいことを聞いた。

「自分が授業で毎年生徒たちに伝えているのは、絵を上手に描くことよりも、画家の名前を覚えることよりも、『美しいものを見て、あぁ美しいなぁと感じる心』を育てる大切さです。芸術に触れ、想像や創造を通して、心豊かに、それぞれの人生を描いていってほしいなぁと思います。自分もまだまだ青いので、出会いを大切に、健康第一で、末永く生徒と共に学び続けていけたらいいなと思います」

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