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シルバニアファミリー35周年、一時衰亡の危機も「転機は赤い屋根の大きなお家」

 今年35周年を迎えた『シルバニアファミリー』。1985年にエポック社より発売され、象徴的な“赤い三角屋根のお家”と、森に住む動物たちの人形は一大ブームに。日本におけるドールハウスの立役者となり、現在は世界約70ヵ国で愛される玩具へと成長した。近年では、ツイッターで「#大人のシルバニア」としておもしろ写真を投稿したり、オリジナルのジオラマを作るなど、楽しみ方が多様化。現在もネット上で動物たちの村長選挙が開催されるなど、大人ファンも増えている今、誕生当時からの変化と、変わらずに大事にしていることとは。エポック社の担当者に話を聞いた。

あえてキャラクター名をつけずに展開「名前がないほうが自由に自分を投影できる」

――シルバニアファミリーは「子どもたちに自由な発想で好きなように遊んでほしい」という配慮の元、動物たちにはあえて名前をつけなかったと伺いました

「お客様がそれぞれの思い入れを持って、好きな名前で呼べる方が身近な存在に感じていただけると思い、当初は名前をつけていませんでした。お子さんが“ごっこ遊び”をする時も、名前がないほうが自由に自分を投影できるかなと。どちらかというと、ぬいぐるみに近い感覚ですね。でも実は海外では、最初から名前をつけて展開していたんです」

――海外で日本と違った展開になったのはなぜでしょうか?

「海外では環境も文化も違うので、物語を展開していく際に固有名詞がないと作りづらいという背景がありました。10年ほど前から海外での展開が非常に大きくなり、グローバル化するにつれ、日本でもショコラウサギの“フレア”ちゃん、くるみリスの“ラルフ”くんと、名前をつけて展開するようになりました」

――現在は、日本でも名前があるんですね。

「海外で親しまれていた名前を、日本でも使用しています。外国では、お気に入りの子を名前で覚えてくださっている方もいるんですよね。今遊んでいるお子さんたちも、共通の名前があれば、大人になった時に『フレアちゃんが好きだった』など、共通言語として思い出になり得ます。そういった未来を考えると、名前があるのは素敵なことかもしれないという思いもあり、時代に合わせて変化していっています」

――動物の種類は、どうやって決めているのでしょうか?

「最初はクマやウサギ、リス、キツネなど、森で暮らしていそうな動物からスタートしました。時代と共に、人気のある動物や、海外で馴染みのあるハリネズミなど、お客様の要望に合わせて変化しています。ライオンが登場した時は、“みんな食べられちゃうんじゃないか!?”みたいなご意見もあったのですが、やさしいライオンなので大丈夫です(笑)」

――来年発売のキリンや、ハスキー犬など、動物のバリエーションが年々増えていますよね。

「キリンは、かなり苦労して誕生しました。お子さんに人気の動物なのでずっと商品化したかったのですが、シルバニアらしいかわいらしさを作るのがとても難しくて。何度も試行錯誤を重ねて、ようやく発売できることになりました」

洗濯板からドラム式洗濯機に、改良の基準は「お母さんが子どもに説明できるもの」

――発売当初、同業他社による類似販売が相次ぎ90年初頭は一時期衰亡の危機にあったと伺いました。

「コンセプトは違えど、同じようなサイズ感のものがいろいろな会社さんから発売されて、飽和状態でお互い食い合っていた時期はあったと聞いています。ただ、最初に名乗りをあげたという自負もありましたし、やろうと決めた時の心意気や腹のくくり方は違ったと思います。売れなくなったらやめていくのが商売の常だとは思いますが、がんばっていいものを届けるという思いの元に踏ん張ったから、今があると感じています」

――回復するきっかけになった商品はあったのでしょうか?

「1995年に発売された“赤い屋根の大きなお家”は1つの転機でしたし、今でも語り継がれる商品です。それまでの家は一方から見ると一軒家で、反対側が部屋の中というのがベーシックな形だったのですが、いろいろなところから手を入れて遊べる立体的な作りにしたんです。兄妹がいる方も一緒に遊びやすいですし、遊び方が広がった瞬間でもありました」

――最近ではカワウソファミリーのお父さんが、赤ちゃんを抱っこしているイクメンの姿も印象的でしたが、そういった世の中の動きも商品に反映されているのでしょうか?

「そうですね。アニメなどでもショコラウサギのお父さんが家事をするシーンを登場させたりと、時代の流れは意識しています。近年は多様性やジェンダーを意識して、一つの家族の形に固執しすぎず、いろいろな家族構成を作るように心がけています」

――洗濯機がドラム式洗濯機になったり、スティック掃除機が登場したりと家電も変化していますが、改良はどのように決めているのでしょうか?

「基本的に、我々の時代よりも少し昔を表現しています。改良の判断基準の一つとしては、“お母様がお子様に説明できないものはやめよう”ということです。電話など、ちょっと古いけどあってもいいものは入れていますが、発売当初の洗濯板はドラム式洗濯機に変化しています」

――なるほど(笑)。変化の一方、赤い屋根の家や、流し台の下の配管など、変わらないものもありますよね。

「大事にしているのは本物らしさにこだわることなんです。たとえば戸棚の引き出しも、何か入れるわけではないけれど開いて欲しい。子どもたちのごっこ遊びを大切にして、本物らしさにこだわる精神はずっと引き継がれていますね」

SNSのシルバニア垢が活況「子どもの頃に遊んでいた方がシルバニアに素敵な風を吹かせている」

――お子様はもちろん、近年は旅先の思い出にシルバニアとともに写真を投稿する人、服をリメイクする人、オリジナルのジオラマを作る人など、さまざまなベクトルでシルバニアを楽しんでいる人が増えています。

「SNSのおかげもあって、シルバニアを愛でてくださる大人の方が増えているのはとてもありがたいです。子どもの頃に遊んでいらした方も多く、シルバニアに素敵な風を吹かせていただいているなと。特に今年は、自粛生活の癒しとして、室内で手軽にやさしい気持ちになれる玩具でもあったのかもしれません」

――最後に、シルバニアを楽しんでいる方たちにメッセージをお願いします。

「シルバニアファミリーは遊び方の切り口が様々で、鉄道ファンの方と似ている部分があると感じています。“撮り鉄”、“乗り鉄”、“切符を集める方”など、鉄道の楽しみ方がたくさんあるように、シルバニアもごっこ遊びだけでなく、ジオラマを作ったり、洋服を縫ったりと、それぞれの遊び方があります。元々は、自分の好きな家や家具、お人形をカスタマイズして自由に遊べる、余白のある玩具がコンセプトなので、今後もそれぞれの楽しみ方で、長く愛していただけたらうれしいですね」

(文:辻内史佳)

◆シルバニアファミリー ブランドムービー Forever Your Family
シルバニアたちと出会い楽しい日々を過ごしていた少女。しかし少女は突然家を出て行ってしまい……。
シルバニアファミリー公式HP 35周年特設サイト
シルバニア村長選の結果やかわいい35周年グッズの詳細が盛りだくさん!
Youtube:シルバニアファミリー公式チャンネル
Twitter:@SylvanianJP
Instagram:sylvanianfamilies_jp

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