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令和の飛躍タレントの共通項は“自己肯定感”? 背景に毒舌キャラ衰退か
自己肯定感の低い人に寄り添う、自虐・闇・毒舌キャラの飛躍
また、有吉弘行とマツコ・デラックスが絶対的人気を確立したのも、“苦労人”のバックグランドありきではあるが、いわゆる“キラキラ系”や鼻高々な人気者への鋭いコメントが、自己肯定感の低い現代人の溜飲を下げたことも大きいだろう。それまでの“異次元で輝く芸能人”では、自己肯定感の低い視聴者からすればむしろ毛嫌いする存在だっただろうが、2人はそうした視聴者を見事に味方につけたのだ。
泉ピン子、野村沙知代、おすぎとピーコなど、これまでの“毒舌タレント”は国民的人気者というよりは、自ら嫌われ役を買って出て、場を盛り上げている感があった。しかし、今はそういった“ご意見番”ですら、「誰かを傷つける発言はひどい」、「見ていて不快」として炎上する時代になったのである。その影響なのか、相手を攻撃・否定するのが常であるはずのお笑いの世界においても、昨年末の『M-1グランプリ』で最終決戦まで勝ち残り話題となったぺこぱの「全肯定する」「誰も傷つけない」スタイルが称賛されるに至ったのである。
“現代型毒舌キャラ”として人気を博す有吉やマツコらは、毒を吐くにしてもあらゆる方面に気を遣い、笑顔でフォローするなど工夫しているが、炎上せずに鋭いコメント叩き出すには相当なコメント力を要する。その高度スキルを持ったタレントはごく一部に限られ、今や悪目立ちせずに個性を発揮することは大変困難な時代になったのは間違いない。