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UAが歌う「ラブリー」が話題 『カルピス』100周年CMで描く“ピースな時間”の演出術とは?

 1919年に発売し、今年100周年を迎えた『カルピス』。100年ずっと寄り添ってきた「人が人を想う、健やかで、かけがえのない時間や場所」をこれからの未来につなげていきたいという想いを込めた、「ピースはここにある。」のスローガンのもと「人を想う記念日」を応援する取り組みをしてきた。CMでは、「卒業」「こどもの日」「七夕」「お盆」などの人を想う記念日をテーマに長澤まさみ、永野芽郁、竹野内豊が出演し大切な人との「ピースな時間」を描いている。楽曲は小沢健二の名曲「ラブリー」をUAが本CMのためにオリジナルカバー。原曲の明るい熱量はそのままに、力強くも温かさのあるUAの歌声から生まれた新しい「ラブリー」は、「もっと聞きたい」等SNS上でも評判を集めた。そんな声にも応える形で、各CMの未公開部分や演出の“余白”部分を使った「ラブリー」のスペシャルバージョンMVが公開され注目を集めている。そこでCM同様にMVも手掛けた李相日監督にCMの制作秘話や、知られざる舞台裏を聞いた。

“鬼才”李相日監督が『スペシャルMV』に仕掛けた演出術とは?

 李監督は(1974年新潟生まれ)大学卒業後、日本映画学校で映画を学び、卒業制作作品『青〜chong〜』が「ぴあフィルムフェスティバル」でグランプリを含む史上初の4部門を独占。以降、2006年公開の『フラガール』で数々の映画賞を受賞すると、その後も『悪人』、『許されざる者』、『怒り』と次々に話題作を世に送り出してきた。
  • “何気ない日常”を描いたスペシャルMV

    “何気ない日常”を描いたスペシャルMV

 そんな李監督は、UAが歌う「ラブリー」のスペシャルMVに込めた想いとして「『ラブリー』って言葉の響きには、“人の持つ愛らしさ”や“人とのつながり”といったイメージを想起させるので、何気ない日常にある関係性の中にそれらの要素を織り込みました」と説明した。
  • 永野芽郁が出演する「卒業」編では「卒業は“別れ”ではなく“出発”」だと演出したという

    永野芽郁が出演する「卒業」編では「卒業は“別れ”ではなく“出発”」だと演出したという

 どの作品も、家族や友人に対し“想いを伝える”際の心の機微と歌詞のリンクを配慮したという李監督。同じ「ラブリー」の楽曲でも30秒のCMの中で親子愛、友情などそれぞれのシーンで歌詞と場面がリンクするよう計算したのだという。例えば、高校生4人の高校卒業前の様子を描いた永野出演の「卒業」編では、「卒業は別れじゃなく出発だとした時に、最後に桜の花道を駆けながら(歌詞の)『世界に向かってハロー』とリンクさせ、この先にある“希望”を持たせた」と隠れた演出を教えてくれた。また、長澤の「お盆」編では「いつか誰かと完全な恋に落ちる」の歌詞から、“両親が恋に落ちた結果、新しい家族ができる”という、“生命のつながり”を感じさせる演出がなされている。
 また、李監督は「ラブリー」をカバーしたUAとはレコーディングの際に対面。事前に「“夜UA”より、“朝UA”の方ですかね」と音楽プロデューサーを通して依頼していたのだという。圧倒的な歌唱力と表現力を持つUAに、今回はジャズやブルースのような深みのある“夜UA”ではなく、心地よい明るさの“朝UA”が合うと判断。「演者たちの関係性を受け止めて“全体を包む”ような感じになるといいかな」と包容力のある歌声を依頼、予想以上の仕上がりになったことを明かした。

李監督に聞く!“見るべき”演出ポイント

 スペシャルMVには多くの見どころがあるが、李監督に「特に注目して欲しいポイント」3つに絞って聞いた。
  • 背景の鯉のぼりなど、ロケーションにもこだわりが見える

    背景の鯉のぼりなど、ロケーションにもこだわりが見える

ポイント1:ロケーションへのこだわり
「ロケーションはCG合成などではなく、学校や家屋など人が実生活を営んでいる場所を借りました」と語った。「家の構造と雰囲気は活かしますが、家具や装飾品は登場人物たちの役柄や設定に合わせてほぼ全て変えたりと、できる工夫を丹念にやった」とのこと。そうした設定への熱意が俳優陣にも伝わっており、「窓の外をブルーバックで囲むスタジオより、(「卒業」編なら)隣の校舎から感じられる、生徒たちの活動している気配や温もりといった“活きている”空気感が演者の表現一つひとつに影響してくれれば」と説明。ロケーションが俳優陣の演技にも反映されている点を強調した。
  • 友人とはしゃぐ永野芽郁

    友人とはしゃぐ永野芽郁

ポイント2:MVでしか見られない演出や舞台設定
 「ラブリー」のスペシャルMVには、事前に放送されていたCMでは見られなかったシーンを数多く使ったという。李監督は「同じ役でもCMとは違う時間が流れている。例えば永野さんたちは夜の学校で誕生日パーティーをしてはしゃいだり、長澤さんも子どもたちや家族みんなで七夕の飾り付けをしたり…MVだからこそ見られるシーンが満載」と力説した。
  • “家族観”の変化を繊細な演技で表現した長澤まさみ

    “家族観”の変化を繊細な演技で表現した長澤まさみ

ポイント3:何気ない日常の“変化”を演技で表現
「リアルな日常感を大切にした」という「お盆」編。長澤が演じる母親は、自分にも子どもが生まれたことで、自分を生んでくれた母親との会話にも変化が生じている点が垣間見える。李監督は「そんなに大げさなことじゃない、誰にでもある会話なんだけど、この親子の背景や心境の変化が見えるようにしたかった」とコメントした。「視聴者に、俳優の目線やセリフの前後のちょっとした“間”だったり、何かが流れている時間を感じてもらうことで“感情のゆらぎや変化”を表現できた」と、納得の仕上がりであることを明かした。

『カルピス』ブランド 100周年TVCM楽曲「ラブリー」スペシャルMV

【動画】『カルピス』のCM&スペシャルMVを見る→

 
『カルピス』ブランド100周年を記念して、『カルピス』が100年間大切にしてきた“次の未来につないでいきたいブランドの想い”を描いた長編のスペシャルバージョンMVが公開中。内容は、これまで『カルピス』ブランド各商品のCMキャラクターを務めてきた長澤、永野、竹野内が一堂に会し登場。UAがカバーした「ラブリー」に乗せて、さまざまな記念日にまつわる人を想う「ピースな時間」を描いている。CMの未公開シーンも使われており、すでにCMを視聴済みの人にも“新たな気づき”があるMVとなっている。
  • 長澤まさみ

    長澤まさみ

  • 永野芽郁

    永野芽郁

  • 竹野内豊

    竹野内豊

 映画と今回のようなCM撮影の違いとして、李監督は「映画の場合は、役柄、役名もあって、一人ひとりのバックボーンがこと細かに設定されている。でもCMの場合は撮影日数も短く(今回は1日)、できることは共演者との関係やその場の状況を叩き込むだけ」と明かす。
  • 短冊を見つめる永野芽郁

    短冊を見つめる永野芽郁

 それは、キャストにとって演じるのが難しい部分でもあるが、李監督は「逆に言うと、シチュエーションを投げた時に役者がどう打ち返してくるのか見たかった」と語った。実際、永野の「七夕」編では場面の詳細な裏設定を紙に記して渡しつつも、「30秒の枠に収めるための決め込みはせずに、このシチュエーションで何をどこまで見せてくれるのか、と見守るような感じでした」と話し、その時の現場で生まれる“雰囲気”を大切にしたという。
  • 長回しでは、子どもたちとの“自然な演技”を披露した長澤まさみ

    長回しでは、子どもたちとの“自然な演技”を披露した長澤まさみ

 また、長澤が子どもたちと七夕の準備をするシーンでは長回し(注:カットをせずに長い間カメラを回し続けること)を多用し、「子役ではなく“子ども”が相手ですからね、本当に何が起きるか分からない。もちろん大枠での約束事はありますが、“始まった”らあとはもうカメラを回すだけ。お母さん、頼んだよ」と、長澤と子どもたちとの距離感の中で生まれる“自然さ”を狙ったという。
  • スペシャルMVからは俳優たちの“味”が垣間見える

    スペシャルMVからは俳優たちの“味”が垣間見える

 そして、スペシャルMVでは前述した30秒のCMに入りきらなかった部分を盛り込んでいるのだという。李監督は「演出の“余白”というか、30秒ではセリフの前後の“間”だとかはどうしたって削らざるを得ない。そういった細部にも宿っている俳優たちの“味”が長尺のMVにどしどし復活してるので、嬉しい限りです。CMと見比べるのも楽しいんじゃないかな」とコメント。続けて「公開されていなかった良い瞬間が沢山あり、MVを作ることによって、そのシーンを入れることができました」と、カットされた名シーンの数々が映像となったことを「光栄に感じている」と笑顔で語った。
◆『カルピス』ブランドサイトを見る→

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