• ORICON MUSIC
  • ドラマ&映画
  • アニメ&ゲーム
  • ホーム
  • 芸能
  • メジャーを捨てた21歳地方アイドル「私の居場所は青森」

メジャーを捨てた21歳地方アイドル「私の居場所は青森」

 今、『踊る!さんま御殿!!』『ダウンタウンDX』(ともに日本テレビ系)『有吉ジャポン』(TBS系)などの人気番組に引っ張りだこの「ご当地アイドル」がいる。青森のダンス&ボーカルユニット『RINGOMUSUME(りんご娘)』に所属する21歳の大学生、王林(おうりん)だ。青森の地方アイドルから全国区のトップアイドルへ。誰の目にもメジャーへの道を駆け上がっているように見えるが、そんな彼女の夢は「青森を拠点に、地元の魅力を発信し続けるアイドル」だと言う。全国区ではなく、地元青森とともに歩むことを決めた彼女にその想いを聞いた。
(インタビュー・文/宇治有美子 撮影/草刈雅之)

地方アイドルとしての活動が「自分の核を作ってくれた」

「今は、新幹線で片道約4時間かけて多くて週5で東京に通ってます。東京と青森の往復は、寝ていたらいつのまにか着いているので大変ではないかな。けっこう楽しくやらせてもらっています」

 津軽なまりのおっとりとした口調で話す王林。青森県からの“出稼ぎアイドル”と注目され、今や連日のようにバラエティ番組に出演し、知名度も急上昇している。しかし、本人は「東京で活動するのは、青森のため」と断言する。小学校の頃から続けてきた地方アイドルとしての活動が「自分の核を作ってくれたから」だ。 

 小学校3年生のとき、モデルを夢見て地元弘前の芸能スクール『りんごミュージック』のオーディションを受けて合格。すぐに現在所属する『りんご娘』の妹分である『アルプスおとめ』に加入が決まった。

「実際に入ってみたら、そこはアイドルを育成する事務所。洋服が好きで憧れていたモデルの事務所とは全く違ったんですけどね(笑)」。

 さっそく歌やダンスのレッスンが始まったが、周りは幼い頃からアイドルを目指して稽古を積んできた少女ばかりだった。初めはそんな彼女たちについていくのに必死で、日々猛練習に明け暮れた。振り返ると、子供のころの両親との思い出といえば、レッスンのために送り迎えをしてもらっていたことだけなのだとか。

「先日も母から『もっと一緒にいて、普通の子と同じように過ごしたかったね』と言われて、申し訳ない気持ちになりました。両親がいなければアイドルとして活動できなかったから、本当に感謝しています」と目を潤ませる。

青森かメジャーか。「愛踊祭」での優勝からガラリと変わった日常

 中学2年生の時に『アルプスおとめ』から『りんご娘』へ昇格。当初は『りんご娘』として2人で活動していたが、後に2人の後輩の加入が決まった。所属事務所の社長も認めるムードメーカー的な明るい性格と、物怖じしない大らかな性質が見込まれ、リーダーに抜擢。「リーダーなんて名前だけ」と控えめに話すが、その心意気は熱い。

「一般的なリーダーっぽいことはしていないんですよ。ただ、もともといた私たちに、新しく入ってきた子たちが遠慮してほしくなかった。遠慮していたら、いいパフォーマンスができないから。だから、ライブの動きを決める時にもどう思っているかを聞くなど、みんなが発言する環境を作ってきました。メンバー全員が同じ方向を向けるような雰囲気づくりをするのが私の役割なのかなと」 
     
 転機となったのは、2016年に出場した「愛踊祭(あいどるまつり)」。全国から予選を勝ち抜いたアイドルが国民的なアニメソングを歌って競い合うこの大会で、東北の予選を1位通過。本線では、「青森らしい素朴さを全面に押し出して」、東京ドームシティホールに集まった観客を魅了。見事に全国からエントリーした242組というアイドルの頂点に立った。

「この優勝からがらっと環境が変わりました。それまで、事務所の社長が歌を作り、振り付け担当は社長の奥さま。衣装も自分たちで借りに走り、レコーディングは小さな衣装室の片隅でしていました。でも、優勝をきっかけにして、有名なプロデューサーに曲を書いていただけるようになって、大きく世界が広がったのを肌で感じています」
『りんご娘』のリーダーとして一躍注目を集める存在になった王林に、さらなる転機が訪れる。秋元康氏がプロデュースする『ラストアイドル』への加入が決まったのだ。テレビ番組内のオーディションでメンバーが決まり、錚々たるクリエイターがバックアップする一大プロジェクト。それだけに、メンバーになることは、一気にメジャーへの夢も広がる、まさに千載一遇のチャンスだ。

 当初は、『りんご娘』と『ラストアイドル』とを兼務しながらのスタートだった。だが、スケジュールは重なり、両立は容易ではなかった。そこで事務所の社長の樋川新一さんは、グループにとっては大きな痛手ではあるものの、王林の将来を考えて脱退させる決心を固めたという。

「この企画なら、確実にメジャーになれる。子供のころからの夢だったモデルの仕事を掴むチャンスだから、りんご娘を抜けて東京に行きなさい」。樋川社長はそう言って、王林の背中を押したのだそうだ。だが、本人の返事は予想とは異なるものだった。

「その時に、何があってもりんご娘を続けようと決めたんです。りんご娘の時には、ライブやイベントでこんな発言をしようとか、青森をPRするためにどんなことができるだろうと考えながら活動しています。でも、東京でアイドルをしていると、毎日決められた場所にいって、決められた歌とダンスをする。なんだか自分が商品のように感じることがあって……。やっぱり私は、プロの方々にも協力していただきながらも、自分たちでライブを作りあげていく方がずっと面白いと思ったんです」

自分は何のためにアイドルをしているのか。突き詰めた先にあった答え

 もしかしたら、東京でモデルの夢を叶える最後のチャンスかもしれない。だが、『ラストアイドル』を半年で脱退することに、一切迷いはなかったという。王林は、自ら全国区のアイドル活動を捨てて、地方アイドルとして活動する道を選んだのだ。 
 
「自分が有名になりたいという気持ちだけで活動していたら、いつか心が折れてしまう時がくると思うんです。でも、まるで家族のように温かく応援してくださる青森の方々に恩返ししたいとか、りんご娘の他のメンバーと一緒に大きくなりたいとか、誰かのために何かをするって、自分が思っている以上のパワーが出る気がします」

 自分は何のためにアイドルをしているのか。突き詰めて考えていくと、青森の地方アイドルとして活動し続けたいと心から思う自分がいた、と王林。

「最初から『青森大好き!』というわけでもなかった。けれど『愛踊祭』で優勝し、初めて東京の方がMVを作ってくださる時に、ロケで使われていた青森の風景がとても素敵に写っていて。青森ってこんなにいいところだったんだと改めて気付いたりするうちに、いつのまにか青森が私の居場所だと思えるようになっていました」

 2018年7月、『踊る!さんま御殿!!』への出演以来、津軽弁で一気にブレイクした王林の快進撃は続く。再び、上京し、全国区で活躍する選択肢に迫られる日もくるかもしれない。だが、「青森の地方アイドルを続ける」と決めた王林の気持ちがブレることはもうないだろう。  
       
「『踊る!さんま御殿!!』に出演させていただいて以来、面白い発言を求められているような気がして、プレッシャーになってしまって。お仕事をいただけることはありがたいのですが、なんでバラエティに出ているんだろうと考えた時期もありました。でも、私が番組で青森の訛りで話すと、『東京でまさか青森弁が聞けると思っていなかった』と言ってくれる青森出身の方たちがいて。地元の人たちの力になっているんだなと思えた。東京の番組で活動することで、私たちりんご娘を知って青森にきてくださる方もいる。今は東京での仕事も青森のPRの一環だと思ってありがたいと思っています。これからは青森の魅力をお伝えするために東京や大阪など他府県でのライブ活動にも力を入れていきたいですね」

 今後は、『りんご娘』の活動を通じて「青森の魅力を世界に発信できるようになること!」と明るく語る王林。地元愛というしっかりとした核をもった地方アイドルの強さを体現してくれそうだ。

(王林・着用衣装/BouJeloud)
◆PROFILE
王林(おうりん)1998年青森県生まれ。ダンス&ボーカルユニット『RINGOMUSUME(りんご娘)』のリーダー。りんご娘として年間80本以上のイベント出演やTV、CMでも活躍。

◆INFORMATION
・21st Single 11月5日リリース決定
・POWERLIVE2019 開催
・リリカルムスメ ツーマンライブ開催(RINGOMUSUME × lyrical school)
・RINGOMUSUME SHIPMENTLIVE TOUR 2020開催

オリコンニュース公式SNS

Facebook、Twitterからもオリコンニュースの最新情報を受け取ることができます!

 を検索