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(更新: ORICON NEWS

絶対に嘘をつかない、よしもとプロデューサー・中村聡太氏

嘘は絶対につかない

――大御所の芸人さんから若手芸人も担当されているわけですが、仕事をするうえで、気を付けていることはありますか?
 基本中のことですが『嘘は絶対につかない』ということですね。あとは、『一生懸命やる』『真面目にやる』。真面目に、一生懸命に、嘘つかずにやるということは、まず最低条件としてはありますね。あと言い聞かせているのは、『初心を忘れてはいけない』ということ。やっぱりこの会社に入ってきた一番の理由は、『芸人さん達と仕事がしたい』という事です。ありがたいことに、今はほとんどの芸人と話せるようになりました。ダウンタウンもそうですし、今田や東野もそうです。そう考えると、初心に帰って、いろんな芸人とちゃんと向き合っていれば、おのずとそれが、『人と人との信頼関係に繋がる』と思っています。

よしもとクリエイティブ・エージェンシー・中村聡太氏(C)MusicVoice

よしもとクリエイティブ・エージェンシー・中村聡太氏(C)MusicVoice

――子供時代から憧れていたダウンタウンさんとのお仕事。緊張もあるかと思いますが、向き合い方は同じですか?
 本当にありがたいです。基本は、一生懸命に向き合うことがベースです。ダウンタウンの二人も、今田も東野もそうですけど、人生の歴でも、圧倒的に敵わない方々ですが、それでも一人のマネージャーとして対峙してくれました。

――今、多くの芸人さんがAmazonだったり、NetflixやAbemaTVにも出演されています。吉本所属の芸人さんも出演されているかと思いますが、ネット配信に関してはどう思っていますか?
 色々なメディアが増えて、吉本にとっては、とてもプラスだと思います。ただ根底にあるのは、これからAmazonやNetflixなどの配信をメインにやっていこうということではなく、吉本で抱えている多くの芸人さんが、どこで輝けるかを考えることだと思います。テレビに合う人もいれば、それが苦手で舞台が得意な人もいる。それぞれのやりたい事がどこでできるのか。

 それはAmazonかもしれないし、BSかもしれない。それこそ地方局なのかもしれません。地上波のテレビももちろん大事にしながら、それぞれの芸人さんたちの、これからの10年、20年を考えて、どうやってメジャーにしていくか、そう考えると、やっぱりもっとワイドにしていくべきだと思っています。芸人さんにヒアリングしながら、色々なことに挑戦して、種植えをしていく。Amazonで制作している『HITOSHI MATSUMOTO presents ドキュメンタル』は、配信をしながらDVDの販売とレンタルもしています。その中で、特にレンタルの回転率が良かったりします。これは、作品がとても良い形で循環している。配信からスタートしたものが、販売やレンタルでも見て頂けるのは、今までにない、とても新しい流れですよね。

――最後に、中村さんの仕事のベースとなっている活力やマインドをお聞きできますか。
 大きく言えば二つあって、一つは、今担当している30組の芸人さんの仕事が円滑に回っていく。時には支障が出たり、トラブルがあったりもしますが、小さな仕事でも大きな仕事でも、すごく話題になっていたり、仕事が好調だなと感じた時はやっぱり嬉しいですし、やりがいを感じます。そこは多分、ほとんどの社員がベースにあると思います。それに、改めて心底『芸人さんっていいなぁ』と思うんです。色々なことを考えていて、面白い事、楽しい事を探している。実現できない事があってもどかしい時もありますが、みなさん、常に努力されている。僕らは少しでも力になれるよう、サポートしていきたいですね。

 そしてもう一つ。16年間、吉本で働いてきて、たくさんの経験をさせてもらいました。しんどい時や大変な時もありましたけど、僕のこの経験はしっかり部下たちに伝えていきたい。後継者じゃないですけど、繋げていきたいと思っています。この世界、1+1は2の世界じゃなく、1+1の中に、見えてない0.5がある世界です。その0.5をいかに見つけるか、それは教科書にはないので、教えていきたいなと思います。たまに芸人さんが僕の部下を褒めてくれる時があって、それは本当に嬉しいですね。この世界、やっぱり人が大事で、コミュニケーションが本当に大事です。芸人さんとも部下とも、しっかりコミュニケーションをとって、多くの人に笑ってもらう。吉本に育ててもらった16年。これからも恩返ししていきたいと思います。

 ◇

 とにかく、明るい人だった。関西弁で、よく話し、よく笑っていた。満面の笑みで、会社のこと、芸人さんのこと、部下のことを話す。「あの時は本当にやばかったです」と当時を思い出し、メモを見ながら色々な話をしてくれた。「嘘をつかない」「一生懸命やる」、これらは当たり前のことだが、これがまた本当に難しい。中村氏は、その当たり前をやり続け、初心を忘れず、すべての芸人さんと向き合ってきたのだろう。新しい分野への挑戦を続ける『吉本興業』において、今後の中村氏の取り組みが本当に楽しみだ。

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