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GRAPEVINE・田中和将 ひねくれた表現の裏にある流行への“違和感”

ソロ活動をする意欲はない バンドを転がし続けていくことに意味

 『Lifetime』が発売された約20年前は、CDが100万枚以上売れる、いわゆるミリオンヒットが続々登場していた時代。それもいまではCD不況に加え、サブスク(定額配信)やデジタル配信の勢いに押されている。その体験をしてきた田中自身、現物を買って聴いてほしいという“こだわり”はあるのか。

田中和将複雑ですよね。音の良し悪しがあるんで、できるだけ良い音で聴いてもらうに越したことはないと思うんですけど。自分でももちろん良い音で聞きたいものはCDで買いますし。でも、一方でSpotifyも利用しています。だから大きい声で言えない(笑)。時代に合わせて主流が変わっていくのであれば、どんな聴き方でもしょうがないのかなって気はします。ただ、その環境の中でも、一番良い音で聞いてほしいですね。それもなるだけ大きな音量で。

 内に秘めた熱を持ちながらも、流行やムーブメントとは距離を置いてきたバンド活動。デビュー30周年を迎えた際には「逆にめっちゃギラギラしてるかもしれないですね(笑)」と語る田中に、長く続けてこれた要因を聞いてみた。

田中和将もちろん、ずっと聴いてくださるファンがあってこそなんですけど、僕らとしては引くに引けなくなっている(笑)。でも、バンドを転がし続けていくのは非常に楽しいです。レコーディングも、音源を引っ提げてライブするのも。これが他のバンドであれば、仮にバンドを続けてくことがストレスになった時には、活動を休止をして、ソロ活動をやったり、新しいバンドやユニットを作ったりするのが一般的ですよね。でも僕にはそういうモチベーションはないんですよね。つまり、このバンドで続けることに意味があると感じているんです。

 今回のアルバム『ALL THE LIGHT』発売に寄せて、田中は「聴いた人を幸せにしたいわけでもなければ、勇気づけたいわけでもない。重要なのは、音楽を聴いたすべての人が直面するであろう、或いはしているであろう、現実という名の『光』なのだ。」とコメントしている。また、聴き手がどんな印象を持ち、語り合うのか興味深い。

(取材・文/東田俊介)

Information

『ALL THE LIGHT』発売中

【初回限定盤】
CD + DVD ¥4,500(税抜)
VIZL-1505 (スリーブ仕様)

【通常盤】
CD ¥3,000(税抜)
VICL-65092
収録曲 全10曲

[収録曲]
01.開花
02.Alright
03.雪解け
04.ミチバシリ
05.Asteroids
06.こぼれる
07.弁天
08.God only knows
09.Era
10.すべてのありふれた光

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