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(更新: ORICON NEWS

保護猫が主役、異色の江戸版“猫カフェ”が好調「少しでも関心持ってもらえれば」

 浮世絵の世界で猫と遊べる、江戸版“猫カフェ”の『江戸ねこ茶屋』。当初は2018年6月から2か月間のみの開催予定だったが、江戸の街並みをバックに猫と自由に写真撮影ができると話題となり、会期は大幅に延長。ついに1月27日で閉幕する。一方、ここにいる猫の多くは保護猫で、希望する人には里親へのマッチングが行われてきた。果たして保護猫50匹の里親は見つかったのだろうか? 担当者に聞いた。

“猫ファースト”な空間作りに注力

 2018年6月15日から東京・両国で開催されている『江戸ねこ茶屋』。担当者によると、もともと両国は猫と縁の深い街なのだという。「両国は江戸にまつわる史跡が多く、さらに『猫の恩返し(回向院の猫塚)』をはじめ、猫と縁の深い街です。そこで『両国のとある江戸長屋の住民は、全員が猫とのうわさ。うわさを聞きつけ全国から旅人がのぞきにくる』というコンセプトを考案しまして、『江戸ねこ茶屋』を両国で開催することになりました」(担当者)
 会場内は、江戸時代に描かれた浮世絵の画像データを使用し、江戸の街並みを忠実に再現。ネット上では「内装が素敵」「ここは天国??」「めちゃくちゃ癒された!永遠に居られる」といったコメントが多く寄せられている。

 また担当者によると、“猫ファースト”な空間作りにも注力を注いだという。「猫がおもいっきり走ることができたり、人に触れられたくないときは屋根の上でゆっくりできる場所を確保するなど、専門家と相談して、猫にストレスのかからない空間を作りました。その成果もあるのか、『江戸ねこ茶屋』にいる猫たちは、のびのびと生活していますね。人懐っこい性格な猫が多いのも好評理由の一つかもしれません」(担当者)

続々と決まる里親 一方、トライアルで合わなかったケースも

 空前の猫ブームが続く中、保護猫の数は依然として多い。保護猫とは、さまざまな事情で飼育することができなくなってしまった猫のことだ。東京都をはじめ、各自治体も動物の殺処分問題解決に取り組んでいるが、環境省が発表した2017年度の「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」によると、約4万3000頭もの犬や猫が殺処分されたという。
 そこで『江戸ねこ茶屋』は、同問題に関心を持ってもらうために猫カフェ『きゃりこ』と連携し、保護猫を扱うことにした。収益金の一部は、保護猫活動に取り組む支援団体に寄付する予定だ。担当者は、大々的に保護猫を扱うイベントは珍しいと話す。「趣旨に賛同いただいた猫好きのアーティストの方々にもご協力いただき、オリジナルの絵馬も制作しました。絵馬の収益も寄付する予定です」(担当者)
 『江戸ねこ茶屋』にいる保護猫50匹中、28匹は里親が決まった(19年1月10日現在)。実際に里親になった人にも話を聞いた。以前から猫を探していて、ペットショップなどを回っていたが、『江戸ねこ茶屋』の猫に対する姿勢や考え方に共感したため、里親になったという。「『江戸ねこ茶屋』の猫は人に慣れていたので、お迎えしたいと思いました。また分からないことも気さくに教えてくださったり、譲渡後のフォローもしてくださるとのことだったので、安心できました。猫を飼うのは初めてで手探りの連続ですが、この子を迎えてよかったと、しみじみ思っています」
 一方、里親になるには、審査などを受ける必要がある。応募用紙の提出後、審査と面談を受けクリアすると、トライアルとして一定期間、一緒に生活。双方にとって問題がなければ、里親として引き取ることができる。担当者は、トライアルで合わなかったケースもあると話す。「先住の猫と相性がどうしても合わなかったり、(里親希望の方の)アレルギーの症状が想定よりもひどく出てしまい生活に支障が出たり。このような事例があるので、トライアルは大切だと感じています」(担当者)

「少しでも保護猫の認知度を上げていきたい」

 昨夏、猫カフェで感染症の一種「猫パルボウイルス」に感染し、猫が死亡するケースが起きた。『江戸ねこ茶屋』も、最善の注意を払ったという。「通常の猫カフェに比べイベントなので、お客様の数が格段に多くなります。また開催期間が限られているため、猫たちを環境に慣らすのも、猫カフェより難しかったです。ウイルスもそうですが、猫たちのストレス、体調管理などには、とても気を使いました。幸いなことに大きな病気も出ず、みんな元気で最終日を迎えられそうなことに、ホッとしています」(担当者)
 『江戸ねこ茶屋』の開催終了まで残りわずか。担当者は、イベントを通して保護猫の認知度の低さを感じたと指摘。「まだまだ保護猫の存在をご存知ない方が多いと感じました。『江戸ねこ茶屋』を通じて、少しでも保護猫の認知度を上げることができていたら、うれしく思いますね」(担当者)

 今後は海外展開も視野に、保護猫を扱った催しなど取り組んでいきたいと担当者は話す。「海外からも同じような取り組みをしたいとの問い合わせをいただいております。楽しみながら保護猫支援ができる『江戸ねこ茶屋』はもちろん、似たような取り組みがさらに広がるよう注力していきたいと考えています」(担当者)

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