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サンリオの異端キャラ“アグレッシブ烈子”が海外で大人気 その訳をサンリオ広報に聞いた

 先日投票を締め切った『2018年サンリオキャラクター大賞』。海外ランキングの中間発表にてアメリカ・ヨーロッパ各国で上位にランクインしている“アグレッシブ烈子”をご存知だろうか。2016年4月から2018年3月まで『王様のブランチ』(TBS系)内で放送されたショートアニメで知ったという方も多いかもしれない。4月からはNetflixにて新作アニメの配信がスタート。海外では“Aggretsuko”にタイトルを変え、世界デビューも果たしている。日本ではまだまだマイナーなアグレッシブ烈子がなぜ海外でここまで人気があるのか、サンリオ広報に聞いた。

日本は10位圏外、アメリカ・ヨーロッパ各国ではTOP3入賞という人気

 2015年秋に開催された『サンリオキャラリーマン総選挙』8位入賞でデビューしたアグレッシブ烈子。アニメでは、丸の内の一流商社でOLとして働く25歳独身のレッサーパンダの烈子が、上司や同僚の理不尽な行動に不満を募らせるもその場では何も言えず、イライラが頂点に達するとカラオケや妄想でデスメタルを歌い、ストレスを発散するという姿が描かれる。等身大のOLを描いたことで、20〜30代女性の人気を獲得。2016年4月〜2018年3月に『王様のブランチ』内でショートアニメを放送、さらに2018年4月20日よりNetflixオリジナルアニメを世界190カ国以上に配信している。アニメは『やわらか戦車』などで知られるラレコ監督とファンワークス制作によるものだ。

 3位に“YOSHIKITTY”がランクインし話題となった『2018年サンリオキャラクター大賞』の中間発表では、国内での順位は10位圏外となったが、国外ではアメリカ3位、ブラジル1位、イギリス1位、イタリア2位、ドイツ2位、フランス2位、アラブ首長国連邦2位と軒並み上位を獲得。その結果を受けTwitter上では、「東アジア以外での謎のアグレッシブ烈子人気」「アグレッシブ烈子って何者なんだ…地味に海外人気が結構あるのだが」などと、日本のサンリオファンがザワついている。

“アグレッシブ烈子”が海外で火が付いたきっかけはYouTubeにアップした英語字幕版

 海外人気についてサンリオ広報に聞くと、「2016年12月、サンリオの米国法人が“Aggretsuko”のタイトルでアグレッシブ烈子の紹介アニメの英語字幕版をYouTubeにて公開しました。それが瞬く間に話題となり、欧米の大手メディアでも取り上げられました。Netflixオリジナルアニメを配信開始後、海外メディアからさらに問い合わせが増え、話題になっております」(サンリオ広報)。

 YouTubeにアップした英語字幕の動画がきっかけとなって知られるようになり、Netflixのアニメ配信がさらに人気を後押ししているようだ。さらに、「Netflixオリジナルアニメ配信後、アグレッシブ烈子のフォロワー数が増えたり、アメリカ以外の欧州・南米からも問い合わせが来るなど、想像を超える反響がございました」とサンリオ広報ですら想定外の人気に圧倒されている。

 ちなみにアグレッシブ烈子のTwitter公式アカウントは、国内の“アグレッシブ烈子”のフォロワー数、約1万4千人に対し、海外アカウント“Aggretsuko”は約2万4千人と、国内、国外での人気の違いを裏付けている。海外では、登場キャラのコスプレやアグレッシブ烈子のタトゥーを入れる人なども続出しており、その熱狂ぶりが伺える。

日本女性だけじゃない 女性の仕事に対する不満は万国共通

 アニメでは普段は大人しくゆるふわタッチで描かれる烈子が、キレるとデスメタル調の作画になって人格が豹変するメリハリの効いた演出も面白い。監督のラレコが担当するデスボイスもインパクト大で、「部下に仕事 丸投げ 定時退勤 クソ上司」という歌詞など、今までのサンリオキャラクターにない尖りまくった表現で働く女性たちから大きな共感を得ている。デスメタルでスッキリしたあとの決め台詞は「明日もがんばれっさー!!」。切り替え上手な烈子に自分を投影し、明日の仕事への活力にしている女性も多いのかもしれない。

 また“Aggretsuko”の動画を見た海外の反応を見ると、「20代前半の頃のオフィスでの日常を思い出したわ」「本当に私の様だ」「私もデスメタルのカラオケで怒りを発散したいわ」など共感の声が相次いでいる。アニメに描かれるような仕事への不満や苦痛は万国共通であるのだ。また、サンリオの代名詞でもあるハローキティは女の子たちの“幻想”を描いているのに対して、アグレッシブ烈子は女性たちの“現実”を描くことで、全く違った視点から世界中の女性たちの支持を集めているのも興味深い。

“メタル”と“ジャパニーズコンテンツ”のコラボは海外では鉄板

 海外のSNSでは「怒れるデスメタルカラオケパンダ最高!」「超かわいいのに、怒りがピークに達したときのギャップが本当に愛らしい」「おでこに文字で感情を表す感じがたまらなく好き」とデスメタルパートの姿が絶賛されているのがわかる。アメリカ・ヨーロッパの人々にとって、メタルはもともと馴染みの濃い文化。ヘビーメタル、デスメタルといえばイカつい男性たちのイメージがあるなかで、「メタル×アイドル」の異色コラボで海外でも人気となったBABYMETALに象徴されるように、ハードな「メタル」と「日本のKAWAII」のギャップが人気の理由の一つと言えるだろう。また、同じく海外でも人気の『デトロイト・メタル・シティ』のようにデスメタルパートになると額に漢字が浮かび上がるというのもファンの心をくすぐるポイントのひとつのようだ。

 アグレッシブ烈子の海外での活躍ぶりを広報に伺うと、「コラボバッジやコラボキャップ、iMessageのステッカー配信。5月にはロサンゼルス最大のCDショップ“Amoeba Music”とコラボイベントを開催し、アグレッシブ烈子の限定グッズを販売しました」(サンリオ広報)。ほかにも、アメリカのスケートブランドとのコラボ動画や、ハローキティやぐでたまといった人気キャラクターに並んで、アグレッシブ烈子デザインのカラオケルームが展開されるなど、アグレッシブ烈子旋風はまだまだ吹き荒れそうだ。

“逆輸入”として日本での人気にも期待

 サンリオ広報によると、アグレッシブ烈子関連での今後の動きは「国内外問わずさまざまなことを企画している」とのこと。「あっ」と驚くコラボや楽しいイベントが期待できそうだ。現在は海外人気が圧倒的だが、今後の展開によっては逆輸入の形で日本人気に火が点く可能性もある。ハローキティのような、いわゆる“可愛い”だけにとどまらない、攻めの姿勢を見せ続けるサンリオのキャラクタービジネスからまだまだ目が離せない。

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