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20周年を完走したゆず、アルバムで「応援ソングとともに進む覚悟ができた」

朝ドラ主題歌「雨のち晴レルヤ」で見えた「タイアップの向こう側」

――「栄光の架橋」は2004年アテネ五輪のNHK放送公式ソングでした。「うたエール」も今回の平昌冬季五輪放送の合間のCMでよく流れていて。CMソングではなく、応援ソングとして自然に聴ける感じがすごく馴染んでいました。
北川悠仁 タイアップ=ビジネスではなく、いただいたお題を元に、どれだけクリエイティブなことができるかが、実は腕の見せどころなんですよね。以前は、タイアップで出されたお題に応えることに必死だったんですが、「雨のち晴レルヤ」くらいから、オーダーとはちょっと違うけれど、僕らのクリエイションに引きずり込めるような曲を提供できるようになった気がしています。それを僕は、“タイアップの向こう側”と呼んでいて。「うたエール」は、それがさらに立体的にやれた感じです。ただ、そうやって複雑に構築していくために、共有できるものが少なくなっていくところもある。自分しか見えないものが増えて、孤独になっていきますけどね(苦笑)。

――なるほど。
北川悠仁 もしかしたら、先輩たちはこんな孤独を知っていたのかもしれないと思ったりもします。紅白でトリをやったときも、そう思いました。先輩たちは、こういう場面を数多く超えて、だから同じ人間なのに時々すごく強く見えたり、大きく見えたりしたんだろうな、って。ただほんの少し、自分たちが無軌道で無責任だった時代を懐かしく思うことはあります。1ミリも戻りたくはないんだけど、「ああいう時代はもう来ないんだな」と思うことはある。

――岩沢さんは、紅白の感想はいかがでしたか?
岩沢厚治 すごくプレッシャーでした。何度もやったことのある会場で、何度も立ったことのある紅白の舞台なのに、プレッシャーが以前の倍、それ以上に膨れ上がった。ひたすら重圧でした。昔、何かのインタビューで、「叶えたい夢は?」と質問された時、冗談で「紅白のトリですかね〜」なんて答えていたことがあったんです。逆に言えば、それを冗談で言ってしまうぐらいありえないことだと思っていました。

――紅白の他にも、何となく発言して叶ったことは?
岩沢厚治 まだデビュー前、地元の友だちに「お前らいつまで伊勢佐木町でやるんだ」と言われた時がありました。僕は、「気が済むまでやるんじゃない? ここに人がいっぱいいたら面白いと思わない?」と答えたんです。そのあと、本当にいっぱいになって、路上ライブを止めることになったんですが。

応援ソングに向けた決意と覚悟、「新しい地図」の3人にもエールを

――今回のアルバムのタイトルは『BIG YELL』ですが、新しいことに挑戦しながらも、世の中がゆずに求めているものに、素直に応えたタイトルになっていますね。
北川悠仁 「ゆずといえば応援ソングだよね」と言われた時、今まではどこか「いやいや」みたいに謙遜するポーズをしちゃっていた自分たちがいたんですけど、そういうのはもういいんじゃないかと。自分たちで、背負おうと思った。自分たちの最大の武器が応援ソングであることを僕らは認識しているし、それとともに進んでいくんだという決意表明、意思表明のアルバムです。そう言い切ってしまうと、音楽の幅が狭まって面白くなくなっちゃうんじゃないかという不安はあるけど、それはそれで覚悟はできた。僕らの音楽の核は、もう壊そうと思っても壊れないし、意図的に何かをしなくても、自然に新しいことは取り入れていくんです。今までは、必死にやろうとしていたことも自然にできるようになってきているので。

――ところで、昨年の11月には、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんによるAbemaTVの『72時間ホンネテレビ』にビデオ出演。4月1日から始まる『新しい別の窓』では、ライブのゲストとして出演。そこにも、ビッグエールを感じました。
北川悠仁 「新しい地図」のお三方が去年の『ホンネテレビ』のライブで、「いつか」を歌ってくださって。その時に草なぎさんが何度も「いい曲だ」と褒めてくださったんです。それが縁で、今回も声をかけていただいた。今まさに新しい道を進んでいる皆さんなので、音楽を通してビッグエールの交換ができたらいいなと思います。

★『新しい別の窓』ゆずとのゲリラライブの模様はコチラ!

(写真:草刈雅之 文:菊地陽子)

アルバム『BIG YELL』収録「うたエール」ミュージックビデオ

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