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過激化するネット動画 規制進むテレビと同じ道を辿るのか?

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    炎上狙いの過激動画が増加しているネット動画

 若者にとって、今や「テレビよりネット動画」というほど定着しているが、新年早々ネット動画の未来に暗雲が垂れ込めているようだ。アメリカの人気動画投稿者、ローガン・ポールが、自殺の名所として知られる青木ケ原樹海に立ち入って遺体を撮影。公開した動画が炎上し、波紋が広がっている。また、同じくアメリカの人気コンビ・Nick&Dan(ニックアンドダン)が日本で女の子をいきなり抱き上げ、連れ去るドッキリ動画を公開していたことが発覚し、チャンネル削除を求める声が寄せられている。こうした問題を受け、配信元は不適切動画への対策強化に動き出しているが、日本でもネット動画投稿者の炎上は増加する一方。今回の事件はネット動画時代の“終りの始まり”なのか?

炎上狙いの過激動画 行き過ぎた行為が犯罪に

 昨年、日本の動画投稿者が起こした事件をざっと見ると、「サイゼリアで全品頼んでみた」動画撮影のために入店したチョコレートスニッカーズ(現:チョコレートスニーカーズ)が、ソファーで寝転ぶなど周囲に迷惑をかけたあげく、大量に食べ残したことを告発されて炎上し、謝罪。個人の価値を仮想株式に見立てて売買するサービス「VALU」で、インサーダーの疑いをかけられ炎上したヒカルや、「白い粉」をわざと警察の前で落として逃げる動画を撮影し、偽計業務妨害罪で逮捕された事件、さらにヤマト運輸の営業所でチェーンソーを使って脅し、暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕された事件などがあげられる。

 YouTubeでは、動画1再生あたり0.01円〜0.5円程度の広告料が動画主に支払われるというシステムの中で、視聴数のために狙って“炎上する”YouTuberが数多く存在している。どんどん過激化する動画内容や、YouTuberたちの人気に乗じるビジネスの過熱化が社会問題化しているわけだ。そもそも、なぜここまでYouTuberがもてはやされるようになったかと言えば、テレビ番組に対する規制強化→衰退がある。テレビが面白くなくなればなくなるほど、視聴者は規制のゆるいネット動画コンテンツのほうへと興味が向かうのだ。

流血も平気で放送!? 現在のネット動画同様の過激さがあった過去の民放バラエティ

 かつてはテレビのバラエティ番組でも、たとえば『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)では、参加芸人たちが体を張り、多少の流血沙汰があろうと平気で放送していたし、『進め!電波少年』(同)でも松村邦洋がチーマーに取り囲まれて暴行されるなど、観ている視聴者のほうがハラハラするような場面がふんだんに繰り広げられていた。他のバラエティにしても潤沢な制作費を背景に豪華なセットを組むなど、いずれにしても現在のテレビでは到底見ることができない過激なものばかりだった。

 しかし、2000年代に入りBPOの規制が厳しくなると、そうした過激な映像がテレビでは見られなくなる代わりにネット動画がメディアとして台頭、テレビの後追いのようにビュー数を稼ぐためにコンテンツの内容はエスカレートする一方となっている。海外においてもそれは同じで、YouTube上で麻薬組織のボスを侮蔑する発言をしたメキシコの17歳の人気動画投稿者が武装集団に襲われて死亡したほか、動画を撮影中に恋人を誤って銃殺してしまったアメリカの事件、中国においても人気の動画投稿者が62階のビルの屋上から転落して死亡するなど、ここ最近でも全世界でネット動画絡みの死亡事故が相次いでいるのだ。

安全は自己判断の“素人”が過激化に走る危うさ 視聴者にも危険が…

 かつてのテレビバラエティ番組で、いくら松村や出川哲朗などの芸人たちが体を張ったと言っても、制作側も含めてやはり彼らは“プロ”集団。時には事故も起きたりするが、視聴者のほうでも(そんなにヤバいことにはならないだろう…)という、どこか安心感のようなものがテレビにはあった。

 一方のネット動画は、人気があろうがスター扱いされようが、基本的には素人だ。そんな“素人芸”が、テレビで育った中年以上の層からは(こんな学芸会レベルの「○〇やってみた」のどこが面白いんだ?)という反発があると同時に、若い層からの圧倒的な共感も得ているのである。今のネット動画人気を支えているのは、小・中・高校生といった子どもなのであり、動画投稿者にしても、イケメンよりは等身大の普通のキャラのほうが人気が出るとも言われているのだ。

 先述の青木ケ原樹海に立ち入って遺体を撮影した件を受け、YouTube側も審査基準を設けるなど、コンテンツ内容に規制を加える対策を講じ始めた。実際、人気のネット動画を見た子どもが熱湯を飲んだり、火を扱うことで死亡するという事件も増加していることから、配信者も視聴者を置き去りにするような過激さばかりを追いかけていると、共感されるどころかテレビと同様、過剰なまでの規制がかかる可能性も十分にあり得る。世界中の視聴者が国境を越えて参加できるネット動画だけに、炎上商法がより収入を得られる現状をどのように改善していくのか、今後の展開を注視したいところだ。
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