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(更新: ORICON NEWS

「愛される老害」を確立? “暴言王・梅沢富美男”が老若男女から支持されるワケ

  • “毒気”と“可愛さ”を両立させる懐の深さで、幅広い層から支持を集める梅沢富美男 (C)oricon ME inc.

    “毒気”と“可愛さ”を両立させる懐の深さで、幅広い層から支持を集める梅沢富美男 (C)oricon ME inc.

 先日、32年ぶりのTVCM出演が話題となった梅沢富美男。これまでCM出演に関して、「決まりそうで決まらない…」と激怒していた梅沢だが、ひるがえってTV出演に目を向ければ、昨年のテレビ出演本数158本、今年上半期ではすでに154本と、今再びの大ブレイク(『ニホンモニター』調べ)。26〜27日に放送された『24時間テレビ40』(日本テレビ系)でもスペシャルサポーターとして出演し、相変わらずの“イジられ芸”で存在感を発揮していた。その支持層も「下町の玉三郎」と呼ばれた大衆演劇での活躍を知る年配の方から、藤田ニコルに代表される10代までと実に幅広い。“暴言王”とも呼ばれるキレるおじさんが、愛されキャラとして支持されるワケとは?

輝かしい系譜 大衆演劇で成し遂げてきた実績

  • 梅沢富美男率いる大衆演劇一座「梅沢富美男劇団」。梅沢の“女形”は名人芸の域

    梅沢富美男率いる大衆演劇一座「梅沢富美男劇団」。梅沢の“女形”は名人芸の域 (C)oricon ME inc.

 梅沢富美男は1950年生まれ。花形役者・梅沢清を父に持ち、引き継いだ「梅沢劇団」では、女形として「下町の玉三郎」と呼ばれスターに。歌手としても「夢芝居」が大ヒットしたほか、料理上手としても知られ、過去に出演した『愛のエプロン』(テレビ朝日系)でも優勝した経歴が。またテレビドラマや映画などにも俳優として多数出演。押しも押されもせぬ大御所タレントとしてお茶の間に浸透している。

 昨今ではコメンテーターとしてのバラエティ番組出演が多く、歯に衣着せぬ言動が良くも悪くもたびたび話題に。『一周回って知らない話』(日本テレビ系)でも「なんでそんなに偉そうなの?」という質問が寄せられたが、梅沢は「本業は大衆演劇なので、いつテレビをクビになってもいい」からと回答した。

 インターネットの普及で“総クレーマー時代”となったともいえる現代、偉そうで言いたい放題の団塊以上の世代は“老害”と呼ばれ、若者からの総叩きに遭うことが多い。実際に梅沢に対する批判的なコメントも多く、「老害だと思う大御所芸能人ランキング」でも9位にその名が挙がっている。では、なぜ今も、梅沢はこのような引っ張りだこの状況にあるのか。メディア研究家の衣輪晋一氏は「梅沢さんは、現代においてとても過激な発言をなさっていますが、一方ではその過激さゆえに怒られたり、自分がいじられたりすることも受け入れている。加えて、そんな自分自身もネタに出来る寛容さもあり、それが愛されている理由ではないでしょうか」と分析する。

自分からネタになりに行く天性のエンターテイナー

 「例えば、今年4月に放送された『バイキング』。梅沢さんは、自身が司会を努めたことが一度もないにも関わらず、とあるアンケートで『嫌いな司会者4位』に選ばれたことをネタにしました。番組で梅沢さんは『司会したこともないオレがなんで4位なんだよ。ふざんけんじゃねぇよ!!』と激昂。まるで漫才やコントの一幕のようですよね(笑)。インターネットの対応でも同様のことが見られます。先日放送された『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)では、宮迫博之さんから『黒い卵に似てますよね。ピータン』とツッコミが。梅沢さんはこれを受け、8月14日、自身のツイッターで『どうも、ピータン梅沢です』とツイートしていました(笑)」(衣輪氏)

 他にも、梅沢は自身の「浮気80回」もネタにしている。衣輪氏も「かなりモテる人だけあって、愛されるための自己プロデュースもとても上手な方なんでしょう」と持論を展開する。

 「ツッコまれたり、自らネタになりに行くことで大衆が喜ぶことを本能的に知っている。“天性のエンターテイナー”とも言えるかもしれません。実際、同番組では東野幸治さんが『(梅沢さんは)どんどん若手からいじられたい、ツッコまれたい。“もっとオレをバカにしろ”というタイプ』と暴露。公式サイト『梅沢富美男チャンネル』を見ても、自己紹介のページで自分の顔写真に吹き出しを付け、『還暦すぎたオッサンで悪いか!』『誰だ!! 炎上タレントとか言ってんのは!』と、なぜか“楽しそう”なコメントが(笑)。同サイトには、女形の修行のために、銭湯から出てくる湯上がりの女性を観察している時に不審者と間違えられ、警察に連行されたエピソードも“公式”に掲載されています。大衆演劇の雄だけに、大衆が好きそうなゴシップネタを自ら提供しているようにも見えます」(衣輪氏)

嘘偽りのない“自分自身の言葉”で独自のポジションを確立

  • テレビで見ない日はないほどの活躍をみせる梅沢。32年ぶりとなる念願のCMもゲット(C)oricon ME inc.

    テレビで見ない日はないほどの活躍をみせる梅沢。32年ぶりとなる念願のCMもゲット(C)oricon ME inc.

 では年配からの支持だけではなく10代からも人気があるのは何故か。先日も『行列のできる法律相談所』で、藤田ニコルと“マブダチ”になった(!?)と話題に。さらに、『24時間テレビ40』では藤田ニコルとのメールのやりとりを暴露され、番組内で“キモイ”などと言われ放題。当初、梅沢自身も多くのアンチコメントが寄せられるのではと心配したようだが、結果は上々。自身のツイッターでも「にこるんのファンが嫌がるかとおもったら(原文ママ)、好意的なコメントが多くて一安心まる。」とギャル語を交えてつぶやくなどノリノリだ。

 「このようにムリにギャル語を使っている部分をはじめ、ある層の若者から見れば梅沢さんは“かわいい”キャラでもあるんです。5月放送の『しゃべくり007』(日テレ系)に出演された際には、『インスタグラムの“いいね!”がめちゃくちゃ少ないのよ。(“いいね!”)欲しい)』と悩みを告白。これだけでも“かわいい”のですが(笑)、その後のツイートで、『しゃべくり〜』に出たとたんインスタのフォロワーが増えたらしく、大喜び。これに対し若者からは、『いいね増えてよかったね梅沢富美男』などの、なぜか上から目線のコメントが寄せられていました」(衣輪氏)

 こうしたキャラが功を奏し、放言も女遊び発言も『あのおじさんならしょうがないよね』と認められ、何を言っても許される“愛される老害”という新たな立ち位置を確立。ツッコミたい要素が満載なのも、10代など若者に受け入れられるポイントだ。昨今の若者は敬語を『距離を感じる』と嫌がり、タメ語で話したがる傾向があるが、大御所で言いたいことを言うが、こちらがそれをツッコんでも許されそうな、“ネタにしやすいかわいさ”、そして“平等”な雰囲気が、今の多くの若者にもマッチしていると衣輪氏は分析する。

 とは言え、炎上するかもしれない毒舌キャラを貫き通すには相当の胆力がなければ難しい。ウソや不誠実が叩かれる昨今、そうしたおべんちゃらを言わない、自分自身の言葉で話す姿勢が、何より視聴者から信用される要素になっているとも言えそうだ。

(文:西島享)

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