• ホーム
  • 芸能
  • NHKが本気の悪ふざけ? 『空想大河ドラマ』はパロディの極み

NHKが本気の悪ふざけ? 『空想大河ドラマ』はパロディの極み

 お笑いトリオのネプチューンと小西真奈美が出演する『空想大河ドラマ 小田信夫』(NHK総合/後11:35 全4話)が、至るところに笑いが散りばめられた“脱力系大河ドラマ”と話題になっている。時代・風俗・建築・衣裳考証がまったくなしの“大河ドラマっぽい”コメディドラマで、架空の戦国大名“小田信夫”の奮闘記を描いている。これまでありそうでなかったパロディの極みとも言える番組に、ネットでも「やりたい放題だな!」「本気でふざける時のNHKに比肩する局は他にないのかもしれない」と絶賛。“大河ドラマ”の看板を背負っているNHKだからこそできる番組と言えそうだ。

15分の深夜ドラマだが、NHKだけに何から何まで“本格的”

 『空想大河ドラマ 小田信夫』は1話15分で全4話。戦国時代の架空の小大名、小田家の当主・小田信夫(堀内健)が、同時代の英雄で自分と似た名前の織田信長を意識しつつも、こじんまりと生きる姿を描いている。正室のお濃ならぬ“お毛”に小西真奈美、家臣の柴田勝家ならぬ勝夫役に原田泰造、明智光秀ならぬ充役に名倉潤を据え、第1話は「桶狭間の戦い」なども題材にしながら、バカバカしいセリフやシチュエーションをあちこちに取り入れている。お毛が信夫を「とにょ!」と呼んで見せたり、信夫は「(織田信長のことが)何となーく気になっちゃうんだけど…」と言ってみたり。「桶狭間の戦い」に参戦するわけでもなく、ただ“見学”しに行き、「スゲェな、ちょっとマネできないわ」と驚いて見せたりするなど、そのあまりにもユルい感じとバカバカしさに、視聴者も全身の力が抜けていきそうになる。

 そもそもは「岸田戯曲賞」作家・前田司郎氏に、「深夜枠だからあんまり予算はないけど、ネプチューンさんが出てくれるから何か面白いことやって」(『NHKオンライン』1月31日より)とオファーしたことから始まった。前田氏は「実際、戦国時代だって一年中、戦っていたわけじゃないと思うんですよ。戦争のない冬はみんなでお酒飲んで過ごしていたとか。そういう本家の大河ドラマではカットされているところをピックアップしたい」(同)との思いで脚本を手掛けている。

 しかもNHKだけに、時代劇のノウハウはおてのもの。衣装やセット、スタッフの人材も豊富で、だいたいが予告編の動画からして本格的である。だからこそ、ネプチューンらの繰り出すお笑いのノリが余計に強調されて笑えるのだ。先の中村氏も「映像は連続テレビ小説『梅ちゃん先生』のオープニングタイトルを作った方と、“ちゃんとしたもの”を作りました」(同)と語るように、音楽も作曲家・上野耕路氏が手掛け、15分の深夜ドラマにしては何から何まで“本格的”なのである。それは“再放送?”と勘違いしてしまうほど、カメラワークや間のとり方など、どこからどう見ても、大河ドラマの作りになっている。

大河ドラマの看板を持つ自局だからこそできるパロディ

 それだけNHKも本気なわけだが、その本格的なセットの中をネプチューンの3人が話しながら歩き回るシーンなどは、実は同じところをグルグルと回ってるだけという細かい小ネタが随所に散りばめられているので、観ているほうもついネタ探しをしたくなってしまう。どうでもいいことをNHKが本気にやっているところが何とも面白いのである。

 普段はコントでしか見られないネプチューンの3人。演技力ではすでの定評のある原田が脇を締める中、明智役の名倉の空虚なセリフ回しや当主役の堀内の棒読みなどが、何となくクスっとしてしまうおかしさがある。たが、ディレクターの大原拓氏によれば、本業の役者にはできない、計算してないからこそできる表情もあるとのこと。特に第1話のラストシーンで見せた堀内などは、「役者にはできない表情」(『NHKオンライン』1月20日より)だと絶賛しているのだ。

 全4話、最後は目玉(?)の「本能寺のようなもの」(中村氏)も出てくると言うだけに、今後の展開も楽しみなところ。どこかで聞いたことのなるような武将もふんだんに出てくるだろうが、そこは“空想大河ドラマ”、内容はあくまでも新感覚コメディだ。深夜番組だけに潤沢な予算という訳にはいかないが、大河ドラマの看板を持つ自局だからこそできるパロディ力と脚本だけが勝負になるだろう。「実際の大河ドラマで使っているものと同じようなセットを建てました」(中村氏)と、たった15分の深夜のコメディドラマに、これほど“豪華”なセットやスタッフを“自前”でつぎ込めるNHKには、もはや脱帽するしかない。

オリコンニュース公式SNS

Facebook、Twitterからもオリコンニュースの最新情報を受け取ることができます!