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星野源だけじゃなく意外なアノ人の楽曲も? 春のセンバツ・行進曲の“編曲の妙”
宇多田ヒカル「First Love」などのバラードも、“名編曲”で軽快な行進曲に
1999年(第71回大会)の入場曲はKiroroの「長い間」で、泣かせる名曲ではあるが、ミディアムテンポのバラードである。それがアップテンポにアレンジされるのはもちろん、原曲では伸ばしている音を短くしたり、メロディをトランペットで高らかに吹き上げたり、バックのリズムのスネアドラム(小太鼓)をマーチ調にすると、見事に明るく快活な“マーチ”になり、開会式の中継のゲストだったKiroroのふたりも「合いますね、こういう風にできるんですね。うれしいです……鳥肌立つ」と感動しきりだったのである。翌2000年(第72回大会)の入場行進曲は宇多田ヒカルの「First Love」で、大ブレイクした後の宇多田ヒカルの楽曲を選ぶのは当然としても、この曲も完全なミディアムバラードバラード。しかしKiroro同様に、見事に軽快な行進曲となったのである。
マーチと対極の“ワルツ”も行進曲へと変貌
こうした名編曲は、辻井市太郎氏(第34回大会〜第58回大会、2月上旬に入場曲の録音を行なう大阪市音楽団の団長)、永野慶作氏(第59回大会〜第80回大会、大阪市音楽団団長)、酒井格氏(第81回大会以降、作曲家)の3名が行なってきたが、一部ネットでは“神編曲”と称える声もあるほどだ。編曲によっては原曲とは“別物”になる場合があるが、氏たちの名編曲は球児たちのフレッシュな行進と相まって、原曲とはまた別の魅力を引き出してくれるのだ。
今年のセンバツの入場行進曲『恋』を歌う星野源も、「行進曲用のアレンジがどのようになるのかとても楽しみです。高校生のみなさんがワクワクして“やるぞ”という前向きな気持ちになってもらえたらうれしいです」とコメントしているように、私たちもともすれば聴き流してしまいかねない“名編曲”に注目しながら、春のセンバツ高校野球を楽しんでみようではないか。